ページが見つかりませんでした https://green-osaka.com/online 相続や借金問題等の法律の問題や、手続きについてお困りの皆様に、「誰にでもわかりやすく」「正確」な情報を実績豊富な現役司法書士が丁寧に解説しています。登記・相続税対策全般・家族信託・債務整理まで幅広い情報を発信しています!お役立て下さい。 Thu, 14 Mar 2024 04:15:52 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=5.8.9 https://green-osaka.com/online/wp-content/uploads/2017/08/cropped-apple-32x32.png ページが見つかりませんでした https://green-osaka.com/online 32 32 相続税を節税する9つの方法|節税時の注意点やトラブル防止方法も紹介 https://green-osaka.com/online/inheritance-tax/how-to-save-on-inheritance-tax https://green-osaka.com/online/inheritance-tax/how-to-save-on-inheritance-tax#respond Wed, 27 Mar 2024 00:00:11 +0000 https://green-osaka.com/online/?p=16761 この記事を読む およそ時間: 9 亡くなった人から財産を受け継ぐと、相続税がかかる場合があります。 相続税は累進課税制度を採用しているため、遺産総額が多ければ多いほど相続税がかかります。 相続税を少しでも節税するには、生前贈与を行うなどして遺産を減らして […]]]> この記事を読む およそ時間: 9

亡くなった人から財産を受け継ぐと、相続税がかかる場合があります。
相続税は累進課税制度を採用しているため、遺産総額が多ければ多いほど相続税がかかります。

相続税を少しでも節税するには、生前贈与を行うなどして遺産を減らしておくのがおすすめです。
なお、相続が発生してから行える相続税対策には限りがあるため、可能であれば相続が発生する前の元気なうちから節税対策を進めるのが良いでしょう。

本記事では、相続税を節税する方法や節税対策をする際の注意点を解説します。
相続税の計算方法については、下記の記事でも解説しているのであわせてご参考ください。

相続税の計算方法を詳しく解説【自分で相続税を計算しよう!】

1章 相続税を節税する9つの方法

相続税を抑えるには、生前贈与を行い遺産そのものを減らしておくなどが有効です。
具体的には、下記の方法で対策をしましょう。

  1. 暦年贈与を行う
  2. 将来値上がりしそうな財産を相続時精算課税制度で贈与する
  3. 贈与税の控除や特例を活用する
  4. 生命保険に加入する
  5. 小規模宅地等の特例を適用する
  6. お墓や仏壇を生前のうちに現金で購入する
  7. 不動産経営を行う
  8. 孫や子供の配偶者と養子縁組する
  9. 相続財産を寄付する

それぞれ詳しく解説をしていきます。

1-1 暦年贈与を行う

暦年贈与制度を図解

暦年贈与を行えば、贈与税、相続税の負担を抑えつつ子供や孫などに財産を遺せます。
暦年贈与とは、贈与税の基礎控除額110万円を利用し、複数年にわたり生前贈与を繰り返し、贈与税や相続税を節税する方法です。

例えば、長男に対し毎年110万円の贈与を10年繰り返した場合は、110万円×10年=1,100万円を節税できる計算になります。
暦年贈与は、贈与者の年齢が若く相続発生まで時間がかかることが予想されるケースや子供や孫など受贈者の人数が多いケースに向いています。

一方で、暦年贈与を行い贈与税や相続税を節税する場合は、下記の点にご注意ください。

  • 相続開始3~7年前に行った贈与は、相続税の計算対象に含めなければならない場合がある
  • 複数年にわたり同額の贈与を繰り返すと、定期贈与と判断される恐れがある
  • 毎年贈与契約書を作成しておく
  • 遺言書の作成など相続対策もあわせて行っておく
  • 税務署に名義預金と判断されないようにする

複数年にわたり同額の贈与を繰り返す、複数の贈与を1枚の贈与契約書にまとめるなどの方法を取ると、税務署に定期贈与と判断される恐れがあります。
定期贈与と判断されると1回のまとまった贈与として扱われるため、贈与税の節税効果が薄れてしまいます。

暦年贈与は気軽に行える贈与税、相続税の節税方法といえますが、後々のトラブルを防ぐために税理士や司法書士に相談しながら行うのが良いでしょう。

【暦年贈与とは】相続税をしっかり節税!概要と効果を分かり易く解説

1-2 将来値上がりしそうな財産を相続時精算課税制度で贈与する

相続時精算課税制度とは

株式や不動産など将来値上がりが予測される財産を持っている場合は、早い段階で子供や孫に贈与してしまうことで、贈与税や相続税の節税につながります。
贈与財産の贈与税や相続税を計算する際には、相続発生時点ではなく贈与時点の評価額をもとに計算するからです。

値上がりが予測される株式や不動産などを一度にまとめて贈与する場合は、相続時精算課税制度の利用も検討しましょう。

相続時精算課税制度とは、贈与税を2,500万円まで非課税にできる制度です。
2,500万円を超えた贈与に関しても、贈与税を一律20%で計算できるため、非常に節税効果が大きいのが特徴です。
一方で、相続時精算課税制度を利用した場合、贈与者が亡くなると贈与財産を相続税の計算対象に含める必要があります。

相続時精算課税制度は一度利用を開始すると暦年贈与に戻すことはできないので、利用する前には暦年贈与と相続時精算課税制度のどちらが良いかシミュレーションしておきましょう。

相続時精算課税制度とは?メリデメから手続方法まで専門家が徹底解説
2024年から相続時精算課税制度に基礎控除が追加されます

2024年1月1日以降は相続時精算課税制度に毎年110万円の基礎控除額が設定されます。

相続時精算課税制度の基礎控除の取り扱いは、下記の通りです。

  • 毎年110万円以下の贈与であれば贈与税の申告および納税は不要
  • 毎年110万円以下の贈与であれば贈与財産を相続税の加算対象に含めなくて良い

相続時精算課税制度にも暦年贈与同様に基礎控除額が用意されたことで、メリットが大きくなり相続時精算課税制度を選択すべき人が広がると予想できます。

1-3 贈与税の控除や特例を活用する

贈与税には控除や特例が用意されているので、利用すれば税金を大幅に節税可能です。
贈与税の控除や特例は、主に下記の種類があり、それぞれ控除額や適用要件が異なります。

控除・特例 概要
相続時精算課税制度 贈与税を2,500万円まで非課税にできる制度
贈与税の配偶者控除(おしどり贈与) 婚姻期間が20年を超える夫婦が住宅や住宅取得資金を贈与した場合、2,000万円まで非課税にできる制度
教育資金の贈与税の非課税措置 親や祖父母から30歳未満の子供や孫が教育資金の贈与を受けた場合、最大1,500万円まで贈与税を非課税にできる制度
結婚・子育て資金の贈与税の非課税措置 親や祖父母から18歳以上から50歳未満の子供や孫が結婚・子育て資金の贈与を受けた場合、最大1,000万円まで贈与税を非課税にできる制度
住宅取得等資金の非課税措置 親や祖父母から18歳以上の子供や孫が住宅購入費やリフォーム費用の贈与を受けた場合、最大1,000万円まで贈与税を非課税にできる制度

