遺産相続の優先順位と相続割合を簡単解説【見てわかるイラスト付】

遺産相続の優先順位と相続割合を簡単解説【見てわかるイラスト付】
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司法書士山田 愼一

 監修者:山田 愼一

この記事を読む およそ時間: 17

いざ、家族や親族が亡くなると「誰がどれくらいの割合で財産を受け継ぐのか」が気になってくる人が多いのではないでしょうか。
私たちの様な法律の専門家も相談を受けるときに、1番大事なポイントがまさに相続の優先順位や割合といった部分です。

これまで様々な相続シーンに立ち会ってきましたが、中には相続順位や相続割合について知らなかったが故に相続放棄の選択を誤ってしまい、多額の負債を相続してしまうといったケースも過去にはございました。
このように、相続では選択を誤ると取り返しのつかない大きなミスになる場合もあるので、相続順位や相続割合については正確に理解しておかなければなりません。

本記事では、遺産を相続する際の優先順位および割合について、イラストを用いてわかりやすく解説していきます。
家族や親族が亡くなったときに行う相続手続きの流れについては、下記の記事で解説しているのでご参考にしてください。

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目次

1章 相続の優先順位とは

家族や親族が亡くなり相続が発生したとき、誰が遺産を受け継ぐかといった優先順位は法律によって下記のように決められています。

相続順位図

常に相続人になる配偶者
第一順位子供や孫
第二順位両親や祖父母
第三順位兄弟姉妹や甥・姪

優先順位の高い相続人が1人でもいる場合、優先順位の低い人物が相続人になることはありません。
例えば、亡くなった人に配偶者と子供がいるケースでは、亡くなった人の両親や兄弟姉妹が生きていても相続人は配偶者と子供のみとなります。

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1-1 相続人にあたる人物が先に死亡していると代襲相続が発生する

代襲相続とは 代襲相続人

上記のイラストのように、相続人にあたる人物がすでに亡くなっている場合に、相続人の子供がかわりに財産を受け継ぐことを「代襲相続」と呼びます。

例えば、上記のイラストのケースでは被相続人(祖父)が死亡したときにすでに次男は亡くなっているため、次男の子供である孫が代襲相続人として祖父の遺産を受け継ぎます。

代襲相続は相続順位ごとに取り扱いが変わってくるため、注意しなければなりません。
それぞれの相続順位ごとの取り扱いは、下記の通りです。

相続順位代襲相続の取り扱い
第一順位(子供や孫)の場合子供が亡くなっていれば孫、孫が亡くなっていればひ孫とどこまでも下の世代がかわりに相続します
第二順位(父母・祖父母)の場合父母が両方いなければ祖父母とどこまでも上の代をさかのぼって相続します
(ただし、このケースは法律上は代襲相続とは呼びません)
第三順位(兄弟姉妹や甥・姪)の場合兄弟姉妹が亡くなっていれば甥・姪がかわりに相続します
甥・姪が亡くなっていた場合はそれ以上の代襲相続は発生しません

上記のように、兄弟姉妹の代襲相続は一代限りしか発生しない点にご注意ください。
兄弟姉妹や甥・姪の全員が死亡しているときに、甥や姪の子供が相続人になることはありません。

他にも、代襲相続の発生について判断する際には下記の点に注意しましょう。

  • 相続放棄では代襲相続が発生しない
  • 養子縁組より前に生まれた子は代襲相続が発生しない

相続放棄は最初から相続人ではなかったとして扱われる制度のため、代襲相続は発生しません。
また、養子縁組より前に生まれた子は養父母の代襲相続人にはなれないのでご注意ください。

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2章 相続割合とは

法律では相続の優先順位だけでなく、各相続人が遺産をどれだけ受け継ぐかの割合についても決めています。
各相続人が受け継ぐ遺産の割合は、下記の通りです。

法定相続人法定相続分備考
配偶者のみ配偶者100%
配偶者+子配偶者1/2子が複数人いる場合は均等に分配
1/2
配偶者+両親などの直系尊属配偶者2/3・親が複数人いる場合は均等に分配
・被相続人に最も近い世代のみが相続人となる。親・祖父母ともに存命の場合でも、親のみが相続人となります。
両親などの直系卑属1/3
配偶者+兄弟・姉妹配偶者3/4
兄弟・姉妹1/4
子のみ子100%
両親などの直系尊属のみ両親100%親が複数人いる場合は均等に分配
兄弟・姉妹のみ兄弟・姉妹100%兄弟・姉妹が複数人いる場合は均等に分配

