遺留分の計算方法をパターン別に具体例で簡単解説【法改正対応】

公正証書遺言 費用

「自分には遺留分があるので請求したい!でも、いくら請求できるの?」 

遺産分割に不満があるときの解決策として遺留分がありますが、自分に遺留分がいくらあるのか具体的に分かっている人は少ないでしょう。遺留分があることが分かっても、あることが分かるだけでは何もできません。間違った計算をしていたら、本来もらえたはずの遺留分を逃してしまうかもしれません。ですので、遺留分の正確な計算はとても重要といえます。

とはいえ、遺留分の計算なんてしたことも聞いたこともないですよね。遺留分の計算方法は民法で定められていますが、なかなか複雑です。

この記事では、複雑な遺留分の計算をパーツに分けて丁寧に解説しています。難しそうでも一つずつ分解してみていけば思ったよりも簡単です。ぜひ一度計算してみましょう!


1章 遺留分とは

遺留分とは兄弟以外の法定相続人に最低限保証される相続分です。

遺留分は遺言内容に優先しますが、遺留分を侵害する遺言も無効になる訳ではありません。遺言内容によって遺留分が侵害されている場合は、その分の金額を請求できます。

請求する相手は遺言などでたくさん遺産をもらった人です。以前は「権利」を取り戻すことになっていましたが、法改正によって2019年(令和元年)7月1日から「金銭」で解決することになりました。

遺留分


2章 遺留分の割合

 遺留分の割合は民法で決められています。まずはそれを見ていきましょう。

2-1 遺留分の割合

 遺留分は相続財産から遺留分を分けて、その後法定相続分に従って個人に分配する形で計算します。計算式としては「全体の遺留分割合×個人の法定相続分」です。詳しくは表で見てきましょう。

相続人
全体の遺留分
個人の割合
配偶者1/2配偶者が総取り
配偶者と子ども1/2配偶者 1/2
子ども 1/2
(複数人いるときは等分)
配偶者と父母1/2配偶者 2/3
父母 1/3
(父母両方がいる場合は等分)
配偶者と兄弟1/2配偶者が総取り
兄弟に遺留分はない
子ども1/2等分
父母1/3等分
兄弟姉妹なしなし

兄弟姉妹が相続人になる場合、遺留分はありません。遺留分が誰にあるのかを間違えると計算結果も間違ってしまうことがあるので注意しましょう。また、両親だけが相続人のときは全体の遺留分が1/3になります。ここにも注意が必要です。

2-2 具体例で見る遺留分の割合

では次に具体例を見ていきましょう。

CASE① 配偶者のみ

妻には遺留分があります。その割合は1/2です。他に遺留分のある人がいないので1/2すべてが妻の遺留分になります。

CASE② 配偶者と子ども1人

夫と子どもには遺留分があります。全体の遺留分の割合が1/2で、それを夫1/2・子ども1/2で分けます。

よって最終的に遺留分は夫が1/4、子どもが1/4です。

CASE③ 配偶者と子ども2人

妻と子ども2人には遺留分があります。全体の遺留分の割合は1/2で、それを妻1/2、子ども2人合わせて1/2で分けます。子ども2人は平等に1/2ずつ分けます。

よって遺留分は妻1/4、長女1/8、長男1/8です。

CASE④ 配偶者と父母

このときの遺留分権利者は妻と夫の両親です。全体の遺留分は1/2で、妻2/3、夫の両親1/3で分けます。さらに夫の両親は二人で等分します。

よって遺留分は妻1/3、夫の父1/12、夫の母1/12になります。

CASE⑤ 子ども2人

子どもには遺留分があり、その全体の割合は1/2です。これを2人で等分します。

よって遺留分は1人1/4です。

CASE⑥ 父母

配偶者・子どもの両方がいないときには、父母が法定相続人となり遺留分があります。このときの遺留分全体の割合は1/3です。両親2人は平等に1/2ずつで分けます。

よって遺留分は父1/6、母1/6です。

CASE⑦ 配偶者と兄弟

兄弟は法定相続人ではありますが、遺留分はありません。遺留分があるのは妻だけでその割合は1/2です。


3章 遺留分の計算

ここからは具体的な遺留分の金額を計算をしていきます。STEP②とSTEP③は2章で先にやっているので、主にSTEP①とSTEP④を解説していきます。

3-1 具体的な遺留分の計算

STEP1 基礎となる遺産額を明らかにする

遺留分を計算するには遺産額をはっきりさせる必要があります。遺留分の対象になる財産は、被相続人(亡くなった人)の財産から債務(借金など)を引いたものが基本です。

ここに1年以内の第三者への贈与と10年以内の特別受益の額を足します。死亡保険金や死亡退職金は、特別な事情がないかぎり計算には入りません。

STEP①

対象になる財産=(被相続人の財産-債務)+1年以内の第三者への贈与+10年以内の特別受益

特別受益とは、婚姻・養子縁組のため、もしくは生計の資本として相続人が受けた贈与のことです。

しかし両親から生活の援助を受けたり、結婚のお祝いをもらうことは珍しいことではありませんし、親子には扶養の義務があります。よって贈与の全てが特別受益にあたるのではなく、特別受益かどうかはその贈与が相続分の前渡しといえるかで判断されます。

