財産分与による登記手続き|手続き方法や注意点を司法書士が解説

婚姻期間中に築いた財産は共有財産となり、離婚時にはその財産を「財産分与」として分け合うのが原則です。

また、不動産を財産分与するときは不動産の所有者を変更する「所有者移転登記」を行う必要があります。

「所有者移転登記」をしないからと言って、法的に罰則があるわけではありませんが、手続きをしないと、もともとの所有者は固定資産税の支払い義務が課され続けますし、財産分与を受けた側は、不動産の所有権を第三者に主張できません。

例えば、もともとの所有者が他の人に売却し、所有者移転登記をした場合に、離婚時に財産分与を受けた人は所有権を主張できず、購入した人に権利が渡ってしまう可能性があるのです。

そのため、不動産の財産分与があったときは、速やかに所有者移転登記を行うべきです。

なお、離婚時に財産分与の取り決めをしなかった場合でも、後から財産分与を請求することは可能です。

ただし、財産分与を請求できる期間は、離婚したときから2年以内という期限がありますので ご注意ください。

離婚時の財産分与についての詳しい解説はこちら

財産分与|離婚時に損をしないで賢くもらう方法・注意点を詳しく解説!

この記事では、財産分与による所有者移転登記手続きの方法や、手続きをする際の注意点について解説します。


1章 財産分与による所有権移転登記の手続き

財産分与による所有者移転登記の手続きは、以下の2つのパターンによって異なります。

  • 協議離婚の場合
  • 裁判上での離婚の場合

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

1-1 協議離婚の場合

協議離婚の場合、財産分与による所有者移転登記の手続きには両者で申請する必要があります。司法書士に登記手続きを依頼する場合でも、両者の署名・押印がされた委任状が必要です。

しかし、所有者移転登記を申請するのは「離婚後」となります。離婚して赤の他人になってしまうと、連絡が途絶えて、協力してもらえなくなる可能性があるため、離婚の成立前から登記手続きの準備を進めることをおすすめします。

協議離婚をした際の所有者移転登記に必要な書類は以下のとおりです。

財産分与を受ける方(登録権利者)
書類備考
住民票発行後3ヶ月以内のもの
市区町村役場で取得可能
発行手数料は300円程度
印鑑認印可
財産分与をする方(登記義務者)
書類備考
不動産の登記済権利証または、登記識別情報通知
印鑑証明書発行後3ヶ月以内のもの
市区町村役場で取得可能
発行手数料は500円程度
実印印鑑登録をしている印鑑
固定資産評価証明書市区料村役場で取得可能
発行手数料は400円程度
離婚の記載のある登記謄本離婚が成立してから取得する
市区町村役場で取得可能
発行手数料は450円
司法書士に用意してもらうもの
書類備考
司法書士への委任状司法書士に手続きを依頼する場合に必要です
双方の署名・押印をしたものを用意する
登記原因証明情報登記に至った原因や法律行為を記載する書面
自身で作成するのは難しいため、司法書士に作成してもらうことが一般的です
所有者移転登記申請書

登記をする際に必要な申請書です。
自身で作成することも一応可能ですが、通常は専門家である司法書士が作成します。

上記の書類を揃えて、財産分与受けた人、財産分与をする人2人で法務局へ提出しましょう。なお、司法書士に依頼をしている場合は、司法書士が代理で手続きを行ってくれます。

1-1-1 【手続時の注意点】財産分与する方の住所・氏名について

財産分与する方の登記簿上の住所・氏名が現在と異なる場合、所有移転登記の手続前(または同時)に、所有権登記名義人の住所・氏名を変更する登記手続きが必要です。

その場合は、住所・氏名を変更した経緯が分かる住民票・戸籍謄本などの書類を用意しておきましょう。

場合によっては、相手方に転居先の住所を知られたくないこともあると思いますが、住所の変更登記をすると、変更した住所が一般に公開されてしまうため注意が必要です。

なお、DVや児童虐待などの被害を受けている方を守るために、DV防止法や児童虐待防止法、ストーカー行為規制法で以下のようなことが定められています。

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DV防止法、ストーカー行為規制法、児童虐待防止法における被害者などは、被支援措置を受けている場合、「住民票」と「支援措置を受けていることを証する情報」を登記申請書に添付することによって、登記記録上の住所から転居しても、登記義務者である登記名義人の住所についての変更の登記をしなくても良いとされています。

1-2 裁判上の離婚の場合

調停、審判、訴訟など裁判上の離婚の場合で、調停調書等に「申立人は、相手方に対し、離婚に伴う財産分与として、別紙物件目録記載の不動産を譲渡することとし、本日付け財産分与を原因とする所有権移転登記手続きをする」という旨の記載がある場合は、財産分与を受ける方が単独で登記申請を行うことが可能です。

もし、記載がない場合は協議離婚の場合と同様に双方で書類を集めて、手続きをする必要があります。

財産分与を受ける方が単独で手続きをする場合に必要な書類は以下のとおりです。

財産分与を受ける方(登記権利者)
書類備考
住民票発行後3ヶ月以内のもの
市区町村役場で取得可能
発行手数料は500円程度
印鑑認印可能
固定資産評価証明書登記する年度のもの
登記原因証明情報調停証書、審判書、和解調書など