上記のように配偶者がいる場合は、配偶者とそれ以外の相続人が受け継ぐ遺産の割合が指定されています。
配偶者がいない場合は、同順位の相続人が均等に遺産を分配します。

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相続割合は負債等を受け継ぐ割合でもある

先ほど解説した法定相続分は、預貯金や不動産など故人のプラスの財産だけでなく、マイナスの財産を受け継ぐ割合でもあります。
そのため、借金をしていた家族や親族が亡くなり相続人となった場合、借金まで受け継いでしまうのでご注意ください。

借金を受け継がないようにするには、自分が相続人であると知ってから3ヶ月以内に相続放棄の申立てを行う必要があります。

借金は相続します!正しい対処法とトラブルを予防・回避するポイント

3章 33の事例で見る!相続優先順位と相続割合

本記事の1章と2章で相続の優先順位や相続の割合を解説してきました。
本章ではより具体的にパターン別の相続人や相続の割合を紹介します。

【一覧表】 対応する番号を選択するとそこへ飛びます

あなたの親(養親含む)が亡くなったときの相続順位・割合
1番 配偶者と子供がいる場合
2番 配偶者(夫や妻)が既に亡くなっていて子どもがいる場合
3番 親が離婚している場合
4番 子のうちの一人が亡くなっており孫がいる場合
5番 子の一人が養子に出ている場合
6番 認知された子がいる場合

あなたの妻又は夫が亡くなったときの相続順位・割合
7番 子供のうちの一人が他界している場合
8番 子供がいない、または、すでに他界していて孫がいない場合
9番 配偶者と祖父母が相続人となる場合
10番 被相続人(亡くなられた方)が養子になっていた場合
11番 配偶者に連れ子がいる場合

あなたの子が亡くなったときの相続順位・割合
12番 子(被相続人)に配偶者も子供もいない場合
13番 子(被相続人)に配偶者がいて子供がいない場合
14番 子(被相続人)に配偶者と子がいる場合
15番 子(被相続人)の親の一方が亡くなっている場合
16番 養子に出した子・養子にもらった子の相続の場合
17番 配偶者の連れ子が亡くなった場合

あなたの叔父・叔母が亡くなったときの相続順位・割合
18番 甥・姪が相続人となる場合
19番 叔父・叔母(被相続人)に配偶者がいる場合
20番 叔父・叔母(被相続人)の子が亡くなっているが孫がいる場合
21番 叔父・叔母(被相続人)の兄弟姉妹の子が亡くなっている場合
22番 叔父・叔母(被相続人)の親がいる場合

あなたの祖父・祖母が亡くなったときの相続順位・割合
23番 子供のうちの一人が先に他界している場合
24番 子供のうちの一人が後で他界している場合
25番 子供のうちの二人が次々に他界している場合
26番 養父母の父母が亡くなりすでに養父母も亡くなっていた場合

あなた・配偶者に連れ子がいるときの相続順位・割合
27番 配偶者に連れ子がいる場合
28番 配偶者に連れ子がいる場合(養子縁組している場合)

あなたの義父母(夫又は妻の父母)が亡くなったときの相続順位・割合
29番 配偶者と子供がいる場合
30番 配偶者がすでに亡くなっていて子供がいる場合
31番 親(義父母)が離婚している場合
32番 義父もしくは義母が亡くなった後に子供が亡くなった場合
33番 子のうちの一人が亡くなっており孫がいる場合

なお、図に分数が記載されている人は相続人であり、記載されている分数が相続割合となります。

3-1 あなたの親(養親含む)が亡くなったときの相続順位・割合

まずは父親や母親が亡くなったときの相続の優先順位や相続割合を見ていきましょう。

1. 配偶者と子供がいる場合

亡くなった人に配偶者と子供がいる場合は、下記の割合で財産を受け継ぎます。

配偶者2分の1
子供2分の1
(複数人いる場合はそれぞれ等分する)