贈与税の控除や特例の多くは、親や祖父母から子供や孫に対して行われる贈与に対して適用できます。
そのため、遺産を減らす目的で生前贈与を行いたいのであれば、控除や特例の中で利用できるものがないか確認してみるのが良いでしょう。

贈与税はいくらからかかる?贈与税が0円になる4つの節税方法

1-4 生命保険に加入する

遺産を預貯金で保有するより、貯蓄性の高い生命保険に加入する方が相続税を節税できる可能性があります。
生命保険金には「法定相続人の数×500万円」の非課税枠が用意されているからです。

例えば、相続人が配偶者と子供2人の計3人の場合、1,500万円までであれば生命保険金に対して相続税がかかることはありません。

加えて、生命保険は受取人を指定できますし、遺産分割協議が完了していなくても受取人がまとまった現金を受け取れます。
したがって、葬儀費用の支払いや遺された家族の生活費に役立てることもできるメリットがあります。

相続税対策に生命保険を検討してる方【必見】活用方法と注意点を解説

1-5 小規模宅地等の特例を適用する

小規模宅地特例の適用要件

小規模宅地等の特例を適用すれば、相続した土地の評価額を大幅に軽減可能です。
小規模宅地等の特例とは、土地を相続したときに評価額を最大8割軽減できる制度です。

小規模宅地等の特例の適用要件や限度面積、減額割合は土地ごとに決められており、それぞれ下記のように設定されています。

用途 区分 限度面積 減額割合
自宅 特定居住用宅地等 330㎡ 80%
収益物件 貸付事業用宅地等 200㎡ 50%
事業用地 特定事業用宅地等
(特定同族会社事業用宅地等)
400㎡ 80%

小規模宅地等の特例の適用要件の中には、複雑なものもありますので、土地を相続した場合は相続に詳しい税理士に相談するのが確実です。

小規模宅地等の特例とは?適用要件や土地の種類・手続きの流れまとめ

1-6 お墓や仏壇を生前のうちに現金で購入する

お墓や仏壇を生前のうちに現金で一括購入しておけば、その分だけ遺産総額を減らせます。
お墓や仏壇は祭祀財産と呼ばれ、相続税の課税対象には含まれないからです。

一方で、相続発生後に遺産からお墓や仏壇を購入した場合、購入費用を相続財産から控除できません。
また、相続発生時にお墓や仏壇のローンの残債が残っていた場合、残債に対して相続税の債務控除を適用することもできません。

そのため、お墓や仏壇を用意するのであれば、生前のうちに現金で支払ってしまうのがおすすめです。

お墓には相続税がかからない!お墓購入で相続税対策するときの注意点

1-7 不動産経営を行う

不動産の相続税評価額は市場価格の7〜8割であることが多いので、預貯金で遺産を保有するより不動産経営をした方が相続税を節税できる可能性があります。
他にも、不動産経営が相続税の節税に役立つ理由は、下記のものがあります。

  • アパートローンの残債は相続発生時に債務控除できる
  • 他人に貸している建物や土地は相続税評価額が安くなる
  • 賃貸経営に使用している土地は小規模宅地等の特例を適用できる可能性がある

資金に余裕がある、納税資金も預貯金や生命保険で十分確保できるのであれば、遺産の一部を預貯金から不動産に切り替えても良いでしょう。
ただし、不動産経営をする際には利回りも考慮する必要がありますし、財産内容が分割しにくいと相続トラブルに発展する可能性もあります。

そのため、相続税対策で不動産経営をする際には、信頼できる専門家に相談するのが良いでしょう。

貸家建付地の相続税評価額の計算方法!評価額を下げる方法とは

1-8 孫や子供の配偶者と養子縁組する

孫や子供の配偶者と養子縁組すれば、相続人の人数が増え、相続税を節税可能です。
養子は実子と同様に法定相続人になるため、基礎控除や生命保険金、死亡退職金の非課税枠の金額が増えるからです。

ただし、基礎控除や生命保険金、死亡退職金の計算対象に含めることができる養子の人数は下記のように上限が設定されています。

  • 故人に実子がいない場合:2人まで
  • 故人に実子がいる場合:1人まで

上記の決まりがあるため、養子の人数を増やしても相続税の節税効果には限りがあります。

加えて、家族や親族の理解を得ずに養子縁組をしてしまうと、相続トラブルに発展する恐れもあります。
養子による相続税対策や相続トラブル対策をする場合は、専門家に相談してから行うのが安心です。

養子の相続|7つのポイントをわかりやすく解説【相関図付き】

1-9 相続財産を寄付する

公益団体や国、地方自治体に相続財産を寄付すれば、その分だけ相続税を節税可能です。
相続税には寄付金控除が用意されており、適用すれば寄付した財産には相続税がかからなくなります。

相続税の寄付金控除を適用するには、下記の要件をすべて満たさなければなりません。

  • 相続税の申告期限までに寄付を完了させる
  • 相続財産を現金化せず、そのままの形で寄付している
  • 国や地方公共団体、特定の公益法人に寄付している

特定の公益法人に該当する団体や法人は、主に下記の通りです。

  • 独立行政法人
  • 社会福祉法人
  • 一定の学校法人
  • 公益社団・財団法人
  • 認定NPO法人

一般社団法人や認定されていないNPO法人、宗教法人は対象外なのでご注意ください。
また相続財産による寄付は相続人が寄付をしたと考えられるため、寄付する団体によっては相続税の寄附金控除だけでなく、相続人の所得税の寄附金控除も適用できる可能性があります。

ただし、寄付を受け付けていない団体や自治体も中にはあるので、遺産の寄付を検討している場合は、まずは寄付先の団体に確認してみましょう。

2章 相続税を節税するときの注意点

相続税を節税するときには、過度な節税対策や節税目的のみで養子縁組を行うなどは避けた方が良いでしょう。
また、遺産の金額によっては相続税がかからず、節税対策自体が不要な場合もあります。

相続税を節税する際には、下記の3点にご注意ください。

  1. 相続税の過度な節税は税務署に否認される恐れがある
  2. 相続税の基礎控除より遺産が少なければ相続税はかからない
  3. 生前贈与などの相続税対策は相続トラブルにつながる恐れがある

それぞれ詳しく解説していきます。

2-1 相続税の過度な節税は税務署に否認される恐れがある

相続税の節税のみを目的とした養子縁組やその他の対策は、税務署に否認される恐れがあるのでご注意ください。
例えば、養子縁組が相続税対策のみを目的としているとして税務署に否認されると、節税効果がなくなってしまいます。

加えて、税務署も過度な節税対策に関しては、裁判や税制改正によって封じるように対策をしています。
ここ数年では、2022年4月に最高裁によってタワーマンション購入による相続税対策(タワマン節税)が否認され、話題になりました。

タワマン節税は、タワーマンションの市場価格と相続税評価額の差額が大きいことを利用し、相続税の節税を図るものでした。
しかし、2022年4月に最高裁によって否定され、2023年の税制改正によって適正化の流れが進んでいます。

