親から子に家の名義変更する方法やかかる費用・節税方法まで簡単解説

家の名義変更 親から子 アイキャッチ

「家の名義を親から子に変更したい!」と思っても、

多くの方にとって初めての手続きなので、わからないことだらけではないでしょうか。

家はとても高価で生活の拠点となる大切な財産であるため、名義変更の手続方法は法律でとても厳格に定められています。

また、家の名義変更には、様々な税金も絡み合ってくるので、税金についての正しい知識を持っておくことが非常に大切です。

本記事では、親から子へ家の名義変更をするときの手順、かかる税金から注意点まで詳しく丁寧に解説いたします。


1章 親から子に家の名義変更するケースとは

親から子に家の名義変更をする主なケースは次の2つです。

①親から家の名義を譲ってもらうとき
②親が亡くなったあと家の名義変更するとき

ケースによって「手続きの手順」や「かかる税金」が変わるので注意が必要です。
親が亡くなったあと家の名義変更を行うことを「相続登記」と言いますが、相続登記について知りたい方はこちらのリンクへ

親から家の名義を譲ってもらうことを「生前贈与の登記」と言いますが、本記事ではこの生前贈与の登記について詳しく掘り下げていきたいと思います。


2章 家の名義変更は「法務局」という役所で行う

家の名義変更手続きは「法務局」という役所で行います。法務局では、不動産に関する情報(所有者や広さ、形など)が登記(登録・記録)されています。
法務局ごとに「管轄するエリア」が決まっているので「家の所在地を管轄する法務局」で手続きを行わなければなりません。

このような法務局での名義変更手続きは「自分で行う」か「司法書士」へ依頼するかの二択です。
司法書士へ依頼すると10~20万円程度の費用がかかる反面、手続きに必要な書類の作成から法務局への申請、権利証の製本まで行ってくれるので安心です。

法務局が開庁している平日に動きにくい方、書類作成や役所の手続きが苦手な方は司法書士へ依頼することを検討しましょう。


3章 家の名義変更を自分たちでする方法

本章では、親から家(不動産)を生前贈与してもらい、自分たちで名義変更するまでの手続方法を詳しく解説したいと思います。

主な手続きの流れは次のとおりです。

不動産の生前贈与の流れ

必要書類の収集

まずは親と子で協力して、登記申請書の作成に必要な資料や登記手続きの際に法務局へ提出しなければならない書類を集めましょう。

必要書類は次のとおりです。

必要書類

取得場所

取得者

取得費用

登記事項証明書

最寄りの法務局

誰でも取得可

1物件ごと 600円

固定資産評価証明書

家の所在地の市区町村役場

家の名義人である親

または名義人から委任を受けた人

1物件ごと 300円

印鑑証明書(親)

親の住所地の市区町村役場

家の名義人である親

1通 500円

住民票(子)

子の住所地の市区町村役場

家の名義人になる子

1通 300円

登記済権利証または登記識別情報通知

 

 

 

 

このうち「登記済権利証または登記識別情報通知」は親が家を買ったときや祖父母から相続したときに法務局から発行されている書類なので、再発行してもらうことはできません。

お手元にない場合は、別途手続きが必要になるので法務局か司法書士へご相談ください。

贈与契約書の作成

次に贈与契約書を作成します。

贈与契約書を作成しておけば贈与税申告の際の資料に使え、後日の紛争防止の効果もあるので一石二鳥です。

不動産の贈与契約書のサンプルは次のとおりです。

不動産贈与契約書

生前贈与の登記申請

贈与契約ができれば次に名義変更を行います。具体的には贈与した不動産を管轄する法務局に登記申請します。

ここでは登記申請から完了までの詳細を解説させていただきます。

なお、登記申請方法は「持込」「郵送」「オンライン」と3種類から選べますが、オンラインはシステムのダウンロードなどがあり、ハードルが高いので「持ち込み」や「郵送」の方法がおススメです。

今回は最も一般的な「持込」での申請方法をもとに流れを解説させていただきます。

生前贈与の登記手続きの流れ

STEP①添付書類の準備

まずは、必要書類が揃っているか確認しましょう。

必要書類

取得場所

取得者

取得費用

登記事項証明書

最寄りの法務局

誰でも取得可

1物件ごと 600円

固定資産評価証明書

家の所在地の市区町村役場

家の名義人である親

または名義人から委任を受けた人

1物件ごと 300円

印鑑証明書(親)

