相続したら不動産取得税はかかる?取得税以外にかかる税金も紹介

これで大丈夫!贈与税が非課税になる住宅取得資金の受け取り方
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司法書士中川 徳将

 監修者:中川 徳将

この記事を読む およそ時間: 7

不動産を購入した場合や譲り受けた場合など不動産を「取得」した時には「不動産取得税」が課税されます。

では、不動産を相続によって取得したときはどうなるのでしょうか?

実は、不動産を「相続」した場合には、原則として不動産取得税はかかりません。

しかし、ケースによっては不動産取得税がかかる場合があります。また、不動産取得税がかからなくても、他の税金がかかりますので、その点は注意しておかなければいけません。

この記事では、相続でも不動産取得税がかかるケースや、不動産取得税の計算方法、不動産相続時にかかる税金などについて解説します。


1章 相続時に不動産取得税はかからない!

冒頭でも解説しましたが、相続で不動産を取得した際には不動産取得税はかかりません。

不動産取得税は、生きている人から不動産を取得した際に課税される税金だからです。

しかし、一部のケースでは、不動産取得税が課税されることがあります。それについては次章にて詳しく解説します。

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2章 相続の場面で不動産取得税がかかるケース

ここでは、相続の場面で不動産取得税がかかるケースについて解説します。

2-1 遺言などで法定相続人以外が特定遺贈によって不動産を取得した時

遺言などで、法定相続人以外の人に不動産を特定遺贈をした場合には、不動産取得税がかかります。

すこし複雑なので、ポイントを強調します。

①遺言により ②本来の相続人以外の人が ②特定の不動産のみ承継したケースです。

特定遺贈とは、財産を個別で遺贈することです。例えば、「○○の不動産をAに遺贈する」「○○の預貯金をBに遺贈する」「100万円をCに遺贈する」など、遺贈する財産を指定した場合、特定遺贈となります。

この特定遺贈を法定相続人以外に対して行った場合で、その対象となる財産が不動産の場合には、不動産取得税が課税されます。なお、対象者が法定相続人の場合は課税されません。

一方で、「Dにすべての財産を譲る」「Eに財産の1/3を譲る」など、財産の割合のみを指定して遺贈する方法を「包括遺贈」といいますが、包括遺贈の場合、対象者が法定相続人であってもそれ以外の人でも、不動産取得税は課税されません。

不動産取得税がかかるのは、【法定相続人以外】に【不動産】を【特定遺贈した】ときのみです。

遺贈 税金、不動産取得税がかかるのは、【法定相続人以外】に【不動産】を【特定遺贈した】ときのみです。

法定相続人とは?

法定相続人とは、法律で決められた相続権を有する人です。

遺言書などで被相続人が相続する人を指定していない場合、法定相続人が相続することとなります。

法定相続人は以下のイラストのように順位が決められています。

  1. 常に相続人:配偶者
  2. 第一順位:子
  3. 第二順位:親
  4. 第三順位:兄弟姉妹

相続税 基礎控除

このように、血縁関係のある親族が法定相続人として定められており、これら以外の人が遺産を相続するためには、遺言書などによって指定する必要があります。

法定相続人についてより詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

共同相続人の範囲と相続割合・必ず知っておくべき4つのポイント!

2-2 生前贈与を受けた時

1章でもお話した通り、不動産取得税は「生きている人から不動産を取得した際に課税される税金」ですので、生きているときに財産を贈与する生前贈与で不動産を取得した場合には課税されます。

生前贈与した財産を相続時に相続財産に加算する制度(相続時精算課税制度)を使っていたとしても、不動産取得税は課税されるので注意しましょう。

相続時精算課税制度とは?

2,500万円までの生前贈与については贈与税が課税されず、相続時の相続財産に加算され、相続税が課税される制度です。2,500万円を超える部分に関しては金額に関わらず一定の税率【20%】が課税されます。

生前贈与が非課税になるケース4

詳しい解説はこちら

相続時精算課税制度とは?メリデメから手続方法まで専門家が徹底解説


3章 不動産取得税の計算方法

不動産取得税は、一般的な宅地の場合【固定資産税評価額の3%】です。たとえば固定固定資産税評価額が3,000万円の場合、90万円となります。

固定資産税評価額は、固定資産税評価通知書または固定資産評価証明書に記載されていますので、確認しましょう。

なお、不動産取得税には軽減措置があり、一定条件を満たしていれば税額を安くすることが可能です。その内容をここで解説します。

3-1 不動産取得税の軽減措置

取得した不動産が居住用の住宅・土地の場合、軽減措置を受けることが可能です。

条件や軽減率については「新築住宅」「中古住宅」でそれぞれ異なります。

3-1-1 新築住宅の場合

【軽減措置が受けられる建物の条件】

  • 個人の居住を目的とした住宅であること(セカンドハウスも可)
  • 床面積が以下を満たすこと
下限上限
一戸建ての住宅一戸建て以外の住宅
賃家以外50㎡以上50㎡以上240㎡以下
賃家50㎡以上40㎡以上240㎡以下

※「一戸建以外の住宅」とは、マンション等の区分所有住宅又はアパート等構造上独立した区画を有する住宅をいいます。

【控除額】
上記の要件を満たした新築住宅については、固定資産評価額から1,200万円が控除されます。
なお、上記の要件を満たした上で認定長期優良住宅に認定された物件の場合、控除額が1,300万円に引き上げられます。

【軽減措置が受けられる土地の条件】

  1. 建てられた住宅が、建物の軽減条件を満たしていること
  2. 土地を取得してから3年以内に建物を新築すること
  3. 建物を先に建築した場合、新築した人が1年以内にその土地を取得すること

