実家を相続したらどうする?|名義変更の手続きや税金の注意点を解説

不動産名義変更 税金

親が亡くなった場合、実家を相続することとなります。

実家の相続は、現金のように「相続して終わり!」というわけにはいきません。法務局での名義変更の手続きや、相続税申告のための評価などが必要です。

このような手続きが必要と言われても、初めての経験でどうしたら良いかわからないという方も多いでしょう。

そこで今回は、実家を相続する際に必要な手続きや税金・費用、相続する際の注意点、節税方法などを網羅的に解説します。

実家を相続した方、今後実家を相続する予定の方は是非参考にしてください。


1章 そもそも実家を相続すべきでない場合

遺産があるからといって、必ず相続人が相続しなければいけないというわけではありません。相続したくないのであれば「相続放棄」をすることができます。それは実家であっても同様です。

以下のようなケースでは、実家を相続しても損する可能性があるので相続放棄を検討すべきと言えるでしょう。

  • 実家や他の遺産以上に借金がある
  • 実家が不動産価値がほとんどないエリアにある

実家に暮らしているのであれば居住用として相続しても良いですが、借金も相続してしまう場合は、借金を承継しながらもそこに住み続ける価値があるかどうかを考えるべきでしょう。

相続放棄について詳しく知りたい方はこちら


2章 実家を相続する際に必要な手続き

ここでは、実家を相続した際に必要な手続きをそれぞれの期限とともに紹介します。

手続き期限
相続人の調査特に期限はない(目安:2ヶ月以内)
不動産の調査特に期限はない(目安:2ヶ月以内)
相続放棄相続が開始された日から3ヶ月以内
遺産分割協議特に期限はない(目安:3~10ヶ月以内)
相続登記特に期限はない(目安:3~10ヶ月以内)
相続税の申告相続が開始された日から10ヶ月以内

ではそれぞれ詳しく見ていきましょう。

2-1 相続人の調査

遺産相続を進める際、正確な相続関係を把握するためにまず「相続人の調査」をしなければいけません。相続人を正確に把握せずに遺産分割協議を行っても、その後参加していない相続人がいることが発覚すれば、その遺産分割協議は無効となってしまうからです。

相続人の調査は、被相続人の生まれた日から亡くなった日までの戸籍謄本」を収集することで行います。

戸籍謄本は、通常3〜8通程度あります。亡くなった日から遡り、それぞれの各本籍地で取得しましょう。

特に期限は決められていませんが、相続人の調査が遅れてしまうとすべての相続手続きが後ろ倒しとなってしまうので、相続開始から2ヶ月程度を目安に済ませましょう。

相続人の調査について詳しくはこちらを御覧ください。

2-2 不動産の調査

不動産を相続する際には、相続の対象である不動産の地番や家屋番号などの調査が必要です。これらの情報は、以下の資料から収集できます。

・固定資産納税通知書
固定資産税の納付について毎年市区町村役場から納税者に届く書類です。もし手元にない場合は、不動産所在地の市区町村役場で「不動産評価証明書」という書類を発行してもらえますので、そちらで代用しましょう。

・登記済権利証または登記識別情報通知
不動産を購入したり、相続したりした際に法務局で発行される書類です。再発行はできません。

・登記簿謄本
登記事項が記載されている書類です。法務局で取得できます。最新のものが必要なため、古いものが見つかったとしても、再度発行してもらいましょう。

資料が見つからないときは・・・

これらの資料が見つからない場合は、相続不動産のある場所を管轄している市税事務所や市区町村役場で「名寄帳」を取得しましょう。

名寄帳には亡くなった人が所有していたすべての不動産の地番や家屋番号が記載されています。ただし、管轄している内の不動産の情報しか記載されていないため、複数の地域に不動産がある場合は、それぞれの市税事務所または市区町村役場で取得してください。

2-3 相続放棄

相続放棄とは、その名の通り「相続を放棄」することです。マイナスの遺産がある場合や、遺産が不動産しかなく、不動産を相続する人以外は相続しない場合などに相続放棄を選択します。