2. 配偶者(夫や妻)が既に亡くなっていて子どもがいる場合

相続優先順位と相続の割合事例/配偶者(夫や妻)が既に亡くなっていて、子どもがいる場合

亡くなった人の配偶者がすでに他界している場合は、子供のみが相続人となります。
子供が複数人いる場合は、それぞれ等分で遺産を受け継ぐのが原則です。

なお、上記のように父親もしくは母親が亡くなった後、遺された配偶者も亡くなることを「二次相続」と呼びます。

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3. 親が離婚している場合

相続優先順位と相続の割合事例/親が離婚している場合

亡くなった親が離婚している場合、離婚した配偶者は相続権を持ちません。
したがって、子供のみが財産を受け継ぎます。

4. 子のうちの一人が亡くなっており孫がいる場合

相続優先順位と相続の割合事例/子のうちの一人が亡くなっており、孫がいる場合

本来であれば相続人である子供がすでに亡くなっている場合は代襲相続が発生し、故人の孫が代襲相続人となり財産を受け継ぎます。
孫が代襲相続人となった場合は、相続順位が第1順位なので故人の両親や兄弟姉妹より優先して遺産を相続可能です。

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5. 子の一人が養子に出ている場合

相続優先順位と相続の割合位事例/子の一人が養子に出ている場合

養子縁組には①普通養子縁組と②特別養子縁組の2種類があり、普通養子縁組では養親と実親両方の子供として相続人になれます。
したがって養子に出た子供も実親が亡くなったときには、相続人になり他の子供と同様に遺産を相続可能です。

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6. 認知された子がいる場合

相続優先順位と相続の割合事例/認知された子がいる場合

亡くなった人が愛人と子を作り認知していた場合などは、認知された子も実子同様の相続権を持ちます。
一方で、内縁の妻や愛人など法律上の夫婦関係にない人物は、相続人にはなれません。

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3-2 あなたの妻又は夫が亡くなったときの相続順位・割合

続いて、妻もしくは夫が亡くなったときの相続の優先順位と相続割合を見ていきましょう。

7. 子供のうちの一人が他界している場合

相続優先順位と相続の割合事例/子供のうちの一人が他界している場合

配偶者が死亡したときにすでに子供が亡くなっていた場合は、代襲相続が発生し、孫にあたる人物が財産を受け継ぎます。
一方で、亡くなった子供の配偶者が相続権を持つことはありません。

8. 子供がいないまたはすでに他界していて孫がいない場合

相続優先順位と相続の割合事例/子供がいない、または、すでに他界していて孫がいない場合

亡くなった配偶者に子供がいない、もしくはすでに他界していて代襲相続人となる孫もいない場合は、相続順位が2位である故人の両親が財産を受け継ぎます。
配偶者と故人の両親が相続人になるときの相続割合は、下記の通りです。

配偶者3分の2
両親や祖父母3分の1
(両親が存命など複数人いる場合は等分する)

9. 配偶者と祖父母が相続人となる場合

相続優先順位と相続の割合事例/配偶者と祖父母が相続人となる場合

亡くなった配偶者に子供がいなく、両親もすでに他界している場合は祖父母が相続人になります。
なお、故人の両親および祖父母が存命の場合は、祖父母ではなく両親のみが相続権を持ちます。

10. 被相続人(亡くなられた方)が養子になっていた場合

相続優先順位と相続の割合事例/被相続人(亡くなられた方)が養子になっていた場合

亡くなった人が普通養子縁組により養子となっていた場合、実親と養親の両方が相続人になる場合があります。
実親と養親の相続割合は変わらないため、それぞれで遺産を等分して受け継ぎます。

11. 配偶者に連れ子がいる場合

相続優先順位と相続の割合事例/配偶者に連れ子がいる場合

相続人になれる子供は実子や養子のみため、自分の連れ子は故人と養子縁組していない限り相続人になれません。

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3-3 あなたの子が亡くなったときの相続順位・割合

続いて、ご自身の子供が亡くなった場合の相続の優先順位および相続割合を見ていきましょう。

12. 子(被相続人)に配偶者も子供もいない場合

相続優先順位と相続の割合事例/子(被相続人)に配偶者も子供もいない場合

亡くなった子供に配偶者も子供もいなかった場合、故人の両親が財産を受け継ぎます。
父と母の両方が存命の場合は、それぞれ2分の1ずつ財産を受け継ぎます。

13. 子(被相続人)に配偶者がいて子供がいない場合

相続優先順位と相続の割合事例/子(被相続人)に配偶者がいて、子供がいない場合

亡くなった人に配偶者がいるものの子供がいなかった場合、故人の配偶者と両親が財産を受け継ぎます。
相続割合はそれぞれ下記の通りです。

配偶者3分の2
両親3分の1
(両親が存命の場合は等分するため、それぞれの相続分は6分の1となります)