そのため、将来的にはタワーマンション購入で相続税を節税するのは難しくなってくるでしょう。
このように、相続税の節税対策を行っても、税制改正の内容によっては節税効果がなくなってしまう恐れがあります。

そのため、過度な節税対策を行うのではなく、暦年贈与や相続時精算課税制度など税務署も認めている方法で行うのがより確実です。

2-2 相続税の基礎控除より遺産が少なければ相続税はかからない

遺産の基礎控除図解

相続税には「3,000万円+法定相続人の数×600万円」の基礎控除が用意されており、基礎控除内であれば相続税の申告や納税は必要ありません。
そのため、資産や相続人の状況によっては、そもそも相続税対策が必要ない人もいます。

例えば、相続税がかからないにもかかわらず生前贈与を行い、贈与税が余計にかかってしまうといった可能性もあるでしょう。

このような事態を防ぐためにも、相続税の節税対策を行うのであれば、事前に遺産がいくらあるのか、相続税がいくらかかるのかシミュレーションしておくことが大切です。

相続税の基礎控除を詳細に解説!【事例付きで簡単理解】

2-3 生前贈与などの相続税対策は相続トラブルにつながる恐れがある

相続税の負担を軽くするために、子供や孫に生前贈与する場合は、相続トラブルにも注意しましょう。
例えば、子供と孫全員に暦年贈与を繰り返した場合、子供(贈与者から見た孫)がいない人物やいても人数が少ない人物は不公平感を持つ可能性もあるはずです。

他にも、良かれと思って遺産の中で不動産が占める割合を増やした結果、相続人が分割しにくく揉めてしまう可能性もゼロではありません。
このように、相続税の節税対策をする際には、節税効果だけでなく相続トラブルの発生についても考慮する必要があります。

トラブルの発生や防止について、自分たちで漏れなく対策をすることは難しいので、相続に詳しい司法書士や弁護士に相談するのがおすすめです。
次の章では、相続税の節税対策によるトラブルを防ぐ方法や対策を紹介します。

3章 相続税対策によるトラブルを防ぐ方法

相続について対策するときには、税金対策だけでなくトラブルの防止についても対策しておかなければなりません。
相続対策によるトラブルを防ぐには、下記の対策もあわせてしておくのがおすすめです。

  1. 遺言書を作成しておく
  2. 相続人の理解を得ておく
  3. 財産目録を作成しておく
  4. 遺産分割しにくい財産を処分しておく
  5. 遺留分対策をしておく

それぞれ詳しく解説していきます。

3-1 遺言書を作成しておく

生前贈与を行うときには、遺言書をあわせて作成しておきましょう。
遺言書で特別受益の持ち戻し免除を指定しておかないと、過去に行われた生前贈与も含めて遺産分割を決定しなければならない可能性があるからです。

特別受益とは、故人が相続人に対して個別に与えた利益であり、学費や結婚費用の援助、生前贈与などが含まれます。
遺言書を作成しておけば、過去に行った生前贈与を特別受益の計算対象に含めないようにできます。

遺産を減らし相続税を減らす目的だけでなく、特定の人物に財産を受け継いでもらうために生前贈与をした場合は特別受益の持ち戻し免除まであわせて対策しておくと安心です。

特別受益とは|持ち戻しの計算方法や具体例・トラブル回避のための対策
特別受益の持ち戻し免除とは?持ち戻し免除の方法や注意点について

3-2 相続人の理解を得ておく

相続税の節税対策を行うときには、贈与者と受贈者といった当事者が合意するだけでなく、相続人の理解も得ておきましょう。
理解を得ていないと、過去の生前贈与や養子縁組などに対して反発する相続人が現れる可能性もあるからです。

例えば、長男の嫁を養子にして財産を遺す場合も「同居してくれ将来も世話になる可能性が高い長男の嫁にも財産を遺したい」と説明しておけば、他の相続人も納得しやすくなります。
事前に理解を得ておけば、相続対策や遺言書の内容に反発する相続人も減らせるはずです。

3-3 財産目録を作成しておく

相続トラブルをなくし、遺族の負担を減らしたいのであれば、財産目録を作成しておきましょう。
財産目録とは、自分が所有している財産についてまとめたものです。

財産目録を作成しておけば、相続財産調査もスムーズに進められますし、一部の相続人による遺産隠しや使い込みも防げます。
加えて、財産目録により漏れなく相続財産調査を行うことができれば、相続税の申告漏れもなくせます。

【無料ダウンロード】財産目録で相続争い防止!作成方法と記載内容を解説

3-4 遺産分割しにくい財産を処分しておく

相続人同士の関係性が悪く、相続トラブルが起きそうと予想できる場合は、遺産分割しにくい財産を処分してしまうのも選択肢のひとつです。

例えば、相続人の人数や相続分で分割しやすい預貯金に対し、不動産は分割しにくく公平に分割しようとすると共有分割せざるを得ないケースもあります。
しかし、共有分割は将来的に権利関係が複雑になる、活用や売却が難しいなどのリスクがあるためおすすめてぎません。

このような場合は、不動産を処分して預貯金に変えておく、戸建てを遺すのではなく分割しやすいようにアパートやマンションの部屋を相続人の人数分遺すなども有効です。
遺産分割については複数の方法があり、資産や家族の状況に合う方法を知りたい場合は、相続に詳しい司法書士や弁護士に相談することもおすすめします。

土地の遺産分割で兄弟同士が揉めるケース!相続手続きの流れとは?

3-5 遺留分対策をしておく

遺言書の作成や生前贈与などを行うのであれば、遺留分対策もしておきましょう。
遺留分とは、亡くなった人の配偶者や子供、両親に認められる遺産を最低限度受け取れる権利です。

遺留分は遺言書の内容より優先されますし、下記の生前贈与は遺留分の計算対象に含まれます。

  • 相続開始1年以内に行われた生前贈与
  • 遺留分を侵害していると知ってて行われた生前贈与
  • 相続人に対して行われた相続開始10年以内に行われた生前贈与

偏った内容の遺言書を作成する、特定の人物に多額の生前贈与をしている場合は、遺留分を侵害してしまう恐れがあります。
相続人同士の遺留分トラブルを防ぐには、遺留分を侵害しない遺言書作成や生前贈与を行う、遺留分対策を行い各相続人の遺留分を減らしておくなどが有効です。

いずれも専門的な知識が必要であり、状況によってベストな対策が変わってくるので、相続に詳しい司法書士や弁護士に相談するのが良いでしょう。

まとめ

遺産が多ければ多いほど相続税の金額も増えてしまうので、資産が多い人は元気なうちから相続税対策をしておくことが大切です。
相続税の節税方法には生前贈与や生命保険の加入など複数あるので、資産や家族の状況に合う方法を選択しましょう。

なお、遺産が多い場合は相続税の節税対策をしておくだけでなく、相続トラブルを防止するための対策も大切です。
相続人同士のトラブルを減らすためには、遺言書の作成や財産目録の作成、遺産や分割方法について相続人に話しておくなどが有効です。