親の住所地の市区町村役場

家の名義人である親

1通 500円

住民票(子)

子の住所地の市区町村役場

家の名義人になる子

1通 300円

登記済権利証または登記識別情報通知

 

 

 

 

STEP②登記申請書の作成

次に法務局へ提出する「登記申請書」と「登記原因証明情報」を作成します。

登記申請書・・・申請内容、添付書類、登録免許税などの情報をまとめた申請書
登記原因証明情報・・・いつ、誰が、誰に、どの不動産を贈与し、所有権が移転したという事実を法務局へ報告するための書類

登記申請書の一般的な書式は次のとおりです。

(1枚目)

贈与登記申請書サンプル

(2枚目)

登記原因証明情報サンプル2

登記原因証明情報の一般的な書式は次のとおりです。

(1枚目)

登記原因証明情報1

(2枚目)

登記原因証明情報サンプル2

STEP③書類をホッチキスでとめて法務局に提出

申請書や必要書類が揃えば、不動産の所在地を管轄する法務局で申請します。

特に決められた順番はないですが、次の順番で書類をまとめホッチキス止めするのがベストです。

1)登記申請書

2)登記原因証明情報

3)贈与する人の印鑑証明書

4)贈与を受ける人の住民票

5)固定資産評価証明書もしくは課税明細書のコピー

登記済権利証もしくは登記識別情報通知のコピーはホチキス止めせず、クリップなどで止めておくのが良いでしょう。

また、登録免許税は印紙で納めるので印紙を購入して申請書に貼り付けましょう

STEP④登記手続完了

間違いや不足がなければ、5日~14日程度で登記手続きは完了します。

完了すれば登記識別情報通知(いわゆる権利証)を受け取り、登記事項証明書を取得して、間違いなく名義変更がされているか確認するようにしましょう。


4章 親から子に家の名義変更するときにかかる税金

本章では親から子に家の名義するときにかかる費用について解説いたします。

せっかく家の名義を譲ってもらったのに、予想外に高額な税金がかかってしまえば元も子もありません。

次章では税金を安く抑える方法について解説しますが、まずは基本的にかかる税金を把握しておきましょう。

親から子に家の名義変更をしたときの税金は以下の3種類です。

・不動産取得税・・・不動産を取得した人にかかる税金
・登録免許税・・・不動産の名義変更にかかる税金
・贈与税・・・贈与を受けた人にかかる税金

それぞれ詳しく見ていきましょう。

4-1不動産取得税

不動産取得税は、不動産を取得した人に一度だけかかる税金です。

不動産の名義変更をしてから、2~6か月程度すると都道府県から「納税通知書」が届きます。

不動産取得税は、不動産の価格(固定資産評価額)の3%または4%です。

・土地       3%
・住宅       4%
・住宅以外の建物  4%

なお、住宅用の宅地や居住している建物については、減税される特例措置があります。

固定資産税評価額とは?

固定資産税評価額とは、市区町村が固定資産税を課税するための基準として定めた評価額です。

固定資産税評価額は、不動産所有者に毎年送られてくる「納税通知書」に記載されています。

納税通知書が手元にないときは、不動産の所在地の市区町村役場で「固定資産税評価証明書」を取得することができます。取得にかかる費用は、1物件につき300円程度です。

4-2 登録免許税

登録免許税は、法務局で行う不動産の名義変更手続きの際に支払う税金です。

家を親から贈与されたときの登録免許税は、不動産の価格(固定資産税評価額)の2%です。

家の評価額が2000万円の場合、40万円の登録免許税がかかります。

この登録免許税は、贈与する人、贈与を受ける人どちらが払っても良いことになっています。

4-3 贈与税

贈与税は、贈与された財産(現金や不動産)の額に応じて、贈与を受けた人にかかる税金です。
毎年1月1日から12月31日までの期間に受けた贈与について、税務署に申告し納税します。
両親や祖父母から贈与を受ける場合は「特例贈与財産の税率」という優遇税率が定められています。

特例贈与財産として、優遇された低い税率の適用を受けるには次の条件を満たす必要があります。

・贈与者が父母、祖父母、曾祖父母であること
・贈与を受けた人が贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上であること