14. 子(被相続人)に配偶者と子がいる場合

相続優先順位と相続の割合事例/子(被相続人)に配偶者と子がいる場合

亡くなった人に配偶者と子供がいた場合、配偶者と子供が財産を受け継ぐため両親や故人の兄弟姉妹は相続権を持ちません。
配偶者と子供は、それぞれ下記の割合で遺産を受け継ぎます。

配偶者2分の1
子供2分の1

上記のイラストでは子供が1人のため財産を2分の1受けぎますが、子供が複数人いる場合はそれぞれ等分して遺産を相続します。

15. 子(被相続人)の親の一方が亡くなっている場合

相続優先順位と相続の割合事例/子(被相続人)の親の一方が亡くなっている場合

亡くなった人に配偶者がいて、子供が死亡もしくはいない場合は配偶者と両親で相続します。
父と母のどちらかが亡くなっている場合は、配偶者と父もしくは母が下記の割合で相続可能です。

配偶者3分の2
父親・母親3分の1

16. 養子に出した子・養子にもらった子の相続の場合

相続優先順位と相続の割合事例/養子に出した子・養子にもらった子の相続の場合

普通養子縁組により養子に出した子や養子にもらった子が亡くなった場合、実親と養親の両方が相続人となります。
亡くなった子に配偶者がいなかった場合は、実親と養親が財産を等分して相続します。

17. 配偶者の連れ子が亡くなった場合

相続優先順位と相続の割合事例/配偶者の連れ子が亡くなった場合

配偶者の連れ子が亡くなった場合、連れ子の実親である配偶者は相続人となります。
一方で、連れ子とあなたが養子縁組していない場合、法律上の親子関係が生じていないため相続人にはなりません。

3-4 あなたの叔父・叔母が亡くなったときの相続順位・割合

叔父や叔母が亡くなったときも、場合によっては甥や姪の立場にある人が相続人となる可能性があります。
詳しく見ていきましょう。

18. 甥・姪が相続人となる場合

相続優先順位と相続の割合事例/おい・めいが相続人となる場合

甥・姪が相続人となるケースは非常に限られていて、下記の条件を満たす場合のみです。

  • 亡くなった叔父や叔母に子供がいない
  • 亡くなった叔父や叔母の両親(あなたから見た祖父母)がすでに他界している
  • あなたの父もしくは母(亡くなった叔父や叔母の兄弟姉妹)がすでに他界している

上記のケースのみ、甥や姪が代襲相続人として叔父や叔母の相続人になります。

子供のいない叔母・叔父の財産は誰が相続する?甥・姪の相続割合とは

19. 叔父・叔母(被相続人)に配偶者がいる場合

相続優先順位と相続の割合事例/叔父・叔母(被相続人)に配偶者がいる場合

亡くなった人の配偶者は常に相続人になるため、亡くなった人の配偶者と甥、姪が相続人になる場合もあります。
配偶者と甥、姪が相続人になるケースの相続割合は、下記の通りです。

配偶者4分の3
甥・姪4分の1

甥や姪が複数人いる場合は、それぞれ等分して遺産を受け継ぎます。

20. 叔父・叔母(被相続人)の子が亡くなっているが孫がいる場合

相続優先順位と相続の割合事例/叔父・叔母(被相続人)の子が亡くなっているが孫がいる場合

亡くなった人に子供がいたが死亡しており、孫がいるケースでは孫が代襲相続人となり遺産を受け継ぎます。
子供の代襲相続人となった孫は相続順位が1位であるのに対し、甥や姪の相続順位は3位です。

優先順位が高い人物が1人でもいると、順位が低い人物は相続人になれないため、上記のケースでは配偶者と孫が相続人になります。

21. 叔父・叔母(被相続人)の兄弟姉妹の子が亡くなっている場合

相続優先順位と相続の割合事例/叔父・叔母(被相続人)の兄弟姉妹の子が亡くなっている場合

亡くなった人の兄弟姉妹およびその子供が亡くなっている場合、生存している甥や姪が財産を相続します。
上記のケースのように、亡くなった人に配偶者がいない場合は、甥や姪がすべての遺産を受け継ぎます。