自分に合う相続対策を知りたい、様々なリスクや事情を考慮した漏れのない対策を行いたい場合は、相続に詳しい司法書士や弁護士に相談することも検討しましょう。

グリーン司法書士法人では、相続対策に関する相談をお受けしています。
初回相談は無料ですし、信頼できる税理士も紹介できるので節税対策もあわせて行えます。
オンライン相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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2億円の遺産にかかる相続税はいくら?相続税を節税する方法とは https://green-osaka.com/online/inheritance-tax/two-hundred-million-yen-on-inheritance-tax https://green-osaka.com/online/inheritance-tax/two-hundred-million-yen-on-inheritance-tax#respond Mon, 25 Mar 2024 00:00:21 +0000 https://green-osaka.com/online/?p=16756 この記事を読む およそ時間: 13 相続税は累進課税制度を採用しており、遺産の金額が多ければ多いほど、相続税率が上がります。 例えば、2億円の遺産を相続した時にかかる相続税額は0~5,100万円です。 相続税には「3,000万円+法定相続人の数×600万円 […]]]> この記事を読む およそ時間: 13

相続税は累進課税制度を採用しており、遺産の金額が多ければ多いほど、相続税率が上がります。
例えば、2億円の遺産を相続した時にかかる相続税額は0~5,100万円です。

相続税には「3,000万円+法定相続人の数×600万円」の基礎控除が用意されており、相続人の人数によって相続税額は変わってきます。
相続税の負担を少しでも減らしたいのであれば、相続発生前の段階から節税対策を行っておくことが肝心です。

本記事では、2億円の遺産にかかる相続税額はいくらなのか、相続税の申告時に使える控除・特例、節税方法を解説します。
相続税の基本的な仕組みや計算方法については、下記の記事で解説しているのでご参考ください。

相続税の計算方法を詳しく解説【自分で相続税を計算しよう!】

1章 2億円の遺産にかかる相続税はいくらくらい?

相続税には「3,000万円+法定相続人の数×600万円」の基礎控除が用意されているため、相続人の人数によって相続税額が変わります。
また、故人に配偶者がいた場合は相続税の配偶者控除を適用できるため、相続税額が大幅に下がります。

本章では、下記のケースごとの相続税額をそれぞれ解説します。

  1. 配偶者がすべての遺産を相続した場合
  2. 配偶者と子供が相続した場合
  3. 子供のみが相続した場合

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1-1 配偶者がすべての遺産を相続した場合

配偶者が2億円の遺産をすべて受け継いだとき、相続税はかかりません。
相続税には配偶者控除が用意されており、下記の遺産までは相続税がかからないからです。

  • 1億6,000万円
  • 法定相続分

※いずれか多い方の金額が適用される

例えば、配偶者に子供がいなく他に相続人がいなかった場合は、配偶者の法定相続分は100%となります。
したがって、2億円の遺産をすべて受け継いでも、相続税はかかりません。

一方で、配偶者に子供が1人いた場合は配偶者の法定相続分は「2億円×2分の1=1億円」です。
この場合でも相続税の基礎控除および配偶者控除を合計すると「4,200万円+1億6,000万円=2億200万円」となるため、控除額が遺産総額を上回り、相続税がかからない計算になります。

配偶者が全て相続したときの相続税はいくら?利用できる控除や特例

1-2 配偶者と子供が相続した場合

相続人が配偶者と子の場合の遺産総額別相続税額

配偶者と子供が2億円の遺産を受け継いだときには、子供の人数によって下記のように相続税額が変わってきます。

  • 子供の人数が1人:1,670万円
  • 子供の人数が2人:1,350万円
  • 子供の人数が3人:1,217万円
  • 子供の人数が4人:1,125万円

なお、上記の税額は配偶者と子供がそれぞれ法定相続分で相続した場合の金額であり、子供が法定相続分より多く受け継ぐと、さらに相続税額が上がる可能性があります。

1-3 子供のみが相続した場合

相続人が子だけの場合の遺産総額別相続税額

故人の配偶者がすでに死亡している、離婚しているなどの理由で、子供のみが相続人となった場合の相続税額はそれぞれ下記の通りです。

  • 子供の人数が1人:4,860万円
  • 子供の人数が2人:3,340万円
  • 子供の人数が3人:2,460万円
  • 子供の人数が4人:2,120万円

上記のように、相続人が子供だけの場合は配偶者控除を適用できないため、相続税の金額が大幅に上がります。
父親と母親の両方が亡くなり、子供のみが相続人になったときの税負担を軽減するには、親が元気なうちに生前贈与を行い遺産総額を減らしておくなどの対策も必要です。

相続税対策については、本記事の4章で詳しく解説しています。

相続税の基礎控除を詳細に解説!【事例付きで簡単理解】

2章 相続税計算の流れ

相続税は遺産ごとに計算するのではなく、遺産総額をもとに計算します。
相続税を計算する流れは、下記の通りです。

  1. 財産を評価する
  2. 遺産の総額から基礎控除額を引く
  3. 基礎控除額を引いたあとの遺産を法定相続分で分ける
  4. 法定相続分で分けた遺産から相続税の総額を計算
  5. 相続税の総額を実際の相続割合で分けなおす
  6. 控除・加算で最終的な納付税額を求める

それぞれ詳しく見ていきましょう。

STEP① 財産を評価する

相続税を計算する際には、相続財産調査を行い漏れなく遺産を把握、評価しなければなりません。
相続税は現金や預貯金など個々の財産ごとに計算するのではなく、遺産総額に対してかかるからです。

相続財産調査に不備があり、相続人が把握できていない遺産があると、相続税の申告漏れになってしまう恐れもあります。
相続財産調査は、財産の種類ごとに下記の方法で行いましょう。

財産の種類 調査方法
不動産
  • 固定資産税課税明細書や登記識別通知書、権利証、名寄帳などを調べる
  • 不動産の登記簿謄本を法務局で取り寄せる
預貯金 口座のある銀行で残高証明書を取得する
株式・有価証券

【上場株式の場合】

  • 自宅に届いている取引残高報告書や特定口座年間取引報告書などの書類・目論見書・口座開設時の控えなどから証券会社を特定、問い合わせをする
  • 証券会社が特定できない場合には証券保管振替機構(ほふり)に「登録済み加入情報開示請求」をする

【非上場株式の場合】

  • 亡くなった人が経営していた会社や、同族会社に問い合わせる
貴金属 ・亡くなった人の自宅や貸し金庫を調査する
自動車
  • 車検証や車庫証明から名義人を確認する
  • ローンが残っていたり、リース契約だったりする場合は、ディーラーやリース会社に問い合わせる
借金
  • 借り入れの契約書や利用明細、督促状などの書類がないか確認する
  • 信用情報機関に問い合わせる

なお、不動産や株式、貴金属、自動車などの遺産は、相続税を計算する前に相続税評価額を算出しなければなりません。
ミスなく計算したい場合や財産の種類が多く、相続税評価額の算出を自分でするのが難しい場合は、相続に詳しい税理士に依頼するのが良いでしょう。

