親が認知症になる前にすべき相続対策4選!メリットや注意点まとめ

親が認知症になる前にしたい相続対策4選!メリットや注意点まとめ
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司法書士渡邊優太

 監修者:渡邊優太

この記事を読む およそ時間: 6

「最近、親の物忘れが激しくなってきた」「親と話していて会話がかみ合わないときがある」など、親の様子が以前と変わってきて認知症を心配し始めている人も多いのではないでしょうか。

認知症になって判断能力が低下してしまうと法律行為や契約行為ができなくなるので、やっておくべき相続対策ができなくなってしまいます。
その上、認知症になると自宅の売却や定期預金、生命保険の解約など自分の財産管理を行うことも難しくなります。
そのため、親が認知症になる前に相続対策をしておくことが大切です。

また、認知症の症状には個人差が大きく、症状の進行具合によっては相続対策を行える場合もあります。
そのため、親の様子がおかしい、認知症かもしれないと思ったタイミングで医師の診察を受けてもらいましょう。

本記事では、親が認知症になる前にしておきたい相続対策を紹介していきます。


1章 親が認知症になると相続対策できなくなる

親が認知症になると相続対策できなくなる

親が認知症になり判断能力を失うと、相続対策ができなくなってしまいます。

認知症にかかっている人のうち、5人に1人以上は80歳未満であると言われています。(「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」(平成26年度厚生労働科学研究費補助金特別研究事業)より引用)

そのため「まだ自分には相続対策は早い」「認知症対策は数年後でも良い」と思っているうちに、認知症になってしまうかもしれません。
なお、認知症になってしまい判断能力を失ってしまうと、以下の問題が発生する恐れがあります。

  • 認知症になった親の財産管理ができなくなる
  • 認知症になった親の自宅を売却できない
  • 認知症になった親の銀行口座が凍結されてしまう
  • 認知症になった親の保険解約ができなくなる
  • 認知症になった親が相続人になってしまい、遺産分割協議や相続放棄ができなくなる
  • 認知症になった親の相続対策ができず、本人が希望する相続を実現できない

認知症になってしまい判断能力を失うと、以下の図のようにできる相続対策や手続きが限定されてしまいます。

認知症になる前に相続対策をしておくべき理由

上記のように、認知症を発症してからは法定後見制度しか手続きを行えません。
家族信託や任意後見制度も効力を発生させられますが、認知症発症前に手続きや契約をすませておく必要があります。

このように、認知症発症前に相続対策をしておき、発症したらあらかじめ予定していた手続きを行うのがおすすめです。
次の章では、認知症になる前にしておきたい相続対策を紹介していきます。

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2章 親が認知症になる前に打つべき相続対策4選

認知症の症状が進行し判断能力が失われると、相続対策を行えなくなってしまいます。
そのため、認知症発症前や症状が進行する前に相続対策をしておく必要があります。
認知症になる前にしておきたい相続対策は、以下の4つです。

相続対策おすすめなケース
家族信託
  • 所有している不動産や株式の管理や運用、処分を任せたい人
  • 二次相続対策をしたい人
遺言書
  • 家族の相続手続きの手間を減らしたい人
  • 自分の希望する相続を実現したい人
任意後見制度
  • 財産管理のみでなく契約行為や法律手続きの代行も任せたい人
生前贈与
  • 財産の所有権を子供に移したい人
  • 生前贈与の控除や特例を活用して相続税や贈与税の節税をしたい人

それぞれ詳しく確認していきましょう。

2-1 家族信託を利用する

家族信託を利用する

家族信託とは、信頼できる家族に契約内容に基づいて、自分の財産の管理や運用、処分を任せる制度です。
家族信託は他の制度と比較して柔軟な財産管理を行えるのがメリットです。

  • 自宅の売却
  • 収益不動産の売却やリフォーム
  • 株式や投資信託の売却
  • 自分が亡くなった後に財産を誰が受け継ぐかの指定
  • 信託財産によって発生した利益を受け取る人物の指定

家族信託では成年後見制度では難しい上記の行為も行えますし、死後の財産の扱いや受益者も指定できます。
そのため、認知症になった人の財産管理から相続対策まで一括で行えるのが魅力です。

メリットが多い家族信託ですが専門的な知識や経験が必要であり、自分で家族信託を行うのは難しい点がデメリットです。
また、認知症になってしまい判断能力を失ってしまうと、家族信託を利用できない点にもご注意ください。

家族信託が認知症対策に一番おすすめな7つの理由と具体的な解決事例

2-2 遺言書を残してもらう

認知症になる前に遺言書を残しておけば、親が希望する相続を実現できます。
遺された家族は遺言書の内容に従って遺産分割を行えばいいので、家族の相続手続きの手間も減らせます。

親が認知症になる前に打つべき相続対策、遺言書を残してもらう

遺言書には3種類ありますが、形式不備で無効になるリスクや紛失、改ざんリスクがない公正証書遺言で作成するのがおすすめです。

なお、遺言書は本人が元気でも、配偶者が認知症又は認知症の可能性ある場合にも有効です。
認知症になった相続人がいる場合、遺産分割協議ができなくなってしまうからです。
例えば、認知症で入院している母がいる場合に父に遺言書を作成してもらえば、認知症になった母が相続人になっても父の遺産分割を行えるようになります。

遺言書の作成には判断能力が必要なので、認知症の症状が進行し判断能力を失うと作成できません。
遺言書は何度でも修正できるので、認知症対策として早めに作成しておくのも良いでしょう。