親から20歳以上の子へ家を名義変更(贈与)するケースでは、特例贈与財産として贈与税を算出します。

なお、贈与税には年間110万円の基礎控除があるので、110万円を贈与額から控除することができます。

贈与税算定の計算式は次のとおりです。

贈与税算定式

通常(一般)と特例の税率は次のとおりです。

税率一覧表

例えば、親から2000万円の家(土地建物)を20歳以上の子が譲ってもらう場合、次の計算式になります。

 

2000万円-110万円×0.45-265万円=585万5000円

(贈与財産)(基礎控除) (税率) (控除額) (贈与税額)

このとおり優遇税率を適用しても、驚きの税額になります。

そこで多くの方は、次章で説明する贈与税を安く抑える方法により名義変更を行います。


5章 親子間の贈与税を安く抑える方法

親から子へ家の名義変更を行うときに用いられる方法は次の2つです。

①相続時精算課税制度という、税金の特例制度を利用する方法

②贈与税の基礎控除額(110万円)に応じた割合を毎年贈与する方法

それでは詳しく見ていきましょう。

5-1 相続時精算課税制度を利用する

相続時精算課税制度とは、親や祖父母から子や孫に対して、家や現金を贈与した場合に「最大2500万円分の贈与まで無税になる制度」です。

また、2500万円を越えた部分についても、一律20%の贈与税となります。

住宅 贈与税

なお、この制度のポイントは相続発生時に相続税が課税されることです。
相続発生時に「生前贈与された財産」と「相続財産」を足した総財産額に対して、相続税がかかります。
ですので、「相続税の減額」を目的に家の名義変更を検討されている方は、節税効果についてしっかりとシュミレーションしておきましょう。また、親の資産総額が3600万円以下の場合は、相続税がかかる心配はないので気にする必要はありません。

【制度を利用するための主な条件】

1)親、祖父母が贈与があった年の1月1日時点で60歳以上であること
2)子、孫が贈与のあった年の1月1日時点で20歳以上であること

 

【必要な手続き】

1)受贈者は(贈与を受けた子または孫)
2)贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に
3)納税地の税務署で制度の適用を受けるための必要書類とともに、贈与税の申告書を提出する。

 

【注意すべき点】

1)一度選択したら撤回できず、以降は毎年110万円の贈与に対する非課税枠(暦年贈与)が使えなくなる。
2)この制度を利用して生前贈与しても、相続税が必ずしも減額される訳ではない。


5-2 暦年贈与制度を活用する

暦年贈与制度の活用とは、「1年間の贈与額が110万円以内なら、贈与税がかからないこと」をフル活用する方法です。
この基礎控除の制度は、財産の種類や親子間などの制限もなく、110万円以内であれば税務署の申告も必要ありません。

住宅 贈与税

ただし、上限が110万円なので、家を贈与するには持分を分割し、数年から数十年かけて少しづつ贈与することになります。

例えば、1100万円の家なら、1回(1年間)で10分の1づつ贈与していきます。

不動産の分割贈与

 

なお、あまりに期間がかかりすぎる時は、期間短縮のため110万円以上の持分を贈与し、一定額の贈与税を納めることも検討しましょう。

例えば、1回(1年)で300万円分の持分を贈与した場合は、次の計算になります。

300万円 - 110万円 × 0.1 - 0円 = 19万円

(贈与財産)  (基礎控除) (税率)(控除額)  (贈与税額)

これらの方法により贈与税が無税になっても「不動産取得税」と「登録免許税」は課税されるので注意しましょう。


6章 遺言書の作成や家族信託するという方法も検討しよう

親から子へ家の名義変更したい理由は、様々だと思いますが、これまで見ていただいたとおり、名義変更には相当の費用や税金がかかります。

ある特定の子に家を譲ってあげたいとお考えであっても「遺言書の作成」や「家族信託により名義変更をする」など、他の方法も同時に比較検討することが大切です。

どの方法がベストな選択になるかは、それぞれの家庭事情や家の価値によって変わるので、生前贈与、遺言、家族信託に詳しい司法書士へ相談することをおススメします。


まとめ

親から子へ家の名義変更を行うときの手続き方法、かかる税金についてご理解いただけましたでしょうか。

家は財産として高価ですし、家族の想いが沢山詰まっています。

先述したとおり、親から子へ家を生前贈与するのが良いのか、別の方法で目的を達せれるものがないのか、じっくり比較検討して、ベストな方法を選択することが大切です。

ぜひ、専門家の意見も聞きながら親子で話し合いベストな方法を選択してください。

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