相続財産調査とは?詳しい調査方法や依頼先について簡単解説

STEP② 遺産の総額から基礎控除額を引く

相続財産調査や相続税評価額の算出が完了し遺産総額が分かったら、相続税の基礎控除額を引き、課税対象額を計算します。

遺産の基礎控除図解

相続税には「3,000万円+法定相続人の数×600万円」の基礎控除が用意されています。
例えば、2億円の遺産を相続した時の基礎控除額と課税対象額を計算してみましょう。

【相続財産】

  • 預貯金:1億円
  • 不動産:1億円

【相続人】

  • 配偶者
  • 子供2

上記のケースでは、相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」です。
相続税の課税対象額は「2億円-4,800万円=1億5,200万円」となります。

STEP③ 基礎控除額を引いたあとの遺産を法定相続分で分ける

課税対象額を計算した後は、各相続人の法定相続分を計算します。
法定相続分とは、法律によって決められた相続人ごとの遺産の取り分であり、下記のように決められています。

法定相続人 法定相続分 備考
配偶者のみ 配偶者100%
配偶者+子 配偶者 1/2 子が複数人いる場合は均等に分配
1/2
配偶者+両親などの直系尊属 配偶者 2/3 ・親が複数人いる場合は均等に分配
・故人に最も近い世代のみが相続人となる
両親などの直系卑属 1/3
配偶者+兄弟・姉妹 配偶者 3/4 兄弟・姉妹が複数人いる場合は均等に分配
兄弟・姉妹 1/4
子のみ 子100% 子が複数人いる場合は均等に分配
両親などの直系尊属のみ 両親100% 親が複数人いる場合は均等に分配
兄弟・姉妹のみ 兄弟・姉妹100% 兄弟・姉妹が複数人いる場合は均等に分配

本記事で紹介した例の場合、相続人は配偶者と子供2人なので、法定相続分は下記の通りです。

  • 配偶者:7,600万円(2分の1)
  • 子供:3,800万円(4分の1ずつ)
遺産相続の優先順位と相続割合を簡単解説【見てわかるイラスト付】

STEP④ 法定相続分で分けた遺産から相続税の総額を計算

続いて、先ほど計算した各相続人の法定相続分に相続税率を掛けて、相続税額を計算します。
相続税は超過累進課税制度を採用しており、相続税額は下記の速算表によって計算可能です。

相続税の税額計算一覧

本記事で紹介しているケースでは、相続税額は下記のように計算できます。

  • 配偶者:7,600万円×30%-700万円=1,580万円
  • 子供:3,800万円×20%-200万円=560万円
  • 相続税額:1,580万円+560万円+560万円=2,700万円

STEP⑤ 相続税の総額を実際の相続割合で分けなおす

続いて、先ほど計算した相続税額を実際の相続割合でそれぞれ分配します。
例えば、配偶者と子供で下記の割合で相続した場合、それぞれの相続人が納める金額は下記のように計算できます。

【実際の相続割合】

  • 配偶者が6割(1億2,000万円相続した)
  • 子供たちが2割ずつ(それぞれ4,000万円ずつ相続した)

【それぞれの相続税額】

  • 配偶者:2,700万円×60%=1,620万円
  • 子供:2,700万円×20%=540万円

STEP⑥ 控除・加算で最終的な納付税額を求める

最後に、相続税の控除や特例を適用し、最終的な納税額を決定します。
例えば、相続税には配偶者控除が用意されており、配偶者が相続した場合、最低でも1億6000万円までの遺産に対しては相続税がかかりません。

本記事で紹介したケースで配偶者控除を適用した場合、最終的な納税額は下記のように計算可能です。

  • 配偶者:相続税の配偶者控除を適用するため、相続税はかからない
  • 子供:540万円ずつ

なお、上記のように配偶者控除を適用し、相続税額が0円になった場合でも、相続税の申告自体は必要なのでご注意ください。

相続税には配偶者控除だけでなく、他にもいくつか控除や特例が用意されています。
次の章では、相続税申告時に利用できる控除や特例を解説します。

3章 相続税節税に使える主な控除や特例

相続税の控除や特例を利用すれば、相続税額を軽減可能です。
控除や特例にはそれぞれ適用要件が定められているため、相続発生時には利用できる制度がないか確認してみることをおすすめします。

相続税申告時に使用されることが多い代表的な控除や特例は、主に下記の5つです。

  1. 小規模宅地等の特例
  2. 配偶者の税額軽減
  3. 未成年者控除
  4. 障害者控除
  5. 生命保険金の控除

それぞれ詳しく見ていきましょう。

3-1 小規模宅地等の特例

小規模宅地の特例制度

小規模宅地等の特例とは、相続した土地の相続税評価額を最大8割減額できる制度です。
小規模宅地等の特例の限度面積や減額割合は、土地の種類ごとに下記のように設定されています。

用途 区分 限度面積 減額割合
自宅 特定居住用宅地等 330㎡ 80%
収益物件 貸付事業用宅地等 200㎡ 50%
事業用地 特定事業用宅地等
(特定同族会社事業用宅地等)
400㎡ 80%

特に、亡くなった人の自宅や亡くなった人が事業を営んでいた土地を相続した場合、相続税評価額を最大8割軽減できるので、相続税額を大幅に減額できる可能性があります。

小規模宅地等の特例ではそれぞれの用途ごとに、土地および相続人の適用要件が定められています。
亡くなった人が不動産を所有していた場合は、小規模宅地等の特例を適用できないか、まず確認してみるのが良いでしょう。

小規模宅地等の特例とは?適用要件や土地の種類・手続きの流れまとめ

3-2 配偶者の税額軽減

相続税の配偶者控除とは、故人の配偶者が相続した遺産を下記の金額まで非課税にする制度です。

  • 1億6,000万円
  • 法定相続分

※いずれか多い方の金額が適用されます

わかりやすく言えば、配偶者が遺産を相続した場合、最低でも1億6,000万円までについては相続税がかかりません。
そのため、配偶者を亡くした場合、ほとんどの人は相続税がかからないと思っていて問題はないでしょう。

節税効果が大きい相続税の配偶者控除ですが、適用時には下記の点に注意しなければなりません。

  • 適用後に相続税額が0円になったとしても、相続税の申告は必要である
  • 一次相続で配偶者に相続を集中させすぎると、二次相続の負担が重くなる恐れがある

相続税がかからなくなったからといって、相続税の申告をしないでいると配偶者控除の適用ができなくなってしまいます。

また、夫婦のどちらか片方が亡くなったときに配偶者控除を適用できるからといって、配偶者に遺産を集中させるのも注意が必要です。
相続人の中に配偶者が含まれる一次相続の相続税額は減りますが、配偶者が亡くなったときの二次相続の税額が高くなってしまう可能性があるからです。

相続税の配偶者控除を適用する場合は、今回発生した相続と将来、遺された配偶者が亡くなるときの相続税額をシミュレーションすることをおすすめします。

相続税の配偶者控除とは?適用要件や利用時の注意点まとめ

3-3 未成年者控除

未成年者控除は、相続人に未成年者が含まれるときに適用できる制度です。
未成年者控除を適用すれば「(18歳-相続時の年齢)×10万円」を相続税から控除できます。
相続税の未成年者控除の概要は、下記の通りです。