【控除額】
令和3年3月31日までに取得したものについては、固定資産税の評価額が1/2になります。
それ以外のものについては、以下のうちいずれか多い方が控除されます。

  • 45,000円
  • 【土地1㎡あたりの固定資産税評価額の1/2】×【課税床面積(200㎡まで)×2】×3%

3-1-2 中古物件の場合

【軽減措置が受けられる建物の条件】

  1. 個人の居住を目的とした住宅であること(セカンドハウスも可)
  2. 床面積が50㎡以上240㎡以下であること
  3. 昭和57年1月1日以降に新築されたものである、または、昭和56年12月31日以前に新築された住宅で、建築士等が行う耐震診断によって新耐震基準に適合していることが証明されているものであること(調査が取得日前2年以内に終了しているものに限る)
  4. (3)に当てはまらない場合、以下の要件をすべて満たしていること
    ・(3)の要件を満たしていないこと
    ・床面積が50㎡以上240㎡であること
    ・取得した人が、耐震改修工事を行うこと
    ・耐震改修工事後の住宅が、建築士等による耐震診断等により耐震基準に適合していることが証明されていること
    ・取得日から6ヶ月以内に居住すること

【控除額】
中古住宅が新築された日に応じて、固定資産税評価額から以下の金額が控除されます。

新築した日建物の控除額
1954年7月1日〜1963年12月31日100万円
1964年1月1日〜1972年12月31日150万円
1973年1月1日〜1975年12月31日230万円
1976年1月1日〜1981年6月30日350万円
1981年7月1日〜1985年6月30日420万円
1985年7月1日〜1989年3月31日450万円
1989年4月1日〜1997年3月31日1,000万円
1997年4月1日〜1,200万円

【軽減措置が受けられる土地の条件】

  1. 建てられた住宅が、建物の軽減条件を満たしていること
  2. 土地を取得してから1年以内に建物を新築すること
  3. 建物を先に建築した場合、取得した人が1年以内にその土地を取得すること

【控除額】
令和3年3月31日までに取得したものについては、固定資産税の評価額が1/2になります。
それ以外のものについては、以下のうちいずれか多い方が控除されます。

  • 45,000円
  • 【土地1㎡あたりの固定資産税評価額の1/2】×【課税床面積(200㎡まで)×2】×3%

4章 不動産を相続した時にかかる税金

不動産を相続した場合、不動産取得税がかからずとも、他の税金が課税されます。

課税される税金は以下のとおりです。

相続税期限相続開始から10か月以内
支払先税務署
登録免許税期限登録申請時に印紙で納付する
支払先国 (印紙は郵便局等で購入可能)

それぞれ詳しく見ていきましょう。

4-1 相続税

相続税は、不動産を含む、相続した遺産総額から算出します。

相続税の算出方法は以下のとおりです。

  1. 基礎控除の算出 3,000万円+600万円×法定相続人=基礎控除額
  2. 課税対象額の算出 遺産総額-基礎控除額=課税対象額
  3. 相続税額の算出 課税対象額×税率-控除額=相続税額

相続税の税率・控除は以下のとおりです。

遺産 税金

相続税の計算について詳しく知りたい方はこちら

相続税の計算方法を詳しく解説【自分で相続税を計算しよう!】

なお、不動産は、現金などと異なり、金額が明確ではないため、相続税を算出するためにあらかじめ評価額を算出しなければいけません。

不動産の評価額の算出方法は以下のとおりです。

土地

路線価方式:宅地が接する路線価×土地の面積

倍率方式:固定資産税評価額×一定の倍率を米倍率方式は路線価のない地域の場合に活用します。

建物固定資産税評価額

不動産評価額の算出には、専門的な知識が必要であるため、評価をする場合には税理士や不動産鑑定士などの専門家へ依頼する必要があります。

不動産の評価方法について詳しく知りたい方はこちら

相続税の心配をしている人【必見】土地の路線価の見方と評価方法

では具体な例で見てみましょう。

相続税の算出例

  • 【遺産総額】1億円(現金5,000万円 不動産5,000万円)
  • 【相続人】2人(長男・長女)
  • 【相続割合】長男:1/2(不動産) 長女:1/2(現金)
  • 【控除額】3000万円+600万円×2=4200万円
  • 【課税額】1億-4200万円=5800万円長男:2900万円 長女:2900万円
  • 【税率・控除額】税率:15% 控除額:50万円
  • 【相続税】2900万円×15%-50万円=385万円

相続税について詳しく知りたい方はこちらも合わせて御覧ください

4-2 登録免許税

登録免許税とは、登記手続きをする際に国に収める税金です。

登記をするに至る経緯によって税率は変わります。

相続における名義変更については、不動産の固定資産評価額の0.4%の登録免許税が課税されます。例えば、不動産の評価額が1000万円の場合の登録免許税は4万円となります。

一方で、贈与の場合は、固定資産税評価額の2%と定められています。不動産の評価額が1,000万円の場合の登録免許税は20万円となります。

納税書などで納税するのではなく、納める額の分だけ印紙を購入することで納めます。

登録免許税について詳しく知りたい方はこちら

誰でも簡単!相続登記にかかる登録免許税の計算方法を司法書士が直伝
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まとめ

不動産を相続した場合には、原則として不動産取得税はかかりません。

しかし、遺言などによって法定相続人以外に特定遺贈をした場合や、生前贈与をした場合には不動産取得税がかかるので注意しましょう。

また、不動産取得税がかからなくても、不動産を相続すると相続税や登録免許税がかかります。

不動産の相続について不安があれば、司法書士や税理士など詳しい専門家へ相談するのが良いでしょう。

相続の相談をする専門家の正しい選び方と資格別の特徴【比較表付き】
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