公正証書遺言の必要書類と遺言作成の流れ【簡単チェックリスト付】
遺言書の作成は司法書士・弁護士に依頼しよう

認知症対策として遺言書を作成すると、相続発生後に遺言書の内容に不満を持った相続人が「遺言書が認知症発症後に作成されたので無効である」と主張してくる恐れがあります。
このような主張に対抗するために、遺言書作成時には医師の診断書や本人が話している様子をビデオ録画しておくなどの対策が必要です。

自分で遺言書を作成した場合、対策が不十分になり相続発生後に遺言書が無効になる可能性もゼロではありません。
相続対策に精通した司法書士や弁護士であれば、無効になりにくい遺言書を作成可能です。

遺産相続トラブルが起こる9つのケース|ケース別の対策と対処法

2-3 任意後見制度を活用する

任意後見制度とは将来自分の判断能力が不十分になったときに備えて、支援してくれる人と支援してもらう内容を事前に契約しておく制度です。

成年後見制度の全体像

上図のように、成年後見制度には法定後見制度と任意後見制度の2種類がありますが、相続対策として有効なのは任意後見制度です。
ただし、任意後見制度は本人の判断能力があるうちに契約をすませておかなければなりません。

なお、任意後見制度を結んでいれば自由に任意後見人が財産の管理や運用、処分を行えるわけではなく、制度利用開始後は任意後見監督人が任意後見人の行為を監督します。
任意後見監督人に被後見人の財産状況を定期的に報告しなければならないなど、任意後見人の負担が大きい制度でもあります。

【簡単解説】任意後見人とは?役割や仕事内容から手続きの流れ
認知症が進行すると成年後見制度しか利用できない

任意後見制度を利用できる人は判断能力を失う前に任意後見契約を結んでいた人のみです。
そのため、すでに認知症症状が進行していて判断能力を失った人は任意後見制度を利用できず、成年後見制度しか利用できません。

成年後見人は認知症になった人の財産管理を行うだけであり、下記の相続対策や財産の積極的な運用や処分は行えません。

  • 自宅を売却して病院の入院費用や施設の入居費用に充てる
  • 収益不動産の売却やリフォームを行う
  • 株式や投資信託の運用、処分を行う
  • 遺言書の作成や生前贈与などの相続対策

そのため、成年後見制度の利用により家族や親族は被後見人の財産を自由に扱えなくなったと感じる恐れもあります。

成年後見制度とは?利用方法からメリットデメリットまで簡単理解!

2-4 生前贈与をしておく

生前贈与をしておく

認知症になる前に生前贈与をしておけば、子供等に財産を受け継げます。
生前贈与で子供等に財産をあらかじめ渡しておけば、認知症になって判断能力を失ったとしても、贈与された子供が自由に財産を管理や運用、処分できます。

ただし、年間110万円を超える生前贈与を受けると贈与税がかかる場合がある点に注意が必要です。
贈与税には様々な控除や特例が用意されているので、生前贈与を行う際には贈与税をシミュレーションし利用できる控除や特例を漏れなく利用するのが大切です。

また、認知症になって判断能力を失ってしまうと契約行為を行えないので、生前贈与を行うことはできません。

生前贈与とは?生前贈与のメリット5つと知っておきたい7つの特例制度・7つの注意点

3章 認知症対策に乗り気でない親を説得する方法

本記事では、認知症になる前に相続対策を行うことの大切さを解説してきました。
しかし、以下のように考える人も多いのではないでしょうか。

「すぐにでも親に相続対策してほしいけど、相続については話しにくい」
「親は頑固なので聞いてくれるかな」
「認知症対策なんて言ったら気を悪くしそう」

私も日々の相談業務でそういった声をよく耳にします。
そこで、私が実際に相談者の方にこういった方向でご家族にお話してみてはいかがでしょうか?と提案して、すんなりと相続対策のお話ができた事例をひとつご紹介します。

「認知症対策は保険のようなものです。」

確かに認知症は15%~20%程度の方しか発症しませんが、実際に認知症が発生すると自分の財産なのに手がつけられない事態が頻発します。
事故が起こったときに保険に入ってなければどうしようもないように、認知症になってから行動したのでは遅いのです。
しかも、相続対策が必要なのは認知症の場合だけではありません。

例えば、いきなり脳腫瘍で倒れて脳の器官が損傷した場合でも、判断能力がなくなった場合には同様の現象が発生します。
判断能力がなくなったときに相続対策ができていなければ、残された家族が苦労することになるでしょう。その点を考えて、もしものときに備えて今のうちに取れる対策をとっておくようご家族にお伝えください。

親が認知症かも?と感じたら至急すべきこと【診察を受けてもらうコツ】

まとめ

認知症になって判断能力を失ってしまうと、相続対策ができなくなってしまいます。
また、相続対策ができなくなるだけでなく、銀行口座の凍結や保険解約、実家売却等の契約行為が行えなくなるかもしれません。

結果として、認知症になってしまうと自分の財産も自由に管理できなくなってしまいます。

そのため、認知症になって判断能力を失う前に相続対策を行っておくのが大切です。
認知症を発症する前であれば、任意後見制度や家族信託、遺言書の作成等といった様々な相続対策を行えます。

相続の話やお金の話は、親子間であってもなかなか話をしにくいデリケートな話題です。
しかし、遺された家族の負担を減らすためにも、親子で話し合い希望の相続や財産の遺し方を相談しておきましょう。
自分たちに合う相続対策がわからない場合には、司法書士や税理士といった専門家に相談するのもおすすめです。

グリーン司法書士法人では、遺言書の作成や家族信託等といった相続対策に関する相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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よくあるご質問

認知症になる前にすべき相続対策とは?

認知症になる前にすべき相続対策は、下記の4点です。
①家族信託を利用する
②遺言書を残してもらう
③任意後見制度を活用する
④生前贈与をしておく
▶認知症対策について詳しくはコチラ

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