概要 相続人に未成年者が含まれるときに適用できる控除
適用要件
  • 相続開始日に未成年者である
  • 相続もしくは遺贈で財産を取得した
  • 法定相続人である
  • 相続開始時に日本国内に住所がある
控除額 (18歳-相続時の年齢)×10万円

なお、相続税の未成年者控除の控除枠が余った場合には、未成年者の相続人本人だけでなく扶養義務者も控除枠を使用できます。
未成年者の扶養義務者は両親や祖父母、兄弟姉妹などが該当しますが、控除枠を利用できるのは扶養義務者かつ相続人のみである点に注意が必要です。

相続税の未成年者控除とは?要件や計算方法・注意点をわかりやすく解説

3-4 障害者控除

相続税の障害者控除とは

相続税の障害者控除とは、相続人の中に障害者がいる場合に受けられる控除です。
控除を利用するには、下記の要件をすべて満たさなければなりません。

  • 法定相続人であること
  • 相続または遺贈で財産を承継したこと
  • 相続開始日に日本に居住していること
  • 相続開始日に障害者であること

相続税の控除額は下記の金額で計算でき、障害者が納める相続税額より控除額の金額が上回る場合は扶養義務者の相続税額から残額を控除できます。

【一般障害者の場合】

障害者控除額=(85歳-相続開始日の障害者の年齢)×10万円

【特別障害者の場合】

障害者控除額=(85歳-相続開始日の障害者の年齢)×20万円

※(85歳-相続開始日の障害者の年齢)に端数があるときは切り上げ。

相続税の障害者控除の適用要件は?控除額の計算方法や手続方法を解説

3-5 生命保険金の控除

生命保険金や死亡退職金は受取人固有の財産として扱われますが、故人の死亡を理由に発生するお金のため、相続税の課税対象財産に含まれます。
ただし、生命保険金および死亡退職金にはそれぞれ「法定相続人の数×500万円」の非課税枠が用意されています。

そのため、遺産のうち預貯金が占める割合が多いのであれば、一部を貯蓄性の高い生命保険に切り替えておくのも相続税対策として有効です。

生命保険が相続対策になる4つの理由と相続対策のポイント

4章 相続税を節税するコツ

相続税は超過累進課税制度を採用しているため、遺産総額が増えれば増えるほど相続税率が高くなってしまいます。
そのため、多額の資産を持っている人ほど、元気なうちから相続税対策を行っておき、遺族の負担を軽減すべきといえるでしょう。

相続税を節税する方法は複数ありますが、代表的かつ手軽に行えるものは主に下記の通りです。

  1. 控除や特例を漏れなく活用する
  2. 相続財産の評価額を下げる
  3. 生前贈与を行い遺産を減らしておく
  4. 相続した債務も漏れなく申告する
  5. 二次相続対策をしておく

それぞれ詳しく解説していきます。

4-1 控除や特例を漏れなく活用する

本記事の3章で解説したように、相続税には控除や特例が用意されています。
控除や特例を漏れなく利用すれば、それだけ相続税を節税可能です。

相続税は申告納税方式であり、自分で相続税額を計算し申告しなければなりません。
加えて、本来であれば利用できたはずの控除や特例を利用せずに申告した場合でも、税務署が「税金を納めすぎています」「こちらの控除や特例を使った方がお得ですよ」などと知らせてくれることはありません。

そのため、家族や親族が亡くなったときには、相続税の申告期限までに控除や特例の適用要件を確認し、漏れなく申告する作業が必要になります。
とはいえ、人生の中で相続税申告を経験する回数は限られており、経験や知識のない人が漏れなく控除や特例を利用するのは難しいでしょう。

自分たちで計算するのは難しそうだ、それでもできるだけ相続税を節税したいと考える場合は、相続に詳しい税理士に申告書を作成してもらうのが確実です。

相続税還付とは?相続税がもどるケースと還付請求の手続き

4-2 相続財産の評価額を下げる

遺産の中で預貯金や現金の占める割合が多いのであれば、不動産を購入し相続財産の評価額を下げておくのも相続税対策として有効です。
不動産の相続税評価額は市場価格の7~8割程度であることが多いからです。

そのため、同程度の価値の財産の場合、預貯金よりも不動産で所有しておく方が相続税の課税対象額を減らせます。

一方で、遺産の中で不動産の占める割合が多いと、相続人同士で分配しにくい、相続後も管理コストがかかるなどのデメリットがあります。
相続税対策で不動産の購入や活用をする際には、節税面だけでなく相続対策や不動産活用まで含めて専門家に相談しておくのが良いでしょう。

【不動産の相続税対策6選】必ず知っておくべきポイントとリスク

4-3 生前贈与を行い遺産を減らしておく

元気なうちから生前贈与を行って子供や孫に財産を譲っておけば、遺産総額そのものを減らせるため、相続税の負担も軽減できます。
生前贈与で相続税対策する際には、下記の点に注意しておきましょう。

  • 年間110万円を超える贈与を受けると、贈与税がかかる場合がある
  • 相続発生3~7年以内に行われた贈与は、相続税の課税対象に含まれる恐れがある
  • 毎年決まった時期に増額の贈与を繰り返していると、定期贈与と判断される恐れがある
  • 贈与後も贈与者が贈与した財産を管理していると、名義預金と判断され贈与が認められない恐れがある
  • 相続トラブルの発生を防ぐため、遺言書の作成などの相続対策も合わせて行っておく

このように、生前贈与には様々な注意点があり、方法を間違えてしまうと相続税の節税にならない恐れもあります。
相続税対策や希望の人物に財産を受け継ぐために生前贈与を行うのであれば、相続に詳しい税理士や司法書士のアドバイスを受けながら行うのが確実です。

生前贈与とは?メリット・デメリットや贈与税の計算方法について

4-4 相続した債務も漏れなく申告する

亡くなった人が遺していた借金などの債務は、相続税の申告時に遺産から控除可能です。
例えば、故人が2億円の預貯金や不動産を遺していたとしても、アパートローンの残債が1億円あった場合は遺産総額は「2億円-1億円=1億円」となります。

そのため、家族や親族が亡くなったときには故人が借金をしていなかったか確認し、借金をしていた場合は債務控除を忘れずに行うことが大切です。
なお、相続税の申告時に遺産から控除できる債務の種類は「相続開始時点で存在し、確実に認められるもの」と限定されており、主に下記の通りです。

  • 借入金
  • 未払費用
  • 葬式費用
  • 未払税金
  • 預かっていた敷金
  • 家族信託による借入金

例えば、相続発生時に故人が支払うと確定していなかった連帯保証債務は、原則として債務控除できないのでご注意ください。

相続税の債務控除とは?対象になるもの・ならないものを紹介
故人が多額の借金を遺していたら相続放棄も検討しよう

亡くなった人の状況によっては預貯金や不動産などのプラスの財産よりも、借金などのマイナスの財産が多いケースもあるでしょう。
相続財産調査の結果、故人が遺したプラスの財産よりもマイナスの財産の方が多いことが明らかな場合は、相続放棄も検討しましょう。

