農地を相続する方法と農地の相続を望まない人が知っておくべき選択肢

農地 相続 アイキャッチ

農地の相続は事前にしっかり検討する必要があります。

なぜなら、農地には法律で様々な制限が課せられているため、相続人のうち誰かが相続した後、負担になるから「やっぱり別の相続人に譲りたい」と思っても変更は難しくなる可能性があるからです。

また、相続人以外の第三者に対しては売却どころか贈与すらも難しくなるケースも多々あります。
このようなことから、農地を相続する場合は、事前にしっかり検討する必要があるのです。

農地を相続すると以下のようなメリットがある反面、デメリットも存在します。

【メリット】

・活用すれば資産になる
・農作物を育てることができる
・貸すことができれば賃料が入る

【デメリット】

・活用できないと負動産になる
・維持管理が大変
・手放したくても手放せない

これらのメリット・デメリットをふまえ、しっかり検討することが大切です。
本記事では「農地を相続する方法」「農地の相続を望まない人が知っておくべき対処方法」を不動産相続の専門家が解説します。

すでに農地を相続つもりがない人は5章へ


1章 農地を相続する方法

農地を相続したら「法務局での相続登記」「農業委員会への相続届出」の2つの手続きが必要です。農業委員会への届出には期限があり「相続を知った時から10か月以内」となっているので早めに手続きしましょう。

流れとしては「法務局での相続登記」をしてから「農業委員会への相続届出」となります。

農地 相続

1-1 農地の相続を法務局で登記する方法

農地の相続登記(名義変更)は、農地のエリアを「管轄する法務局」で行います。
登記申請書に必要書類を沿えて提出すれば名義を書き換えてもらえます。必要書類は以下の通りです。

 

必要書類

取得先

費用

登記申請書

自分で作成するか司法書士へ依頼

司法書士への依頼は3~8万円程度

被相続人の戸籍附票

 

本籍地の市区町村役場

1通 300円

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本

1通 450~750円

相続人全員の戸籍謄本

1通 450円

相続人全員の印鑑証明書

 

住所地の市区町村役場

1通 300円

農地を相続する相続人の住民票

1通 300円

農地の固定資産評価証明書

農地の所在する市区町村役場

1通 300円程度

遺産分割協議書

自分で作成するか司法書士へ依頼

司法書士への依頼は3~8万円程度

上記の必要書類は、遺産分割協議により相続登記を行う場合のものです。
遺言により相続する場合は遺言書が必要になります。

なお、遺言により農地を引き継ぐ場合、先に農業委員会の許可を取らなければ相続登記できないケースもあるため注意が必要です。
農地の相続登記手続きには、固定資産税評価額の0.4%に相当する登録免許税がかかります。

戸籍の収集や登記申請書の作成が負担になる場合、司法書士に依頼すると手間が省けます。

基本的には自宅などの相続登記(名義変更)と、同じやり方です。
詳しい手続き方法は以下の記事をご参考ください。

1-2農地の相続を農業委員会へ届出する方法

農地の相続登記が終わったら市町村の「農業委員会」へ届出をしましょう。

農業委員会への届出は相続開始を知ってから10か月以内に行う必要があります。期限を過ぎると「10万円以下の過料」という制裁が加えられる可能性もあるので、早めに対応しましょう。

農業委員会は市町村に1つずつ設置されている地域が多数ですが、中には複数存在する自治体や存在しない自治体もあります。管轄の農業委員会が不明な場合、役所に問い合わせましょう。

届出の際には以下の2つの書類が必要です。

必要書類

取得先

費用

農地法の規定による届出書

管轄の農業委員会

無料

相続登記後の登記事項証明書

法務局

1通 600円


2章 農地の相続税の計算方法

農地を相続したら「相続税」がかかる可能性があるので、確認しておく必要があります。

ただし、農地を含む遺産総額が3,000万円以下の場合、相続税がかかる可能性がないため、相続税の計算を行う必要もなく、税務署への申告や納税も当然に不要です。

遺産総額が3,000万円以上の人は、相続税の計算方法を確認してみましょう。

2-1 農地の相続税の計算手順

相続税は相続財産全体にかかるものなので、まずは全体でかかる相続税を算出してから各相続人に割り振って計算します。

具体的な計算手順は以下の通りです。

  • 遺産総額を把握する
  • 相続税の基礎控除額を差し引く
  • 法定相続分にもとづいて相続税額を計算し、合算する
  • 相続税の総額をそれぞれの相続人の現実の相続分にもとづいて割り振る
  • 控除などを適用する