遺産の全貌を見て、相続放棄をするかどうか検討しましょう。

相続放棄の期限は相続が開始した日から3ヶ月以内です。期限が早いので、注意してください。

相続放棄についてより詳しく知りたい方はこちらを御覧ください。

2-4 遺産分割協議

遺言書がない場合、遺産分割協議を行う必要があります。

遺産をどう分割するか、相続人間で話し合います。遺産分割協議は、相続人全員が集まって行う必要はなく、手紙やメール、電話などで行っても問題ありません

遺産分割協議がまとまったら、遺産分割協議書を作成し、相続全員で署名・捺印をして完了です。

遺産分割協議に期限はありませんが、遺産分割協議が完了しないと相続税の申告が煩雑になるため、相続税の申告期限より以前に済ませておくことが理想です。

2-5 相続登記

実家を相続したら、実家の名義を亡くなった人から相続人へ変更しなければいけません。この手続きを「相続登記」と言います。

相続登記に法的な期限はありませんが、放置しておくと様々なリスクがありま。なるべく早めに手続きを行いましょう。

必要書類と登記申請書の書式は
・遺産分割による相続
・法定相続分による相続
・遺言書による相続

の場合など、パターンによりそれぞれ異なります。

2-5-1 遺産分割協議による相続の場合

相続登記 遺産分割 必要書類

2-5-2 法定相続による相続の場合

相続登記 法定相続 必要書類

2-5-3 遺言書による相続の場合

相続登記 遺言 必要書類

申請書を作成したら、集めた書類を添付して、法務局にて申請します。

もし、書類などに不備があれば法務局から連絡がありますので、指示に従いましょう。

完了予定日までに特に連絡がなければ登記が完了したということです。法務局で完了書類を受け取りましょう。

不動産の相続登記について詳しく知りたい方はこちらを御覧ください。

2-6 相続税の申告

遺産を相続し、相続税がかかる場合は相続税を申告し、支払わなければいけません。なお、遺産総額が基礎控除【3000万円+(600万円×法定相続人の数)】以内であればそもそも相続税はかからないので、相続税の申告も不要です。

遺産 税金

相続税の基礎控除について、詳しくはこちらをご覧ください。

相続税の申告は、相続が開始した日から10ヶ月以内に行わなければいけません。これを過ぎてしまうとペナルティがありますので、必ず期限内に行いましょう

相続税は、相続財産の総額から算出し、申告書を作成し、税務署へ提出します。申告書は自身で作成することも可能ですが、一般的な確定申告とは異なり複雑な点が多いため、不安な場合は税理士に依頼しましょう。

なお、相続税の申告に必要な書類は以下のとおりです。

【身分関係の書類】

  • 被相続人の戸籍・除籍謄本、戸籍の附票
  • 被相続人の住民票の除票
  • 相続人全員戸籍謄本、戸籍の附票
  • 相続人全員の住民票
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 相続人全員の身分証明書のコピー

【不動産関係の書類】

  • 登記事項証明書
  • 固定資産税の評価証明書
  • 実測図

3章 実家を相続した際にかかる税金と費用

不動産相続についてより詳しく知りたい方はこちらを御覧ください。

実家を相続した際、以下のような税金と費用がかかります。

税金
相続税期限相続開始から10ヶ月以内
支払先税務署
登録免許税期限登記申請時に印紙にて納める
支払先法務局
※印紙の購入は郵便局などで可能
費用
戸籍謄本等の取得費用数千円~1万円程度
司法書士へ名義変更を依頼する手数料相場5万円〜15万円程度
税理士へ相続税申告を依頼する手数料相続財産の0.5〜1%程度

それぞれ詳しく見ていきましょう。

3-1 相続税

相続税は、不動産を含む遺産を相続した場合にかかる税金です。税額は、不動産だけでなく他に相続したものがあればそれも含めた相続財産から算出します。

ただし、不動産の場合は金額が明確でないため、あらかじめ評価額を算出しなければいけません。

不動産の評価方法が以下の通りです。

土地路線価
建物固定資産税評価額

この評価には専門的な知識が必要です。評価をする場合は税理士や不動産鑑定士などの専門家へ依頼しましょう。

不動産の評価方法について詳しく知りたい方はこちら

相続税およびその控除について詳しく知りたい方はこちら

3-2 登録免許税

登録免許税とは、登記手続きにかかる税金です。相続における名義変更の場合は、不動産の固定資産評価額の0.4%が課されます。

例えば不動産の固定資産税評価額が1,000万円の場合は4万円、2,000万円の場合は8万円の登録免許税がかかります。

登録免許税について詳しく知りたい方はこちら

3-3 戸籍謄本などの取得費用

税金以外にも、申請に必要な書類を取得する際に費用がかかります。

  • 登記事項証明書:不動産1個につき600円
  • 戸籍謄本類の発行手数料:300円程度
  • 印鑑登録証明書:300円程度
  • 郵便代:場所により異なる