なお、亡くなった人の兄弟姉妹の代襲相続は1代限りしか発生しません。
そのため、上記のケースのように叔母の孫にあたる人物が生きている場合でも、代襲相続人にはなれません。

22. 叔父・叔母(被相続人)の親がいる場合

相続優先順位と相続の割合事例/叔父・叔母(被相続人)の親がいる場合

亡くなった人に子供がいないものの父親もしくは母親が生きている場合、亡くなった人の父親もしくは母親(あなたから見た祖父母)が相続人になります。

亡くなった人の父親や母親は相続順位が2位なのに対し、亡くなった人の兄弟姉妹や甥、姪は相続順位が3位だからです。

3-5 あなたの祖父・祖母が亡くなったときの相続順位・割合

続いて、あなたの祖父や祖母が亡くなった場合の相続の優先順位や割合について見ていきましょう。

23. 子供のうちの一人が先に他界している場合

相続優先順位と相続の割合事例/子供のうちの一人が先に他界している場合

祖父母が亡くなった場合、基本的には配偶者と故人の子供(あなたから見た父親もしくは母親とその兄弟姉妹)が相続人となります。
しかし、祖父や祖母が死亡したときにすでに子供が亡くなっている場合、孫が代襲相続人となります。

24. 子供のうちの一人が後で他界している場合

相続優先順位と相続の割合事例/子供のうちの一人が後で他界している場合

祖父や祖母が亡くなったときに、子供(あなたから見た父親もしくは母親とその兄弟姉妹)が財産を受け継いだものの子供がその後亡くなった場合を見ていきましょう。
上記のように、祖父や祖母が生きているときには子が生きていたため、代襲相続は発生しません。

その後、子が亡くなり相続が発生し、配偶者と子供(上記の図では私)が財産を受け継ぎます。
上記のように、祖父と子が亡くなるタイミングによっては、祖父と血縁関係のない子の配偶者に祖父の財産が渡ってしまう可能性もあります。

25. 子供のうちの二人が次々に他界している場合

相続優先順位と相続の割合事例/子供のうちの二人が次々に他界している場合

祖父が亡くなった後、子供が次々に他界した場合は上記のイラストのように、子の配偶者や孫が財産を受け継ぎます。
子は祖父より後に死亡しているので、代襲相続は発生しないからです。

上記に書かれている「子」が亡くなり相続が発生したときには、遺産には下記が含まれています。

  • 祖父の遺産
  • 子が自分で築いた財産

上記のように子の遺産には祖父から受け継いだ遺産が含まれており、相続が発生するタイミングによっては祖父の遺産を子が使いきれず「子の配偶者」や「孫」に受け継がれる可能性があります。

26. 養父母の父母が亡くなり、すでに養父母も亡くなっていた場合

相続優先順位と相続の割合事例/養父母の父母が亡くなり、すでに養父母も亡くなっていた場合

養親の父もしくは母(あなたから見た養祖父・養祖母)が死亡したときに、養親がすでに他界している場合は養子のあなたが代襲相続人として財産を受け継ぎます。

3-6 あなたや配偶者に連れ子がいるときの相続順位・割合

続いて、あなたや配偶者に連れ子がいるときの相続の優先順位と相続割合を詳しく見ていきましょう。

27. 配偶者に連れ子がいる場合

相続優先順位と相続の割合事例/配偶者に連れ子がいる場合

配偶者に連れ子がいる場合、再婚相手が亡くなったときに連れ子は相続人にはなりません。
連れ子と再婚相手は法律上の親子関係が生じていないからです。

連れ子にも財産を遺したい場合は遺言書の作成などで相続対策をしておく、連れ子と養子縁組をするなどの対策が必要です。

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28. 配偶者に連れ子がいる場合(養子縁組している場合)

相続優先順位と相続の割合事例/配偶者に連れ子がいる場合(養子縁組している場合)

