【自分で相続登記】相続登記の相談・申請を法務局に行うときの注意点

相続登記

あなたは、今法務局で申請しなければならない相続登記の手続きについて、お悩みではないですか。

相続登記をするには、登記申請書と,登記申請書に記載された内容を裏付ける添付書類を用意し,これをセットにして管轄の法務局に提出することが必要です。
このようにシンプルに言えば、ものすごく簡単そうに見える相続登記ですが、職業でしている私たちならともかく、自分でしようと思えば、相当骨の折れる仕事です。
仕事抜きでも、頼んだ方がいいですよと言いたいのですが、それぞれの事情もおありかと思います。まずは、この記事では自分で相続登記申請をする際の注意点をお伝えしますので、自分で相続登記ができるのかどうかの判断基準になさって下さいませ。

目次

1章 【法務局に行く前にチェック】まず知っておくべき自分で相続登記申請するときの注意点

自分で相続登記を行う場合は、費用が安く抑えられる分、自分ひとりで頑張らなければなりません。自分でやってみて「諦めた!」「失敗した!」という依頼者の方の体験をもとに、ここが重要という注意点をまとめましたので、自分で法務局に申請する際の参考になさってください。

1-1 相続についてポイントをおさえよう。

適当に相続登記をいれてしまうと、後で大変な思いをするので、まずは「誰が、何を、どれだけ」相続するかをしっかり考えなければなりません。これだけは押さえておきたい相続の重要ポイントをお教えします。

それは、「共有を避ける」ということです。

共有者にもいつかは相続が発生し、何世代か後には不動産の共有者は何十人にもなることがあるからです。将来的にその不動産を売却しようと思ったとき、共有者の相続人が何十人にもなっていたら、果たしてすんなり話はまとまるでしょうか。答えはNOです。
そうならないためにも、「誰が、何を、どれだけ」相続するかということが重要になってくるのです。
このサイトの別記事にも詳しく書いてありますので、参考になさってください。

親の土地を相続する全手順・方法を徹底解説!損しない為の5つのポイント!

1-2 平日に時間を確保しよう

法務局に相続登記を申請するためには、何日か平日に時間を確保しなければなりません。
相続の仕方によっていろいろな書類を集めなければなりませんが、書類を発行してくれる役所は平日の日中しか開いていないためです。
書類収集以外にも、法務局への相談、法務局への申請、申請した書類の補正処理などを考えると、最低でも4~5日程度は平日に時間を確保する必要があるでしょう。
また、法務局からの訂正の連絡電話は平日に入ります。この電話に出られないと登記が却下されるなど大事に至る可能性がありますので、相続登記申請が完了するまでは、法務局からの電話には出られるようにしておきましょう。

1-3 法務局の管轄に気をつけよう

相続登記は、どこに申請してもいいわけではなく、不動産の所在地を管轄する法務局に申請することになります。管轄外の法務局に申請しても受付してもらえません。
相続登記についての「相談」は別管轄でも受けてもらえることが多いのですが(※実際受けてもらえるかどうかは最寄りの法務局にお問い合わせください)、法務局ごとに若干の手続きの違いがあったりするで、可能であれば、管轄の法務局に相談にいくことをおすすめします。
被相続人が遠方に住んでいた場合、ほとんどの場合、相続不動産の所在も遠方なので、法務局の管轄も遠方になります。こうした場合は、郵送での相続登記申請も可能です。
法務局の管轄一覧はこちら

1-4 登記申請を取り下げる方法も覚えておこう

相続登記申請を自分で法務局に申請する場合、書類が足りなかったり、申請書に大きな間違いがあったりして、法務局の審査に通らないことがあるため、申請を取り下げる方法も覚えておく必要があります。
というのも、審査に通らない相続登記申請は、何もしなければ「却下」されてしまうからです。却下されてしまうと、せっかく作った申請書は返ってきません。相続登記申請を取り下げれば、法務局から提出した申請書を返してもらえます。
また、取り下げとともに収入印紙の再使用証明の申請をすることで、一度使った収入印紙を再利用することが可能となります。
したがって、万が一に備え、相続登記申請を取り下げる方法も覚えておくことが重要なのです。