その場で必要となる費用なため、事前に用意しておきましょう。

3-4 司法書士への依頼料

不動産の名義変更手続きは複雑です。不安な方や、時間がない方は司法書士へ依頼することをおすすめします。

司法書士に名義変更手続きを依頼した場合の手数料の相場は515万円です。

相続した不動産の評価額、物件数、申請が必要な法務局の数によって増減します。

なお、グリーン司法書士法人・行政書士事務所では相続登記申請の手続きを30,000円〜で承っております。

3-5 税理士への依頼料

相続税の申告は、一般的な確定申告よりも複雑ですし、申告額を間違えてしまうと大きな損をするリスクがあります。

そのため、相続税に関しては税理士に任せることをおすすめします。

税理士に相続税の申告を依頼する手数料の相場は相続財産の0.5〜1%程度とされています。

 不動産相続にかかる費用について詳しく知りたい方はこちらを御覧ください。


4章 実家相続後の運用方法

元々実家に暮らしていた方は、そのまま住み続けるかと思います。しかし、住んでいない、今後も住む予定がないという方もいらっしゃるでしょう。

では、その場合実家はどうしたら良いのでしょうか。

ここでは実家の運用方法を紹介します。

4-1 売却する

実家に住まない場合、売却してしまうのが最も簡単です。売却する際にかかる税金などはありますが、それでも利益は出ます

実家を管理する必要もないですし、固定資産などの支出もないので、可能なのであれば売却することをおすすめします。

4-2 賃貸にする

都心に近い場所や、ベッドタウンなど価値のある立地であれば賃貸することで継続して収益を得ることができます。マンション等の集合住宅であれば、なおさらです。

ただし、多くの場合現状のままでは貸し出せず、リフォームが必要です。初期投資としてリフォーム代がかかるというデメリットがあります。

リフォームの内容にもよりますが、フルリフォームであれば数百万円かかります。

4-3 土地を活用する

売却や賃貸にすることが難しいのであれば、建物を取り壊して駐車場などで活用することも1つの手段です。

また、更地にした土地に自身の家を建てるのも良いでしょう。

実家が古い場合は取り壊すことも検討しましょう。


5章 実家を相続するときの注意点とポイント

実家は不動産であるため、現金のように融通が効きません。そのため、いくつかの注意点があります。

実家を相続する際は、以下の注意点を留意しておきましょう。

5-1 家と他の財産は別々で計算できない

遺産分割をする際、現金や不動産など形式に区別はありません。

例えば、3,000万円の家と1,000万円の預金があり、兄弟2人で分けるとします。遺産総額は4,000万円と換算され、兄弟それぞれ2,000万円ずつ相続する権利があります。「兄は家、弟は預金」で納得してもらえれば問題ありませんが、預金を相続した側が残りの1,000万円を要求してきた場合、相応の現金を支払う必要があります

実家を売却するつもりであれば、売却したお金で補填することはできますが、元々住んでいた場合は売ることもできないため、自身で現金を用意しなければいけません。

このようなトラブルが予想される場合は、遺言書の作成や生命保険、生前贈与などで事前に対策をしておきましょう。

また、これらの対策は自身で行うと、いざというときに逆効果になる可能性もあります。そのため司法書士など相続に詳しい専門家へ相談すると良いでしょう。

生命保険や生前贈与による相続対策について詳しく知りたい方はこちら

5-2 誰の名義にするか慎重に検討しよう

被相続人が亡くなった後も実家に暮らす親がいるのであれば、実家の名義を親にするか子どもの誰かにするかどちらかになるかと思います。なお、名義は原則として、相続した人の名義となります。

親が相続する場合は、配偶者控除があるため実家が高額な場合でも相続税がかからない場合がほとんどです。(財産が1億6,000万円以内の場合)しかし、親が相続しても、結局は後々子どもが相続することとなるため、相続税が発生する場合、子どもは相続税を払うこととなります。

また、親名義の実家を、後ほど施設などに入居したことをきっかけに売却を考えた際、親が認知症などによって判断が難しくなってしまっていると売却の手続きが進められなくなってしまいます。