配偶者の連れ子と再婚相手が養子縁組をしている場合、再婚相手が亡くなったときに連れ子も実子同様に相続人になれます。
相続割合に関しても実子と同様の扱いになります。

養子縁組により、連れ子と再婚相手の間に親子関係が生じているからです。

3-7 あなたの義父母(夫又は妻の父母)が亡くなったときの相続順位・割合

続いて、あなたの配偶者の両親が亡くなったときの相続の優先順位および相続割合を詳しく解説します。

29. 配偶者と子供がいる場合

相続優先順位と相続の割合事例/配偶者と子供がいる場合

亡くなった義父もしくは義母の配偶者が存命であり、子供も生きている場合は亡くなった人の配偶者と子供が遺産を受け継ぎます。
一方で、嫁や婿にあたる人物は相続人にはなりません。

30. 配偶者がすでに亡くなっていて子供がいる場合

相続優先順位と相続の割合事例/配偶者がすでに亡くなっていて子供がいる場合

義父もしくは義母が亡くなったとき、故人の配偶者がすでに他界していた場合は、故人の子供のみが相続人となり財産を受け継ぎます。
このケースでも、嫁や婿が相続人になることはありません。

31. 親(義父母)が離婚している場合

相続優先順位と相続の割合事例/親(義父母)が離婚している場合

義父と義母が離婚している場合、夫婦関係が消滅しているので、子供のみが相続人となり財産を受け継ぎます。
別れた義父や義母、嫁や婿にあたる人物は相続人にはなりません。

32. 義父もしくは義母が亡くなった後に子供が亡くなった場合

相続優先順位と相続の割合事例/子のうちの一人が亡くなっており、孫がいる場合

義父もしくは義母が亡くなったあとに、子(あなたから見た配偶者)が亡くなった場合、代襲相続は発生しません。
単純に相続が2回連続で発生した扱いとなり、配偶者が死亡した時期によっては遺産に下記の内容が含まれます。

  • 義父もしくは義母の遺産
  • 配偶者が自分で築いた財産

そのため、義父もしくは義母が亡くなってから時間が経たないうちに配偶者が死亡した場合、あなたや子供が義父もしくは義母の遺産も結果として受け継ぐ可能性があります。

33. 子のうちの一人が亡くなっており、孫がいる場合

相続優先順位と相続の割合事例/子のうちの一人が亡くなっており、孫がいる場合

義父もしくは義母が亡くなったとき、すでに子供が死亡していた場合は代襲相続が発生し孫が相続人となります。
代襲相続人になる孫が複数人いる場合は、それぞれが代襲相続人となり等分で遺産を受け継ぎます。


4章 相続放棄がある場合の相続の優先順位と相続割合

先ほどの章では、亡くなった人の家族や親族関係ごとの相続順位や相続割合について解説してきました。
しかし、実際の相続では一部の相続人が相続放棄をする、亡くなった人が遺言書を作成しているなどの理由で相続人と相続割合が変わってくる場合があります。
本章以降では、相続放棄や遺言書があった場合など特殊なケースの相続順位と相続割合について確認していきましょう。

まずは本章で、相続放棄した相続人がいる場合の相続順位と相続割合について詳しく解説していきます。

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4-1 相続放棄をすると相続割合が変わる

相続放棄した相続人がいると、その人が本来相続するはずだった相続の割合が他の相続人に移ります。
相続割合の移り方は、下記の通りです。

  • ​配偶者が相続放棄をした場合は、その他の相続人に均等にその割合が移る
  • 配偶者以外が相続放棄をした場合は、配偶者以外の相続人に均等にその割合が移る​

4-2 先順位の全員が相続放棄をすると次の優先順位の人が相続人になる

亡くなった人の子供全員など、同順位の相続人が全員相続放棄すると、次の優先順位の人物に相続権が移ります。
一方で、1人で優先順位の高い人物が相続人になっている場合は、次の順位の人が相続人になることはありません。

例えば、亡くなった人の子供全員が相続放棄すると、次の相続順位である両親や祖父母が相続人となります。
両親や祖父母がすでに他界している場合や相続放棄した場合は、亡くなった人の兄弟姉妹が相続人となります。

4-3 相続放棄がある場合の相続優先順位と相続の割合の事例

相続順位図3-3-1

例えば上記のように、亡くなった人の子供が相続放棄をしたケースを考えてみましょう。
上記の例では、亡くなった人に子供が1人しかおらず、その子供も相続放棄しています。

結果として、亡くなった人の配偶者と両親が相続権を持ち、相続割合は上図の通りになります。


5章 遺言書がある場合の相続の優先順位と相続割合

亡くなった人が遺言書を用意しておくと、相続人以外の人物にも財産を遺せますし、誰にどの財産を遺すかや財産を受け継ぐ割合も指定可能です。
そのため、遺言書がある場合は、相続の優先順位および相続割合が変わってきます。
具体例とともに見ていきましょう。

