
「遺言の証人って誰でもなれるの?」
「証人って何をするの?どんな責任があるの?」
このように公正証書遺言の作成に必要な「証人」について、様々な疑問をお持ちではないでしょうか。
本記事では「公正証書遺言の証人」にスポットライトを当て、あなたの疑問を解消するため詳しく説明したいと思います。
目次
1章 公正証書遺言における証人とは
公正証書遺言は、作成時に証人2名が立会うことが法律で定められています。
公正証書遺言の作成に証人が必要な理由は次のとおりになります。
・遺言者に人違いがないことを確認するため
・遺言者が正常な判断により、自らの意思で遺言していることを確認するため
・遺言者の真意を確保し、後日の紛争を防止するため
このように証人2名が同席し確認することで、公正証書遺言は信頼できる確実なものとなるのです。
1-1 証人になることができない人
公正証書遺言の証人については、法律で「証人になることができない人」が定められています。
次の人は証人になることができません。
①未成年者
②推定相続人・受遺者及びその配偶者並びに直系血族
③公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び雇人
上記のうち②ついては、わかりにくいのでイラストを使って詳しく説明したいと思います。
推定相続人及びその配偶者並びに直系血族とは、以下のような人です。
「推定相続人」とは遺言者が亡くなったときに、相続人になる人のことをいいます。
例えば配偶者や子供、親(子供がいない場合)、兄弟姉妹(子供、親がいない場合)がこの推定相続人にあたります。
このような推定相続人とその人の配偶者や直系血族(祖父母、親、子供、孫)は証人になれません。
受遺者及びその配偶者並びに直系血族とは、以下のような人です。
「受遺者」とは推定相続人ではない人へ遺言により財産を相続させる場合、財産を受け取る人のことをいいます。
例えば老後の世話をしてくれている親戚や内縁の妻(夫)へ遺言により財産を遺す場合です。
このように受遺者となる人とその人の配偶者や直系血族(祖父母、親、子供、孫)は証人になれません。
1-2 証人の準備方法と証人に適さない人
証人の準備方法は次の3つになります。
方法① ご自身で証人になってくれる人を探す。
方法② 司法書士や弁護士などの専門家に依頼する。
方法③ 公証人役場で証人を準備してもらう。
ご自身で証人2名を準備できない場合でも、②と③の方法により証人を依頼することができるので安心してください。
②や③の場合は、2名分の費用として15,000円~25,000円程度かかることが多いようです。
証人になれる資格はあっても、証人に適さない人は次のとおりになります。
・プライベートなことを知られたくない人
・口が軽い人
・信頼できない人
「秘密にしておいて」とお願いしたことが、いつの間にか周りに漏れていた経験をお持ちの方も多いと思います。
その点、司法書士や弁護士は専門家として、法律により高度な秘密保持義務を負っているため信頼できると言えるでしょう。
1-3 証人を頼まれた人が知っておくべき3つのこと
ここでは公正証書遺言の証人を頼まれた人が知っておくべき、次の3つのことを説明します。
「証人として作成当日やること」
「準備するもの」
「証人としての責任」
1-3-1 証人として作成当日やること
証人として作成当日やることは次の3点になります。
①公証人役場(自宅や病院など遺言の作成場所)へ行く
②公証人が読み上げる遺言内容と遺言者の真意、意思を確認する
③遺言書原本に署名と押印をする
1-3-2 準備するもの
証人が準備するものは次の2点になります。
①本人確認書類(免許証、写真付住基カードなど)
②認印
1-3-3 証人としての責任
証人が負う責任としては次のようなことがあります。
・相続発生後に遺言書の有効性などについて、争いになったときに裁判で証言を求められる可能性がある。
・裁判により遺言書が無効になった場合など、証人の過失により不利益を被った遺族から損害賠償請求される可能性がある。
【豆知識】
公正証書遺言の作成は平日9:00~17:00の公証人役場が開庁している時間に行われます。作成当日の所要時間は30分から1時間程度です。
2章 まとめ
公正証書遺言の証人についてご理解いただけましたでしょうか。
公正証書遺言を作成しておくことで、無用な相続トラブルを防止したり、相続人の精神的・経済的な負担を軽減できます。ご自身ひとりで遺言作成を進めることが難しい場合は、司法書士などの専門家が行っている無料相談に行ってみることをおすすめします。