2-2 農地の相続税計算の具体例

次に具体的な例題を使って説明したいと思います。

たとえば亡くなった母の遺産として

・農地1,000万円

・自宅2,000万円

・預貯金3,000万

合計6,000万円の遺産があるケースを考えてみましょう。

相続人は3人の子どもで長男が1,000万円の農地と2,000万円の自宅を相続します。

農地 相続

①遺産総額は6,000万円です。

②相続税の基礎控除は4,8000万円(3000+600×相続人数)なので、課税対象となる額は1,200万円です。

③基礎控除後の法定相続分は各400万円分(1200万円÷3)ですが、400万円にかかる相続税の税率は10%となるので1人あたり40万円となり、3人分を合計して120万円です。

④長男は1,000万円の農地と2,000万円の自宅の合計3,000万円を相続するので全体の2分の1を相続します。120万円×2分の1=60万円の相続税を負担する結果になります。他の兄弟はそれぞれ30万円の相続税を負担します。


3章 農地の評価方法

農地の相続税を計算するときには「農地の評価」をしなければなりません。

農地の評価方法は「農地の種類」によって異なります。農地は以下の4種類に分類されます。

純農地

農業地区域内の農地や第1種農地、甲種農地などです。

中間農地

第2種農地やそれに準ずる農地です。

市街地周辺農地

第3種農地やそれに準ずる農地です。

市街地農地

転用許可を受けた農地、市街化区域内にある農地、転用許可を要しない農地として都道府県致死の許可を受けた農地です。
純農地や中間農地の場合には「評価倍率方式」を適用します。これは固定資産税額に一定の割合をかけ算して評価額を算出する方法です。
市街地周辺農地の場合、「その農地が市街地農地だった場合の80%相当額」を評価額とします。
市街地農地の場合には「宅地批准方式または評価倍率方式」となります。宅地批准方式とは「その農地が宅地だった場合の評価額から造成費を差し引いた金額」です。
市街地周辺農地や市街地農地の場合、相続税申告の際に「市街地農地等の評価証明書」が必要となります。

各地の評価倍率は、こちらの国税庁の「評価倍率表」を使って確認できます。

http://www.rosenka.nta.go.jp/

農地の相続税評価は宅地以上に複雑で専門知識を要するので、自分で計算すると誤ってしまう可能性があります。必ず税理士に依頼しましょう。


4章 農地の相続税の納税猶予

4-1 農地の相続税の納税猶予とは

農地を相続した方が引き続き農業を行うなら「相続税の納税猶予」を適用できる可能性があります。納税猶予を受けたら、当面相続税を支払う必要はありません。その後、相続人が死亡したら猶予されていた相続税は免除されます。

農家が農地を相続するならぜひ適用を検討しましょう。

次に納税猶予の要件を説明します。

4-2 納税猶予の要件

被相続人の要件

以下のいずれかを満たす必要があります。

  • 死亡日まで農業を営んでいた
  • 死亡日まで営農困難時貸付や特定貸付をしていた
  • 生前に農地の一括贈与をした
相続人の要件

以下のいずれかを満たす必要があります。

  • 相続税の申告期限までの間に農業を引き継いでその後も継続する
  • 農地を生前に一括贈与されて贈与税の納税猶予の特例を適用していた
  • 相続税の申告期限までに特定貸付を行った場合など
農地の要件

被相続人が農業をしていたまたは特定貸付を行っていた農地で、次のいずれかに該当する場合です。

  • 相続税の申告期限までに遺産分割が終了している農地
  • 贈与税の納税猶予の特例が適用されていた農地
  • 相続があった年に被相続人から生前一括贈与されていた農地

4-3  納税が猶予される税額

納税猶予の特例を適用すると「農業投資価格で評価した価額」を基準に相続税が計算されます。農業投資価額は元の評価額より大幅に低くなるので相続税額を大きく下げられます。