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5-1 遺言があると相続の優先順位と相続の割合が変わる

遺言書では、相続人に財産を遺すように指定も可能ですし、相続人以外の人に遺産を渡すこともできます。
加えて遺言書では、相続させる財産の種類や割合まで指定可能です。
そのため、遺言書に書いてある部分についてはその通りに相続の優先順位と相続の割合が決まります。

ただし、亡くなった人が遺言書を作成しても記載されていない遺産がある場合は、本記事の3章で解説した通りの優先順位や割合で相続します。

5-2 遺言書でもらえる遺産が少ないと取り返せる

遺留分の計算事例

遺言書では相続させる人や割合を自由に決められる一方で、遺留分に注意しなければなりません。
遺留分とは、亡くなった人の配偶者や子供、両親などに設定されている遺産を最低限度受け取れる権利です。

遺留分は遺言書の内容より優先されるため、遺言書の内容が偏っている場合は亡くなった人の配偶者や子供、両親などに遺留分侵害額請求をされる可能性があります。
相続に詳しい司法書士や弁護士であれば、遺留分を侵害しない遺言書の作成も可能ですので、相続トラブルを避けるために専門家を頼ることも検討しましょう。

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6章 相続欠格が発生したときの相続の優先順位と相続割合

遺言者に詐欺や脅迫をして無理やり書かせるなどの不正を行うと、その相続については相続権を永久に失ってしまいます。
これを「相続欠格」と呼び、具体的には下記のケースは相続欠格にあたります。

  • 故人や相続人を殺害したもしくは殺害しようとした
  • 故人が殺害されたことを知りながら告発・告訴をしなかった
  • 故人に詐欺や脅迫を行い遺言の作成や変更・取消を妨害した
  • 被相続人に詐欺や脅迫を行い遺言の作成や変更、取消をさせた
  • 遺言書を偽装・変造・破棄・隠蔽した

相続欠格になった人物は相続権を失い、その人物に子供がいた場合は子供が代襲相続人となります。
例えば、下記のケースを考えてみましょう。

  • 父が亡くなり相続が発生した
  • 相続人は配偶者と長男、長女、次男
  • 長男は父が生きているときに遺言書を無理やり書かせようとし相続欠格になった
  • 長男には子供がいない

上記のケースでは、長男は相続欠格にあたり相続権を失います。
したがって、相続人は配偶者と長女、次男であり、それぞれ下記の割合で遺産を受け継ぎます。

  • 配偶者:2分の1
  • 長女・次男:2分の1
  • 長男:なし(相続欠格のため)
相続欠格とは?|相続できなくなる5つの要件と相続人廃除との違い

7章 結婚していないカップルの間に生まれた子(嫡出でない子)がいる場合の相続の割合

結婚していないカップルの間に生まれた子(非嫡出子)と結婚している夫婦の間に生まれた子(嫡出子)の相続割合は、平成25年9月5日以降に発生した相続については全く同じ割合です
それ以前の相続については、遺産分割協議が終了して権利関係が確定している様なケースはそのままの権利関係で確定します。

ただし、非嫡出子が父親の遺産を相続する場合は、父親が認知をしておかなければなりません。
認知は父親が生前のうちにしておく他に、裁判によって認知させる方法や遺言によって認知させる方法などがあります。


8章 行方不明の相続人がいる場合の相続の優先順位と相続割合

場合によっては亡くなった人や家族、親族と長年疎遠であり、行方がわからない相続人がいるケースもあるでしょう。
家族や親族の誰もが連絡先を知らず現在の行方がわからない相続人がいたとしても、その相続人を抜きにして遺産分割することはできません。

亡くなった人が遺言書を用意していなかった場合、相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がどの財産をどれくらいの割合で受け継ぐか決める必要があるからです。
住所や連絡先がわからない相続人がいる場合は、下記の方法で調査しましょう。

  • 住所がわからない場合:行方がわからない相続人の本籍地にある市区町村役場で戸籍の附票を発行してもらう
  • 連絡先がわからない場合:手紙を出す、探偵に調査を依頼する