取り下げ書 (サンプル)

再使用証明申出書 (サンプル) 

1-5 申請前に提出書類を何度も見直そう

当たり前のことですが、相続登記を法務局に申請する前には、間違いがないようにしっかりチェックしなければなりません。
なぜ当たり前のことを書いているかというと、法務局は役所の中で一二を争う厳格な役所で、申請書に1文字でも間違いがあれば、訂正しない限り申請を通してはくれないからです。司法書士事務所であっても複数の者が申請書に誤りがないかチェックしてから申請するのが通常です。
(1-3)にて相続登記には法務局の管轄があるとお伝えしたところ、管轄法務局が近くにあればいいのですが、遠方の場合、訂正は大変です。というのも、申請書の訂正は、その法務局に行かないといけないからです。「申請書訂正のために里帰り」というのは、案外よくあることなので注意が必要です。

1-6 原本還付請求をしよう

相続登記において、戸籍・住民票・遺産分割協議書・印鑑証明書・評価証明書などは原本還付してもらった方がいいでしょう。
原本還付をしてもらわなければ、他の相続手続きの際に取り直しをする必要があるためです。
特に、遺産分割協議書は遺産分割に関する契約書なので、余分に作っていなければ必ず原本還付してもらったほうがいいです。

1-7 受付番号を控えておこう

相続登記をすると、法務局から、「受付年月日」とセットとなった「受付番号」が発行されますので、メモなどに控えておきましょう。
法務局は毎日多くの登記申請を扱っているため、自分の登記申請の件で問い合わせる際には、「年月日・受付番号」にて特定してもらう必要があるからです。
また、残念ながら取り下げないといけないときには、自分がした登記申請を「年月日・受付番号」で特定して取り下げ申請する必要があります。
提出した後に受付番号を教えてくださいと伝えて、受付番号を教えてもらってください。

1-8 相続登記が終わったら事後確認をしよう

相続登記が終わったら、正確に登記がなされているか確認するために、登記簿謄本(登記事項証明書)を取得して確認しましょう。
法務局は「ほぼ」100%間違いなく登記をしてくれますが、ごくまれに間違って登記されることがあるからです。
たとえばすぐに売却するような事情がある場合、売買の直前で登記が間違っていることが分かると、売買が遅れてしまい、違約金が発生するというようなことも起こります。
きちんと登記されているか確認するまでが相続登記となります。

1-9 あきらめないこと・あきらめること

専門家でない方が自分で法務局に相続登記申請をする場合、何事もなく申請が通るのはごく一部のケースです。「あれが足りない」「これが間違っている」と何度も呼び出されるのが通常ですので、もし法務局に何度も足を運ばないといけないからといって、くじけて諦めてはいけません。
しかし、相続の内容が複雑であったり、急ぐ事情があったりする場合は、すぐにあきらめて専門家にバトンタッチをした方が得策でしょう。
いかがでしたでしょうか?
次章では、具体的に相続登記を法務局に申請する手続きについての流れを紹介します。

2章 〜相続登記〜法務局で申請する際の全体の流れ

法務局への相続登記の申請方法は、大きく6ステップに分かれます。

STEP1 不動産の情報を取得しよう

STEP2 戸籍住民票を取得しよう

STEP3 固定資産税評価証明を計算しよう

STEP4 相続登記の必要書類を作成しよう

STEP5 申請書を組み上げよう

STEP6 法務局へ申請しよう

章末に詳しい申請方法の記事へのリンクを用意していますので、流れを把握した後はそちらを参考になさってください。

STEP1 不動産の情報を取得しよう

まずは、相続不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)で、所有者は誰かを確認しましょう。
もしかすると、実は所有者でなかったというような事情が判明するかもしれません。
登記簿謄本(登記事項証明書)は法務局にて発行してもらえます。

STEP2 住民票・戸籍を取得しよう

被相続人が所有者であることの証明、今度所有者となる相続人の正確な住所を証明するために住民票が必要になります。また、誰が相続人となるのかを法務局に証明するために戸籍が必要となります。