STEP2 総体的遺留分を明らかにする

総体的遺留分は、基本1/2です。遺留分権利者が父母だけの場合は1/3になります。

この「父母だけ」という点には注意が必要で、配偶者と父母、子どもと父母の場合は1/2です。

STEP3 個別的遺留分を計算する

個別的遺留分は、総体的遺留分に法定相続分をかけたものです。法定相続分は以下の表の通りです。

法定相続人
法定相続分
配偶者と子ども配偶者 1/2
子ども 1/2
(子どもが複数人いるときは等分)
配偶者と父母配偶者 2/3
父母 1/3
(父母両方がいる場合は等分)
子どもだけor父母だけ等分

STEP4 遺産額に個別的遺留分をかけ算する

STEP①で計算した遺産額に2章で計算した遺留分の割合をかけ算します。これで自分の遺留分の額が分かります。

3-2 実際に請求できる額の計算

以上で遺留分の計算は終わりですが、次は請求できる金額の計算をします。

遺留分の金額と相続でもらった額の差がおおよその請求できる額です。さらに、もし自分に特別受益があればその分の金額を引きます。これは財産の計算とは違って10年の期間制限はありません。借金を相続していればその分は足します。また、遺留分を請求する相手が被相続人の借金を返していたらその分は請求できません。

遺留分侵害額請求の額=(遺留分-相続した財産)-特別受益+相続した借金-請求する相手が返した借金

3-3 具体例で遺留分を計算する

ではこれらの計算を具体例で考えてみます。

夫が亡くなって妻と長男に遺留分がある場合に(CASE②)、残された財産は5000万円、借金が1000万円でした。1年前に長男は住宅資金として1000万円もらっていました。このとき遺留分の対象になるのは「5000万-1000万+1000万=5000万」で5000万円です。

遺留分の割合は妻1/4、子ども1/4です。よって2人の遺留分の金額はそれぞれ1250万円です。

遺言によって3000万円は第三者に渡り、妻と子どもは1000万ずつ相続しました。借金は法定相続人に法定通りの割合で相続されるのが原則なので、妻と子どもで500万円ずつ背負います。

妻の遺留分侵害額請求は「1250万-1000万-0+500万-0=750万」となり、750万円を請求できます。

子どもの方は「1250万̠-1000万-1000万+500万-0=-275万円」となります。子どもの方は遺留分の侵害額がマイナスなので請求はできません。


4章 遺留分の請求にかかる費用

遺留分侵害額請求は必ずしも裁判で行う必要はありません。遺言によって遺産をもらった人などに直接請求することもできます。

そのときは言った言わないの争いを避けて証拠を残すために、配達証明付き内容証明郵便で行うのが望ましいです。以下請求の方法ごとに費用を見ていきます。

方法
費用
備考
配達証明付き内容証明郵便
  • 郵便料金(基本料金+一般書留料金+内容証明料金+配達証明料金)
定形1通1279円、定形外(規格内)1通1315円
内容証明を出せる郵便局には限りがある。
調停
(家庭裁判所)
  • 収入印紙1200円
  • 連絡用の郵便切手(各家庭裁判所に確認)

各種書類の取得

  • 被相続人・相続人全員の戸籍 
    全部事項証明書(謄本) 1通450円程度
    除籍全部事項証明書・改製原戸籍謄本 1通750円程度
  • (遺産に不動産があるとき)登記全部事項証明書の交付手数料 1通480~600円
  • (遺産に不動産があるとき)固定資産評価証明書の証明手数料 1通300円前後

  • 配達証明付き内容証明郵便 1300円程度
  • (依頼するなら)弁護士費用
調停を申し立てただけでは時効の進行が止まらないので、内容証明も送っておく(既に送っていれば改めて送ることは不要)。

弁護士に頼らず自分である程度できるという場合には、書類作成だけ司法書士に依頼すると費用を抑えられる。

裁判
(地方裁判所・簡易裁判所)
  • 訴訟費用(請求する額によって変動する。詳しくは裁判所HPへ。)
  • 各種書類の取得費用(調停と同様)
  • 弁護士費用
原則、裁判の前に調停をする必要がある。

簡易裁判所は140万円以下の請求のみ可能。

訴訟費用は、10万円までの請求で1000円、100万円の請求で1万円、1000万円の請求で5万円といったように請求する金額によって変わります。裁判所のホームページに計算方法や早見表が載っているので詳しくはそちらもご覧ください。

調停や裁判は弁護士がついていなくても可能です。しかし遺産分割においては、財産の分け方だけでなく財産の評価額で揉めるなど、話がまとまらないことが非常に多いので依頼する方がスムーズに解決するでしょう。特に裁判をするくらいまでこじれたときは依頼すべきです。

遺留分をもらえた場合は相続税の申告の修正も必要になるので忘れないようにしましょう。


まとめ

遺留分は大まかにいうと「被相続人のプラスの財産×1/2(遺留分権利者が両親だけの場合は1/3)×法定相続分」です。その額と実際にもらった額の差を金銭で請求できます。民法改正によって金銭の請求のみとなっているのでご注意ください。請求方法は裁判に限りませんが、もし揉めた場合には弁護士に依頼した方がスムーズに解決できます。

遺留分は最低限保証される相続分であり遺産相続で不満があるときの解決策にもなります。しかし法律上の正当な権利とはいえ、請求すると仲が悪くなったり話がこじれることもよくあります。そもそも相続で揉めないに越したことはありません。

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