4-4 納税猶予の注意点

農地の相続税の納税猶予を受けた場合、相続人がそのまま農業を続けて死亡すれば相続税が免除されますが、途中で宅地などに転用すると特例の適用が打ち切られます。すると猶予されていた相続税と利子税がかかってきます。

将来転用を考えているならこの制度は適用しない方が無難です。


5章 農地の相続を望まない人が知っておくべき4つの選択肢

「実家が農業を営んでいるが農業を継ぐ気はない。」

現代において、このように考える方は少なくありません。また、東京や大阪などの都市で住まれている方が、実家の農地を耕すことは物理的に難しいでしょう。

冒頭でも説明したとおり、農地の相続は慎重に判断する必要があります。なぜなら一度相続してしまうと手放したくても、簡単に手放せない場合があるからです。

本章では農地の相続を望んでいない人が知っておくべき選択肢について説明したいと思います。

5-1 農地のまま売却

1つは農地を売却する方法です。手続きとしては一度、相続登記(名義変更)してから、売却することになります。ただし原則として、農地は一定の要件を満たした農家にしか売れないので、買い手を見つけるのは容易ではありません。また、自分たちで勝手に売買できず農業委員会による許可をはじめとした複雑な手続きが必要となります。

確実に売却できるかどうかについて、しっかりと調査して判断しましょう。

5-2 農地以外の用途に転用

2つ目は農地以外に転用する方法です。農地の転用とは「土地の種目を農地から宅地へ」変更することで、住宅地として売買したり、農業以外の活用をできるようにするものです。市街化区域の第2種農地や第3種農地は宅地に転用できるので、宅地にしてからさまざまな方法で活用したり売却したりすると良いでしょう。

宅地であれば土地上に建物を建てて賃貸もできますし、宅地として売却すれば買い受け人も探しやすく高値で売れるでしょう。都市部なら駐車場などにして賃貸収入を得る活用方法も考えられます。

転用には農業委員会による許可が必要ですが、一回許可をもらったら農地のまま処分するよりずいぶん活用が楽になります。

ただし、農地の場所や地域により条件を満たさない場合、転用することは非常に困難になるため、転用できるかどうかについて、しっかりと調査して判断しましょう。

5-3 農地を相続放棄

売却できない、転用できないとなれば、次に検討するのが「相続放棄」です。

相続放棄すれば農地の相続から逃れられます。ただし、相続放棄すると農地だけではなく、その他の財産もすべて相続できなくなります。したがって他に価値のある遺産(自宅や預貯金など)があるなら、現実的には相続放棄できないケースも多々あります。

また相続放棄できるのは基本的に「相続開始を知ってからか月以内」です。農地を相続しようか迷っている間に相続放棄の期限が過ぎてしまうケースもあるので、手続きするなら急ぎましょう。判断が難しい場合や期限まで近い場合は、司法書士がアドバイスいたしますので、ご相談下さい。

相続放棄について詳しく知りたい人はこちら

5-4 最低限の管理のもと放置

農地を相続したくないけれど相続放棄はしたくないし、転用の条件も満たさない、かといって農地のまま売却するのも困難な状況なら、相続して「最低限の管理のみ行い放置する」しかありません。

ただし最低限の管理は必要です。近隣に迷惑をかけないよう、雑草が伸びすぎたら除去なども必要ですし害虫などにも注意してください。特に農地上に納屋等の建物が建っていると環境悪化や倒壊、犯罪に使われるなどの危険が生じる可能性があるので、取り壊した方が良いでしょう。

また活用しなくても農地を所有し続けている限り固定資産税はかかり続けます。

放置する場合、相続登記もしない方がおられますがそれはお勧めできません。後々あなたが死亡して再度の相続が起こったときにお子様やお孫さん達が困るので、相続登記だけはきちんとしておいてあげてください。


まとめ

農地の相続は一般の宅地相続とは違い、特に農家でない方にとっては負担が重くなるものです。できれば生前から相続税の問題、相続後の活用や処分の方法を検討しておきましょう。

また農地を相続したら必ず「相続登記」と「農業委員会への届出」が必要です。登記が手間となる場合ややり方が分からない場合、司法書士が代行いたします。当法人は農地の相続に詳しい税理士とも提携しておりますので、税金関係についてお悩みの方もお気軽にご相談下さい。

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