・被相続人の住民票

・所有者になる相続人の住民票

・被相続人の出生から死亡までの戸籍

・相続人全員の現在戸籍

これらの書類は市役所の市民課で発行してもらえます。

STEP3 固定資産税評価証明を取得しよう

法務局への手数料を計算するために、不動産の固定資産税評価証明が必要となります。
すでに取得している不動産の登記情報と同じ「地番」「家屋番号」で特定して、「市役所」「市税事務所」などで取得します。
古い権利証に取得した当時の評価証明書が合綴されていることがありますが、相続登記には最新のものが必要となるので注意しましょう。

STEP4 相続登記の必要書類を作成しよう

上記ですべての書類が全部そろいました。次は必要な書類を作っていきましょう。作成する書類は次の通りです。手書きでも問題ありませんが、誤字などを防ぐため、ワープロで作る方がいいでしょう。

・相続関係説明図

・遺産分割協議書

・登記申請書

STEP5 申請書を組み上げよう

作成した登記申請書類を次の順にホッチキスで合綴していきます。

①申請書

②登録免許税分の印紙を貼った紙

③原本還付書類のコピー

④相続関係説明図

続けて添付書類をクリアファイルにひとまとめにしておきます。

STEP6 法務局へ申請しよう

登記申請書が組み上がったら、法務局へ申請します。窓口に持参するか、遠方であれば郵送による申請も可能です。
遠方に郵送で申請する場合は、訂正が困難なので、しっかりチェックして申請するようにしましょう。書類返却用の書留封筒(レターパック510代用可)もお忘れないようにしてください。

リンク

これさえあれば自分で相続登記が申請できるという詳細記事を用意しておりますので、詳しくはそちらをご確認ください。

【保存版】司法書士がわかりやすく解説する不動産の相続登記の手順と方法

3章 相続登記で法務局を利用する際によくあるQ&A

3-1 調査についてのQ&A

Q 相続不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)がとりたいのですが、どこで取得するのですか。

 どこの法務局でも取得できます。また、登記簿謄本(登記事項証明書)は、いつでも誰でも取得することが可能です。ただし、土地なら地番、建物なら家屋番号という住所とは異なる番号が必要となるので、事前に確認が必要です。登記自体がされていない建物などの謄本(登記事項証明書)は取得することができません。未登記の建物はそのままにしておくとペナルティが課せられることがあるため、そのような建物を相続したら、この際にその登記も済ませてしまいましょう。登記簿謄本(登記事項証明書)を調査することで、誰が所有者なのかなど、相続不動産についてのほとんどが分かります。法務局へ相談する際は、少なくとも登記簿謄本(登記事項証明書)は取得した上で相談するようにしましょう。

Q 相続する不動産がどこにあるか分かりませんが、法務局に行けば全部調べられますか。

 どれを相続するのかは法務局では分かりません。被相続人の不動産がある可能性が高い市町村役場へ、被相続人の不動産の名寄せ帳を請求してください。名寄せ帳は、固定資産税の課税台帳から被相続人の情報を抜粋したもので、該当する市町村が管轄する被相続人の所有不動産が網羅できる便利な書類です。ただし、市町村単位となるので、別の市町村にある不動産は、各別の市町村に請求しなければなりません。

Q 登記簿謄本を見たところ、被相続人である父が債務者となっている抵当権が残っていることが分かりました。どうしたらいいですか。

 相続不動産が担保になっている、または、なっていたということですね。すでに債務を返し終えていたら抵当権を抹消する手続きを追加でするだけですが、残っているようなら、相続放棄なども考慮に入れる必要があります。「相続登記をしてしまったら、相続放棄ができなくなる」ので注意してください。
なお、住宅ローンであれば団体信用生命保険の保険金で完済できる可能性がありますので住宅ローン会社に相談ください。

3-2 登記手続きで法務局に関してよくあるQ&A

Q 法務局に申請書はおいてありますか。

 おいてありません。登記申請の申請書は、千差万別で、住民票をとるときのような申請書では対応できないため、法務局にはおいてありません。ほとんど自分で作る必要があります。法務省のホームページではひな形をダウンロードすることが可能ですので、ご利用くださいませ。