1-2-1 【手続時の注意点】財産分与する方の住所・氏名について

財産分与する方の登記簿上のの住所・氏名が、調停調書等に記載されているものと異なる場合、所有移転登記をする前(または同時)に、所有権登記名義人の住所・氏名を変更する登記手続きが必要です。

この登記に関しても、相手方の協力がなくても手続きが可能です。

その場合は、住所・氏名を変更した経緯が分かる住民票・戸籍謄本などの書類を用意しておきましょう。

場合によっては、相手方に転居先の住所を知られたくないこともあると思いますが、住所の変更登記をすると、変更した住所が一般に公開されてしまうため注意が必要です。

なお、協議離婚による場合と同様に、DVや児童虐待などの被害を受けている方を守るため、DV防止法や児童虐待防止法、ストーカー行為規制法で以下のようなことが定められています。


2章 財産分与による所有権移転登記をする際の注意点とポイント

ここでは、財産分与による所有権移転登記をする際の注意点とポイントについて解説します。

住宅ローンや税金など、お金に関することもあるので、しっかりと理解しておきましょう。

2-1 所有権移転登記をしても債務者は変わらない

所有権移転登記をして、家の名義人を変更しても、住宅ローンの債務者は変更されません。例えば、夫名義で住宅ローンを組んでいる家を、妻名義に所有者移転登記をした場合、登記上の所有者は妻になりますが、住宅ローンの名義は夫のままとなります。

住宅ローンの契約では「銀行の承諾なく所有権を移転した場合、残りの債務を一括で請求する」と取り決められていることがほとんどです。

そのため、無断で所有者移転登記すると契約違反となり、残債を一括で請求される可能性があることは留意しておきましょう。

なお、銀行の承諾を得るためには、債務者の変更や借り換えの手続きをする必要があります。しかし、住宅ローンを組む際には、債務者の年収や職業を鑑みて審査していますので、他の人に契約を移すことは現実的ではありません。

とはいえ、所有者移転登記をしたからといって、必ず一括請求されるわけではなく、債務の返済さえしっかりと続けていれば期限の利益喪失をしてまで一括請求されることはないのが実情です。

そのため、銀行に伝えずに所有者移転登記を行う人は一定数いらっしゃいます。

ただし、契約違反となるのは変わりないため、このような場合は司法書士と相談しながら進めるのが良いでしょう。

2-2 離婚公正証書の作成を作成しておこう

協議離婚をする場合は、財産分与を含め、慰謝料や養育費などの取り決めについては離婚公正証書を作成することがおすすめです。

公正証書を作成しておけば、万が一相手方が支払いなどを怠った場合、ただちに強制執行(財産の差押え)を行うことができます。

財産分与手続きにおいて、協議離婚の場合は所有者移転登記に相手方の協力が不可欠ですが、公正証書を作成しておけば、法的効力を持って協力を要請できますので、速やかに所有者移転登記の手続きが行える可能性が高くなります。

2-3 譲渡所得税がかかることある

財産分与で不動産の所有者移転登記をした場合、原則として贈与税はかかりません。財産分与は、夫婦の共有財産を分け合う行為であり、贈与ではないからです。また、不動産を取得した際に課税される不動産取得税についても、課税されません。

しかし、財産分与を行った時点で、その不動産の時価が取得時の価格よりも上回る場合、財産分与をした人に譲渡所得税が課税されます。

また、財産分与を受けた人も、対象となる不動産を売却した場合には同じく譲渡所得税が課税されます。

譲渡所得税の計算方法は以下のとおりです。

譲渡所得=不動産の時価-(取得費+譲渡費用+特別控除額)

不動産の保有期間が5年超の場合】
譲渡所得(売却して得た利益)×(15%【所得税】+5%【住民税】)=譲渡所得税額

【不動産の保有期間が5年以内の場合】
譲渡所得(売却して得た利益)×(30%【所得税】+9%【住民税】)=譲渡所得税額

 

譲渡所得税についての詳しい解説はこちら

土地を売却した際にかかる譲渡所得税とは?計算方法と節税方法を解説


3章 財産分与による所有者移転登記をした場合の費用

ここでは、財産分与による所有者移転登記をした場合の費用について解説します。

3-1 登録免許税

登録免許税とは、登記手続きをする際に課税される税金です。

財産分与による所有者移転登記の場合、対象となる不動産の固定資産税評価額の2%が課税されます。

例えば、固定資産税評価額が2,000万円の場合、登録免許税は40万円となります。

なお、固定資産税評価額は、固定資産税納付通知書に記載があるので確認しておきましょう。

3-2 司法書士への依頼費用

登記手続きを司法書士へ依頼した場合、依頼費用がかかります。

司法書士への依頼費用の相場は以下のとおりです。

  • 登記手続き一式:7〜15万円
  • 財産分与等契約書作成:2〜3万円

4章 手続きが不安なら司法書士へ相談しよう

登記手続きは自身で行うことも可能です。しかし、登記手続きには複雑な内容が多く、慣れていないと漏れやミスが生じてしまう可能性があります。そうなると、何度も法務局へ出向かなければいけません。

また、財産分与における所有者移転登記の場合、相手方と協力する必要があります。場合によっては連絡が取りにくかったり、極力連絡を避けたかったりすることもあるでしょう。

司法書士へ依頼すれば、手続きを一任することができますので、手続きに不安がある方や、時間がない方は司法書士へ依頼することをおすすめします。

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