相続放棄を検討中の方必見!事例を交えて単純承認を詳しく解説します

単純承認

「相続放棄の手続きは、単純承認事由があると認められません」

今この記事をご覧の方は、相続放棄を検討する中でこの様なフレーズを見て「単純承認」という言葉を知ったのではないでしょうか?
何かよく分からないけど、相続放棄が認められなくなると言われれば、やっぱり不安ですよね?
そこでこの記事では、相続放棄に影響を与える「単純承認」について徹底解説!

単純承認とは何か?

何をすると単純承認となってしまうのか?

そんな疑問や不安を、相続の業務に日々携わる司法書士が、豊富な事例を交えてご説明します。

1章 相続放棄と単純承認

限定承認、単純承認、相続放棄の比較

ひと言に「相続」と言っても、相続の方法には法律上3つの方法が存在します。

1つは単純承認、「あるがまま、全てを相続すること」です。

次に限定承認、「プラスの財産の額を上限に、マイナスの財産も引き継ぐこと」です。

最後に相続放棄、「一切何も相続しないこと」です。

この内、単純承認の詳細と、単純承認をすると相続放棄にどのような影響を与えるか見ていきましょう。

※マイナスの財産を圧縮しつつプラスの財産を受け取れる限定承認は、一見すると魅力的な制度です。しかしその手続きは極めて専門的かつ複雑です。興味のある方は特設記事をお読みの上、専門家への依頼を検討しましょう。

1-1 単純承認とは

単純承認とは、被相続人が有していた権利・義務の全てを無制限に承継することです。
「あるがまま、全てを相続すること」とイメージして頂ければ大丈夫です。

全てを相続するということは、良い事ばかりではありません。
不動産・預貯金・株式などプラスの財産を全て受け取れる一方、借金のようなマイナスの財産も全て引き継ぐことになります。
なので、被相続人の相続財産の構成的にマイナスの方が多そうであれば、単純承認は避けるべきです。

1-2 単純承認をしたとみなされる行為(法定単純承認)

単純承認をするために特別な手続きは不要です。
ある一定の行為をすると自動的に単純承認をした事になってしまう「法定単純承認」という制度が存在しており、次に掲げる3つの行為どれかに該当することで単純承認の効果が生じます。

よって、単純承認を希望する場合は、ただ3か月間待っておけば下の②を満たし、単純承認をすることができます。

単純承認

この内、背信行為は実務でも出会うことはまれですが、相続財産の処分・熟慮期間の経過は相談時によく話題に上る重要なテーマです。
相続財産の処分に当るか微妙なケースは2章で、熟慮期間として相続人に与えられる3ヶ月間の計算方法は3章で、それぞれ詳しく解説します。

1-3 単純承認するとどうなるの?

単純承認・限定承認・相続放棄は、どれか1つしか選ぶことができません。

しかし、先に解説した法定単純承認の制度により、知らず知らず単純承認してしまい相続放棄をすることができなくなってしまったケースもあります。

そうなってしまうと、被相続人に借金などマイナスの財産があれば、それを全て承継することになってしまいますので注意しましよう。

なお、「これをすると単純承認になるなんて、知らなかったんだ!」という言い訳は裁判所には通じません。キビシイですね。

2章 要注意!単純承認したとみなされる行為(相続財産の処分)

先に解説した通り、相続財産を処分してしまうと、自動的に単純承認をしたとみなされ、ひいては相続放棄ができなくなってしまいます。

本章では、筆者が相続放棄の相談を受けるに当ってよく質問される内容ごとに、裁判例も交えながら「相続財産の処分」に当るか否かを解説していきます。

2-1 「相続財産の処分」に該当する条件

次の条件をすべて満たすと、「相続財産の処分」に該当します。

相続財産について、その所有者でなければできない行為をする

 →売却・放棄・建物取壊し・廃車、各種契約の契約内容の変更、遺産分割協議、預貯金の消費

自分が、相続財産を取得する立場にある(=相続人である)ことを知っていること

 →自分が相続人であることを知らずに処分行為を行っても、「相続財産の処分」にはならない

処分した物に財産的価値があること

 →明白なゴミ、誰に売ることも出来ないような中古品を処分しても「相続財産の処分」にはならない

2-2 預貯金の解約と葬儀費用などへの支払い

被相続人名義の預金を解約してお金をおろす行為、そしてそのお金を使う行為は「相続財産の処分」に該当します。

しかしそれが被相続人の葬儀費用・仏壇購入・墓石購入・未払治療費に支払いのためである場合は、預金を解約して使用しても、「相続財産の処分に該当しない」とする裁判例があります。

ただし、そもそもの預金額が少なく、支出した費用が常識の範囲内である場合の裁判例であることには注意が必要です。

2-3 遺品の持ち出し

被相続人の遺品整理の際に、形見として、あるいはまだまだ使えそうだから、遺品を持ち帰ることがあるでしょう。

明白なゴミは別として、衣類・家具・貴金属などは資産価値を有する相続財産と考えられているため、持ち出した遺品の資産価値によって「相続財産の処分」に該当するか否かが決まります。裁判例でも、事案によって結論が異なります。

それ故、被相続人の家の片づけをする際には、ゴミ捨て・整理整頓をするにとどめ、遺品の持ち出しに関しては専門家に相談してから行いましょう。

2-4 遺産分割協議

遺産分割協議を行い、相続財産の帰属先を決定する行為は「相続財産の処分」に当ります。

しかし、遺産分割協議の段階で被相続人に債務があることが明らかになっておらず、もし相続債務の存在を知っていれば最初から相続放棄を選択していたであろう場合は、遺産分割協議を行ったとしても「相続財産の処分に当らない」とする裁判例が存在します。