参考URL http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/minji79.html

Q 法務局へ相談に行きたいのですが、管轄違いでも大丈夫でしょうか。

 申請は管轄の法務局にすることが必要ですが、相談だけなら管轄違いでも受けてもらえる法務局は多いです。最寄りの法務局でご確認ください。法務局の相談はほとんどが予約制なので、事前に電話等で予約をすることを忘れないようにしましょう。
なお、法務局では相続登記の申請方法は教えてくれますが、どのように相続した方がいいかなどの法律相談であったり、相続税の相談は受けてくれません。法律相談や税務相談は各専門士業の仕事となります。
また、原則、法務局では申請書の内容(申請が通るかどうかなど)の事前チェックはしてもらえません。法務局は登記申請があった後しか審査(チェック)してはいけないことになっているからです。ただし、ハンコの押す場所や、組み上げ方が合っているかなどの形式的なところは見てもらえる可能性がありますので、相談の際にご確認ください。

3-3 登記申請のQ&A

Q 父母が立て続けに亡くなりました。法務局で登記情報を見たら、父母の共有でした。相続登記を一回で済ませられないでしょうか。また、県外にも相続不動産があるのですが、一回で相続登記を申請することはできませんか。

 共有の不動産は法務局の管轄が同じなので一回で済ませられますが、県外の不動産は管轄が異なるのでできません。父母の相続はそれぞれ別の相続なので、一個の申請ではできませんが、複数の申請書を同時に提出することで可能です。不動産の管轄法務局が同じであれば、父の相続に関する登記の申請書と母の相続に関する登記の申請書を作って同時に提出することで(連件)、実質一回の提出で済ませることができます。
しかし、法務局の管轄が異なる不動産については、それぞれの管轄法務局で相続登記申請をすることが必要となります。必要書類の原本還付を受けなければ必要書類が2セット必要となるので、相続登記申請のときには原本還付請求も合わせて申請するのがよいでしょう。

Q 登記申請書は手書きでも大丈夫ですか。

 大丈夫です。ただし、楷書で丁寧に書く必要があります。相続登記の申請書は「申請書の通りに登記をして下さい」という書類ですので、略字や異なる字体などは使わないよう注意してください。手書きでも大丈夫ではありますが、書き誤りなどが無いようにパソコンでの作成をおすすめします。

Q 去年相続登記を申請しましたが、新しい物件が判明しました。法務局に去年の相続登記の添付書類を原本還付してもらえますか。

 できません。原本還付は申請の際に請求しておかなければなりません。こういうことがないように、登記申請の際には原本還付しておきましょう。

Q 認知症の父と歩けない兄がいます。母が亡くなったので、二人の相続登記申請を代理したいのですが、司法書士以外が代理してもいいのですか。

 可能なこともあります。お金をもらったり、継続性がある相続登記申請代理は司法書士と弁護士しかできませんが、一回限り無報酬で代理申請をする分には問題ありません。ただし、お父様は認知症とのことですので、度合いによっては家庭裁判所へ成年後見の申立てをして、成年後見人から申請しなければならないかもしれません。
おすすめはしませんが、共有でも問題ないという場合には、あなたも相続人の一人のはずですので、二人の関与なく、あなただけで相続登記を申請することができます。民法上の相続分そのままに登記をするのであれば、相続人の一人だけが申請人となって相続登記を申請することも可能だからです。

3-4 登記完了後のQ&A

Q 相続登記が終わったら法務局から連絡がきますか。

 来ません。各法務局では登記の完了予定日をホームページで公開しているので、予定日以降に受付番号を伝えて完了しているか確認し、完了書類を受け取りにいってください。その際は、登記申請書に押した印鑑が必要になるのでお忘れないようにしてください。自分宛の書留用返信封筒やレターパック510を申請時に提出しておけば、完了時に郵送にて完了書類を送ってもらえます。
返ってきた書類の中にある、「登記識別情報通知書」というシールの貼ってある書類が、いわゆる「権利証」のようなものですので、紛失されないように注意してください。

4章 まとめ

自分で相続登記申請をする際に必要となる注意点をお伝えいたしました。自分で相続登記を行う際のポイントは、とにかく「時間の確保」です。途中で諦めてしまえば、時間の無駄となってしまうので、しっかり法務局と打合せをして、相続登記申請を成功させてください。

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