そのため、実家を誰の名義にするかは慎重に検討する必要があります。

名義人を検討する上で並行して、親が相続する場合は家族信託など、親が実家に暮らし続けるのであれば配偶者居住権の活用などを検討すると良いでしょう。

自身で判断がつかない場合は、司法書士など相続に詳しい専門家へ相談すると良いでしょう。

5-3 名義変更は速やかに行おう

不動産の名義変更には法的な期限はありません。

だからといって名義変更をしないまま放置してしまうと以下のようなリスクがあります。

  • 新たな相続が発生し、相続人が増えることで遺産分割協議が難航する
  • 相続人の気が変わり相続登記の手続きに協力してくれなくなる
  • 相続人が認知症になってしまい、必要なときに相続登記ができなくなってしまう

手続きは少々面倒ですが、それよりもリスクのほうが大きいのでなるべく速やかに名義変更の手続きをしましょう。

時間がない、めんどくさいという方や、手続方法がわからないという方は司法書士に依頼することをおすすめします。

5-4 共有名義はトラブルになる可能性大

不動産の名義は、相続人数人で共有名義にすることもできます。遺産が不動産しかなく、相続人間で分配が難しいため共有名義にするケースもあるでしょう。しかし、それはあまりおすすめできません

共有名義にした場合、売却しようと思ったとき共有者全員の同意が必要です。共有者の一人でも反対されたり、認知症などになってしまったりした場合、スムーズに売却できません。

また、共有者の誰かが亡くなった際、その人の相続人へ相続されることとなります。場合によっては関係性の薄い人(共有者の配偶者やその親族など)と共有することとなるケースもあります。

そのため、トラブルに発展することも珍しくありません。

共有名義には、このようなリスクやデメリットがありますので、しっかりと理解しておきましょう。

5-5 空き家になるなら売却を検討しよう

家は、空き家にしておくと劣化し、雨漏りやシロアリなどの被害が出る可能性も高くなります。不動産としても価値もどんどん下がる一方なのです。

また、不動産は持っているだけで固定資産税や維持費がかかります

相続されてから3年以内であれば、様々な控除や特例が受けられます。住む予定がないのであれば早めに売却することを検討しましょう


6章 実家を相続する際の節税方法

実家を相続した場合、現金を受け取れない場合も多いのでなるべく税金を抑えたいですよね。

ここでは不動産を相続する際の節税方法について解説します。

6-1 相続税の配偶者控除

被相続人の配偶者が相続する場合「配偶者控除」が受けられます。

 配偶者控除は、配偶者の課税対象額が16,000万円であれば課税されない制度です。

 そのため、被相続人の遺産を配偶者が相続することで相続税を大きく節税することは可能です。

一方で、将来配偶者が亡くなり子どもに相続する場合、相続する人は配偶者控除を使えず、さらに配偶者がご存命のときよりも相続人が1人減る(基礎控除額が減る)状況で相続することとなり、相続税が多くかかることとなるので注意が必要です。

6-2 小規模宅地の特例

「小規模宅地の特例」とは、被相続人の自宅や賃貸アパート、貸駐車場、事業所などの土地の評価額を減額する特例です。評価額が減額されることで、結果的に減税に繋がります。

この特例の対象となる土地は、以下の4つに区分されます

  • 特定居住用宅地等(亡くなった被相続人の自宅)
  • 貸付事業用宅地等(賃貸アパートや貸駐車場など収益物件)
  • 特定事業用宅地等(被相続人の事業用地)
  • 特定同族会社事業用宅地等(亡くなった人が自身の経営する同族会社に貸していた土地) ※同族会社とは、被相続人とその親族の持株割合が50%を超える会社です。

 それぞれの特例が適用できる免責の上限と減額割合は以下のとおりです。

土地の面積が限度面積を超える場合は、限度面積までが減額の対象となります。

なお、小規模宅地の特例によって減額できるのは土地のみです。建物は対象外なので注意しましょう。また、敷地に構築物のない空き地の場合も適用されません

6-3 空き家の特例

「空き家の特例」は、売却する際に受けられる特例です。

被相続人が亡くなったことにより空き家となった住宅を相続し、その住宅を売却した場合、売却益から3,000万円の特別控除があります。

被相続人の生前に同居していた場合は適用されません。あくまで被相続人が亡くなった時点で一人暮らしだった場合に限ります

空き家特例について詳しくはこちらをご覧ください

6-4 売却する場合の取得費加算の特例

相続により取得した土地や建物などを310ヶ月以内に譲渡(売却)した場合、それらを相続した際に支払った相続税額の一定金額を譲渡資産の取得費に加算できるという特例です。