相続放棄をすれば、最初から相続人でなかった扱いになり、故人が遺した借金の返済義務を受け継ぐことはありません。

相続放棄をするには家庭裁判所での申立てが必要ですし、「自分が相続人であると知ってから3ヶ月以内」といった期限も設定されています。
期限内に相続財産調査をし、相続放棄すべきかの判断を行うのは難しいので、相続放棄に詳しい司法書士や弁護士に相談してみることをおすすめします。

専門家に相談すれば、相続財産調査も任せられますし、相続放棄すべきかの判断や申立て手続きも依頼可能です。

相続放棄とは?検討すべきケース3つや手続きの流れ・注意点まとめ

4-5 二次相続対策をしておく

父親もしくは母親のどちらか片方が亡くなったときには、二次相続対策を行なっておきましょう。
二次相続とは、下図のように遺された配偶者も亡くなり両親(夫婦)が共に亡くなったときの相続です。

二次相続イメージ

下記の理由により二次相続では、一次相続よりも相続税が高くなりやすいです。

  • 小規模宅地等の特例や配偶者控除を適用できない
  • 法定相続人の人数が減り基礎控除額や生命保険金、死亡退職金の非課税枠が減る

子供にかかる相続税を減らしたいのであれば、下記の方法で二次相続対策を行うのがおすすめです。

  • 生前贈与を行い遺産そのものを減らしておく
  • 一次相続の財産取得割合を調整し、子供に多く相続させる
  • 同居している子供がいれば、一次相続の時点で実家を子供に相続させる
  • 二次相続時の納税資金を確保しておく
  • 不動産の購入などをして、相続財産の資産組み換えを行う
  • 賃貸用不動産を子供に相続させる
  • 生命保険金の非課税枠を活用する
  • 数次相続控除を利用する

例えば、故人が賃貸用不動産を所有していた場合、一次相続の段階で子供に賃貸用不動産を相続させるのもおすすめです。
子供が賃貸用不動産を相続した後に発生した収益に関しては、遺産にならず子供自身の財産となるからです。

二次相続対策には様々な方法があり、子供の人数や遺産の種類によっても取るべき対応が変わってきます。
自分たちで最適な方法を見つけるのは現実的ではないので、相続に詳しい専門家に相談してみるのがおすすめです。

まとめ

2億円の遺産を相続した場合にかかる相続税額は0~5,100万円と非常に幅が大きいです。
相続税には配偶者控除や基礎控除が用意されており、故人に配偶者がいたかどうか、相続人の人数によって相続税が大幅に変わります。

相続税の負担を少しでも軽くしたい場合は控除や特例を利用する、元気なうちから生前贈与を行い遺産そのものを減らしておくなどの対策も必要です。
ただし、生前贈与の際には家族間であっても贈与契約書の作成が必要ですし、方法を間違えてしまうと相続税や贈与税の節税に失敗してしまうこともあります。

このように、生前贈与などの相続税対策には専門的な知識や経験が必要なため、自己判断で行うのではなく相続に詳しい税理士などの専門家に相談しながら行うのが良いでしょう。

グリーン司法書士法人では、相続対策に関する相談をお受けしています。
初回相談は無料ですし、信頼できる税理士の紹介も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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相続税がかかる人の割合は約1割弱!相続税がかかる遺産は何? https://green-osaka.com/online/inheritance-tax/percentage-of-people-subject-to-inheritance-tax https://green-osaka.com/online/inheritance-tax/percentage-of-people-subject-to-inheritance-tax#respond Sat, 23 Mar 2024 00:00:49 +0000 https://green-osaka.com/online/?p=16753 この記事を読む およそ時間: 9 相続税はすべての人にかかる税金ではなく、亡くなった人の遺産が一定額を超えるときのみにかかります。 例えば2022年は死亡した人が約156万9,000人いたのに対し、相続税の申告が必要だったのは約15万人でした。 このよう […]]]> この記事を読む およそ時間: 9

相続税はすべての人にかかる税金ではなく、亡くなった人の遺産が一定額を超えるときのみにかかります。
例えば2022年は死亡した人が約156万9,000人いたのに対し、相続税の申告が必要だったのは約15万人でした。
このように、亡くなった人の遺産に相続税がかかるのは毎年約10%程度の割合です。

なお、家族や親族が亡くなったときに相続税の申告が必要であっても、税務署が連絡してくることはありません。
相続が発生したときには、遺産の調査・評価を行い、相続税申告の要否を判断する必要があります。

相続税の申告期限は相続開始から10ヶ月以内と決められているので、家族や親族が亡くなったときは早めに相続人調査や相続財産調査 を行いましょう。

本記事では、相続税がかかる人の割合や相続税の課税対象となる財産について解説します。
相続税の計算方法や仕組みについては、下記の記事でも解説しているのでご参考ください。 

相続税の計算方法を詳しく解説【自分で相続税を計算しよう!】

1章 相続税がかかる人の割合は約1割弱

相続税はすべての人にかかるのではなく、遺産が一定額を超えたときのみかかります。
相続税の課税割合は毎年10%弱であり、死亡した人10~11人のうち1人に相続税がかかる計算です。

実際に、過去数年の相続税の課税割合を確認してみましょう。

死亡者数 相続税が課税された死亡者数 課税割合
2015年(平成27年) 1,290,444人 103,043人 8.0%
2016年(平成28年) 1,307,748人 105,880人 8.1%
2017年(平成29年) 1,340,397人 111,728人 8.3%
2018年(平成30年) 1,362,470人 116,341人 8.5%
2019年(平成31年・令和元年) 1,381,093人 115,267人 8.3%
2020年(令和2年) 1,372,755人 120,372人 8.8%
2021年(令和3年) 1,439,856人 134,275人 9.3%
2022年(令和4年) 1,569,050人 150,858人 9.6%

参照元:厚生労働省「人口動態調査」
参照元:国税庁「相続税の申告事績の概要」

上記のように、相続税の課税割合は例年10%弱で推移しています。
このように、相続税はすべての人にかかる税金ではないので、そもそも相続税の申告が必要ない人も多いことも理解しておきましょう。

1-1 相続税がかかる人の割合は平成27年で増加した

先ほど相続税の課税割合が約10%弱ほどと解説しましたが、平成26年はまでは約5%弱の課税割合でした。

平成27年の税制改正により、相続税の課税割合が増加しています。
相続税の課税割合が増加した原因について、次の章で詳しく見ていきましょう。

2章 相続税がかかる人が増えた理由

相続税の課税割合は平成27年以降は4%程度上がっていますが、これは税制改正により相続税の基礎控除額が減少したからです。
平成26年より前の基礎控除額および平成27年以降の基礎控除額の計算方法は、それぞれ下記の通りです。

平成26年より前 5,000万円+法定相続人の数×1,000万円
平成27年以降 3,000万円+法定相続人の数×600万円

平成26年より前に両親が亡くなった人の場合、過去の相続では改正前の基礎控除をもとに相続税を計算した可能性も十分に考えられます。
しかし、平成27年以降は相続税の基礎控除額が減少しているため、自分も両親と同額程度の遺産を遺そうとしたときに子供や配偶者に相続税がかかってしまう恐れもあります。