2-5 生命保険・死亡保険金の受取

相続放棄をしようとも、生命保険・死亡保険金を受け取ることは可能です。
保険金は受取人として指定された人物独自の財産であり、被相続人から相続する財産ではないからです。

相続放棄をしようとも保険金を受け取れる、逆を言えば、保険金を受け取ろうとも相続放棄は可能ということが裁判例でも確認されています。

ただし、保険契約の内容・種類によっては、保険金を請求してしまうと相続放棄が出来なくなることがあります。相続放棄を検討中の方は保険金請求の前に保険内容を確認後、専門家のアドバイスを受けてから動きましょう。

2-6 債務の弁済

被相続人の債務を相続人が返済する行為が「相続財産の処分」に該当するかは、実はまだ確固たる裁判例が存在しておらず、不明な状態です。

被相続人の死後、突然来た債権者からの請求に驚き、借金の一部を返してしまった場合でも、返済資金を自分自身のお金から用意したのであれば、「借金の一部返済は相続財産の処分に当らない」とした裁判例は一応存在します。

ただし、返済資金の出どころや返済した金額によっては上記の裁判例と結論が異なることが起り得ます。
それ故、被相続人に債務があり、債権者から返済を求められた場合は至急専門家へ相談し、自己判断で動かないことが大切です。

3章 熟慮期間(3ヶ月間)の経過

各相続人には、相続するか放棄するか、あるは限定承認をするかを考えるために3ヶ月間の猶予期間が与えられており、この猶予期間を熟慮期間と呼びます。

この熟慮期間内に相続放棄又限定承認の手続きをしない場合、「相続の意思あり」として自動的に単純承認したことになってしまいます。

本章では、熟慮期間の「3ヶ月間」はいつの時点から計算するかご説明します。

3-1 計算スタート時点の基本

3ヶ月間の計算は、原則として次の3要件のうち、一番遅い日からスタートします。

①被相続人の死亡を知った日

②自分が相続人であるとを知った日

③相続財産の存在を知った日

一番遅い日から計算スタート!

3-2 被相続人の死亡を知った日・自分が相続人であることを知った日

死亡当日に被相続人の死亡を知らなかった場合、後日債権者などから死亡連絡を受けた日が「被相続人の死亡を知った日」になります。

また相続人が、そもそも被相続人の存在自体を知らなかった場合、死亡通知を受けたのみならず、被相続人の家族関係など、被相続人と相続人の関係を把握するに足りるだけの情報を知った日まで「自分が相続人であることを知った日」を遅らせてカウントできるようです。

3-3 相続財産の存在を知った日

「相続財産の存在を知った日」とは、原則として、「相続財産をある程度把握した時」とされています。
ただし相続財産に借金がある場合、相続人に相続放棄の機会をできるだけ与えるため、次のような裁判例も登場しています。

①わずかのプラス財産があると知っていた一方、マイナスの財産は全く存在しないと思っていたが、後日負債の存在が明らかになった場合

 →相続人がマイナス財産の存在を知った時まで「相続財産の存在を知った日」を遅らせてカウントできる。

②債権者から負債の存在を告げられ返済請求を受けたとしても、そもそも負債の存在自体が怪しい場合。

 →何の資料も無く、ただ支払い求める書類を受け取っただけでは「相続財産(=借金)の存在」を知ったことにはならない

4章 自己判断せず専門家に相談を!

4-1 自己判断はやっぱり危険

本記事では、単純承認という制度を説明した上で、過去の裁判において問題になった事案を取り上げてきました。どの裁判例も、単純承認を考える上で目安になるものばかりです。

しかし裁判例は「仮に”全く同じ事案”が来たならこの様に判断します」という指針に過ぎません。つまり似た様な事案であっても、結論が異なる場合があります。
それ故、「過去の事例では単純承認に当たらなかった様だし、自分も大丈夫だろう」という安易な判断は極めて危険だとご理解下さい。

逆に、「裁判例では単純承認したと扱われているので、自分はもう相続放棄ができないだろう」と諦めないで下さい。

4-2 単純承認が気になる場合は専門家の判断を仰ごう

 以上を踏まえて、相続放棄を検討しているけど単純承認が怖い…という方は迷わず専門家の判断を仰ぎましょう。

「相続放棄の前に遺品を整理しても大丈夫かな…」

「足りない葬儀代を遺産の中から出したいが、マズイかな…」

「遺産に手を付けてしまったが相続放棄をしたい…」

「被相続人が死亡して5年以上経っているが今から相続放棄をしたい…」

このような悩みや、あなたの置かれた状況に応じたアドバイスを受けることができます。
筆者が所属しているグリーン司法書士法人でも、単純承認が関わる相続放棄を数多く取り扱っています。
相続放棄を検討しているけど単純承認が怖い…と悩んでおられる方は、弊所が実施している無料相談を是非ご利用ください。

4章 終わりに

いかがでしたでしょうか?

この記事では単純承認という制度と、過去の事例で単純承認に該当したケースを解説してきました。
お読み頂いた皆様が単純承認への不安を解消し、速やかに相続放棄の手続きを完了させることができたなら幸いです。

ここまでお読み頂きありがとうございました。

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