 取得費加算の特例が適用される条件は以下のとおりです。

・相続または遺贈によって取得した財産であること
・相続時に相続税が課されていて納税していること
・相続開始日の翌日から3年10ヶ月以内に売却していること

不動産を売却した場合、所得税が加算され、この所得税の課税対象は【売却代金―取得費―手数料】となります。

相続して不動産を得た場合、購入したわけではないので「取得費」はかかりません。

しかし、この特定を活用することで、相続税を支払っている場合はその相続税を「取得費」として一部加算することができます

6-5 配偶者居住権の活用

配偶者居住権は「相続が発生する前に被相続人の配偶者が住んでいた家は、配偶者がその自宅のを相続しなくても、住める権利」とです。

 例えば夫が亡くなり、残した遺産が自宅5,000万円、現金1,000万円の場合、遺産総額は6,000万円です。法定相続分だと妻3,000万円、子ども2人が計3,000万円相続することとなり、この通り相続するとなると妻は家を失う上に、現金で2,000万円支払わなければいけません。家もお金も亡くなってしまったら、暮らしていけませんよね。

 そのようなケースで配偶者居住権が活用できます。配偶者居住権が2,000万円の場合、妻は2,000万円の配偶者居住権と現金1,000万円を相続することができます。なお、配偶者居住権はあくまで「住む権利」であり、その他の権利は子どもが相続することとなります。

 なお、配偶者居住権は、配偶者が亡くなった際には消滅します。ここがキーポイントです。

 5,000万円の家を妻がそのまま相続した際、配偶者控除によって相続税はかかりませんが、妻が亡くなったあとに子どもが相続する場合は、相続税がかかります。しかも、妻が亡くなる前は法定相続人が「妻・子ども」の2人だったので、基礎控除が【3,000万円+600万円×2=4,200万円】で、課税対象額が800万円だったに対し、妻が亡くなると法定相続人が2人となり、課税額は【5,000万円-(3,000万円+600万円×1)=1,400万円】となってしまいます。二次相続をする子どもたちには相続税がまるごとかかってしまうのです。

二次相続に関する節税対策については、こちらで詳しく解説しています。

一方で、配偶者居住権を活用し、妻が配偶者居住権2,000万円と現金1,000万円、子どもが住宅のその他の権利3,000万円分を相続した場合、妻も子どもも相続税の基本控除内の相続となりますので相続税はかかりません。そして、妻が亡くなった後は妻が生前相続した2,000万円の配偶者居住権は消滅しますので、子どもには相続するものがないため当然相続税はかかりません。

 このように、配偶者居住権を活用することで節税することも可能です。

配偶者居住権について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

相続が発生する前なら配偶者への居住用不動産贈与の活用も!
通常、家などの不動産を贈与する場合、贈与税がかかります。贈与税は相続税より高額で、3,000万円を超えると50%以上の贈与税がかかってしまうのです。しかし、長年連れ添った夫婦であればこの贈与税が最大2,000万円までかかりません。これを贈与税の配偶者控除(通称おしどり贈与)といいます。適用される要件は以下のとおりです

  • 婚姻期間が20年以上であること
  • 配偶者に対して居住用の不動産又は購入用の資金を贈与したこと

加えて、通常であれば亡くなった日から数えて3年以内の贈与の場合、相続財産として相続税の課税対象となるところ、贈与税の配偶者控除を利用すれば、贈与が3年以内だったとしても相続財産として加算されず相続税もかかりません。

ご自身が亡くなった後に、配偶者のお住いが心配という方は元気な間に住宅を配偶者に譲っておくというのも一つの手段です。 


まとめ

実家を相続する場合、現金を相続するよりも手続きが複雑です。名義変更の手続や、土地・住宅の評価などをしなければいけません。

そのため、トラブルや手続きのミス・漏れが生じることも珍しくありません。

また、相続した後の実家の扱いについても悩みますよね。物件やご家族の状況を見ながらどうするか慎重に考えましょう。もし売却をお考えであれば早めに売却することをおすすめします。

すこしでも不安なことがあれば相続に詳しい司法書士や弁護士などの専門家への相談しましょう。

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