行方不明になった相続人と他の相続人の折り合いが悪く相続トラブルが発生しそうなケースや相続手続きに協力してくれなさそうなケースでは、相続に詳しい司法書士や弁護士などの専門家に手続きを依頼するのも良いでしょう。
専門家であれば相続人の調査から公平な遺産分割方法の提案まで行えます。

また、住所や連絡先だけでなくそもそも相続人が生きているかわからない場合は、生死不明の期間によって下記のように対応が変わります。

  • 生死不明が7年以内の場合:捜索願を出す、不在者財産管理人を選任する
  • 生死不明が7年を超える場合:失踪宣告の申立てを行う

不在者財産管理人とは、行方不明の相続人の代わりに財産の管理をしてくれる人物です。
不在者財産管理人を選任する際には、行方不明者の最終住所地を管轄する家庭裁判所で申立てをします。

失踪宣告とは7年以上行方不明の人や飛行機事故や難破などに巻き込まれ1年を超えて行方不明になった人を死亡した扱いにする手続きです。
行方不明者の相続人がいるときの対処法は、下記の記事で解説しているのでご参考にしてください。

相続人が行方不明の場合の対応方法と困らないためにしておく対策方法

9章 相続人が誰もいない場合はどうなる?

亡くなった人に身寄りがいなく相続人が誰もいないケースや相続人全員が相続放棄したケースなどでは、下記の優先順位で遺産が受け継がれます。

  1. 債権者や受遺者
  2. 特別縁故者

まず遺産を受け継ぐのは、故人にお金を貸していた人や賃貸マンションの大家などの債権者です。
他にも亡くなった人が遺言書を作成していた場合は、遺言書によって指定された人物が遺産を受け取ります。

債権者が受遺者がいない場合やこれらの人に支払っても遺産が余る場合は、特別縁故者が相続可能です。
特別縁故者とは、亡くなった人と特別に親しい関係にあった人物であり、主に下記の人物が該当します。

  • 養子縁組していないけれど同居していた子どもや親(息子の嫁など)
  • 内縁の配偶者
  • 介護でお世話になった人
  • 従姉妹やその子どもなど遠い親戚で、生前親しくつきあっていた人

特別縁故者として遺産を受け取るには家庭裁判所への申立てが必要です。
そして、債権者や受遺者、特別縁故者がいない場合やそれらの人物が受け取りきれず余った遺産に関しては最終的に国庫に帰属されます。

相続人がいない場合の遺産の分け方・対処方法を相続のプロが徹底解説
特別縁故者とは?基本知識から手続きの流れまで徹底解説

まとめ

相続の優先順位は、下記のように法律で決められています。

常に相続人になる配偶者
第一順位子供や孫
第二順位両親や祖父母
第三順位兄弟姉妹や甥姪

相続割合に関しては、上記のうち誰が相続人になるのかによって変わってきます。
また、一部の相続人が相続放棄していた場合や故人が遺言書を用意していた場合、相続人にあたる人物がすでに死亡している場合などでは相続人が誰か、各相続人が受け継ぐ割合の判断が難しくなってしまいます。

誰が相続人かわからない、相続割合について理解した上で公平な遺産分割方法を知りたいなどといった場合は、相続に詳しい司法書士や弁護士に相談するのが良いでしょう。

グリーン司法書士法人では、相続に関する相談をお受けしています。
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よくあるご質問

遺産相続人の順位は?

人が亡くなり相続が発生した場合、配偶者(夫または妻)は必ず相続人になります。
それ以外の相続人については優先順位が法律で決まっているのでご紹介します。
第1順位 → 亡くなった方の子供や孫(直系卑属)
第2順位 → 亡くなった方の親や祖父母(直系尊属)
第3順位 → 亡くなった方の兄弟・姉妹・甥・姪
▶相続人の優先順位を図解で説明

夫の遺産、妻と子供でどう分ける?

相続人には、それぞれ法定相続分という決められた遺産分割の割合があります。
妻と子供1人の場合は、それぞれ1/2ずつの割合で遺産を分割します。
他にも配偶者がいない場合や、子供が複数人いる場合など、状況によって遺産分割の割合が変わりますので、ご注意ください。
▶相続分についてはコチラ

親が死んだら相続人は誰になりますか?

親が死んだときに父親もしくは母親のどちらかが生きている場合は、配偶者と子供たちで遺産を分割します。
▶相続の優先順位について詳しくはコチラ

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