遺された家族や親族にかかる相続税の税負担を軽減するためにも、相続税の基礎控除の計算方法や相続税対策について理解しておくことが大切です。

2-1 相続税の基礎控除の計算方法

遺産の基礎控除図解

相続税には「3,000万円+法定相続人の数×600万円」の基礎控除が用意されています。
例えば、配偶者と子供2人が法定相続人になるなら、基礎控除の金額は4,800万円です。

法定相続人とは法律によって決められた相続人であり、下記のように優先順位が決まっています。

相続税 基礎控除

常に相続人になる 配偶者
第一順位 子供・孫
第二順位 両親・祖父母
第三順位 兄弟姉妹・甥姪

自分より優先順位が高い相続人が1人でもいる場合、下の順位の人物は相続人にはなれません。
上記のように、相続税の基礎控除は自分の家族や親族の人数によって変わってきます。

相続税対策をする際には、自分が亡くなったときには誰が相続人となるのか、基礎控除がいくらになるのかをまず計算してみましょう。

相続税の基礎控除を詳細に解説!【事例付きで簡単理解】
相続権とは?|法定相続人の範囲と相続割合をわかりやすく解説

3章 相続税の課税対象となる財産・ならない財産

相続財産とは

相続財産は亡くなった人が所有していた現金や預貯金だけでなく、不動産や株式なども含まれます。
相続税を漏れなく申告するために、相続税申告前には相続財産調査をしておく必要があります。

また、亡くなった人が生前のうちに現金で一括購入したお墓や仏壇などは、相続財産には含まれません。
本章では、相続税の課税対象となる財産とならない財産について詳しく見ていきましょう。

3-1 相続税の課税対象となる財産

相続税の課税対象となる財産は、主に下記の通りです。

  • 現金・預貯金
  • 不動産(宅地や農地、自宅、建物、借地権、借家権など)
  • 自動車や骨董品、絵画、宝石類などの動産
  • 有価証券
  • 賃貸人、賃借人などの契約上の地位
  • 損害賠償請求権、損害賠償義務などの権利義務
  • 借金や滞納家賃、滞納税金などの負債
  • 死亡保険金
  • 死亡退職金
  • 死亡の3~7年前までに相続人へ贈与された財産
  • 弔慰金

なお、現金や預貯金は額面通りに評価して相続税を計算しますが、不動産や有価証券は相続税の計算をする前に相続税評価額を算出しなければなりません。

死亡保険金や死亡退職金などは厳密には相続財産には該当せず、遺産分割の対象にはなりません。
しかし、死亡保険金や死亡退職金は故人の死亡により発生するお金であると考えられるので、相続税の課税対象財産に含まれます。

相続税の申告要否を判断する際や申告書を作成する際には、これらのすべての遺産を漏れなく調査し、相続税評価額を計算しなければなりません。
遺産の種類が多い場合や評価が難しい場合、故人と疎遠でありどんな遺産があるかわからない場合は、相続財産調査を司法書士や行政書士に依頼することも検討しましょう。

相続財産とは?【簡単】正しく理解するために知っておくべき基礎知識

3-2 相続税の課税対象とならない財産

一方で、下記に該当する財産は相続税の課税対象に含まれません。

  • 故人の一身専属権や義務(養育費の請求権や支払い義務、使用貸借権、身元保証人の地位、生活保護の受給権、年金受給権など)
  • 祭祀財産
  • 香典

祭祀財産とは、祖先を祀るための財産であり、お墓や仏壇などが該当します。
また、香典は故人に対して支払われるのではなく、喪主に対する贈与として扱われるため相続財産には含まれませんし、相続税がかかることもありません。

祭祀財産とは?相続上の取り扱いと承継方法。相続税の節税対策になる?
香典は喪主のもの!余ったら相続人で分配しなければだめ?

4章 相続税を節税する方法

相続税の税負担を軽減するには、生前贈与を行い遺産そのものを減らしておく、不動産などを購入しておき相続税評価額を下げるなどの工夫が必要です。
具体的には、下記を行うのが良いでしょう。

  1. 生前贈与などで遺産を減らしておく
  2. 相続財産の評価額を下げる
  3. 相続税の控除や特例を利用する
  4. 生命保険に加入する
  5. 墓地や仏壇などを生前のうちに現金で購入する
  6. 養子縁組を行う

それぞれ詳しく解説していきます。

4-1 生前贈与などで遺産を減らしておく

子供や孫など贈与できる人物がたくさんいる場合は、生前贈与を行い遺産そのものを減らしておくのも相続税の節税対策として有効です。
ただし、年間110万円を超える贈与を受け取ると、贈与税がかかる場合があるのでご注意ください。

贈与税には、下記の2種類の課税方法があります。

課税方法 特徴
暦年贈与
  • 毎年110万円の基礎控除が用意されている
  • 贈与者が死亡する3~7年以内に、相続人・受遺者が贈与を受けた場合は贈与財産も相続税の計算対象に含める
相続時精算課税制度
  • 贈与税が一律2,500万円まで非課税になる
  • 非課税枠を超えた贈与に対しても贈与税率が一律20%になる
  • 贈与者が死亡したときには、贈与財産を相続税の課税対象財産に含める
  • 2024年以降は毎年110万円の基礎控除が用意される

暦年贈与は手続き等も不要で手軽に行えるのが魅力であり、受贈者になる人物が多い人や贈与者の年齢が比較的若いときにおすすめの課税方法です。
毎年110万円の贈与を繰り返せば、それだけ贈与税を節税できます。

相続時精算課税制度とは、2,500万円までの贈与を一律非課税にできる制度です。
贈与税の節税効果は大きいものの贈与者が亡くなったときに、贈与財産を相続財産に加えて相続税を計算しなければなりません。
そのため、相続税を節税する直接的な効果はない点に注意しましょう。

相続時精算課税制度を一度選択すると二度と暦年贈与に戻れないので、相続税対策として生前贈与を行う際には相続に詳しい税理士に相談して課税方法ごとにシミュレーションしてもらうことが大切です。

相続税と贈与税の税率はどちらが安い?4つの違いや節税対策の注意点
相続時精算課税制度とは?メリデメから手続方法まで専門家が徹底解説
2024年からは相続時精算課税制度に基礎控除が用意されます

2024年1月1日以降は、相続時精算課税制度にも年間110万円の基礎控除枠が追加されます。
年間の贈与額が基礎控除内に収まる場合、贈与税および相続税の取り扱いは下記の通りです。

  • 贈与税の申告および納税は不要
  • 基礎控除内の贈与には相続税もかからない
  • 基礎控除内の贈与であれば生前贈与加算の対象にならない

相続時精算課税制度に基礎控除枠が追加されたことで、贈与税および相続税の節税効果が上がると期待できます。
一方で、贈与者が亡くなったときの相続税の計算が複雑になり、受贈者や相続人が自分で行うのは難しいでしょう。

4-2 相続財産の評価額を下げる

遺産の中で現金や預貯金が占める割合が大きいのであれば、不動産を購入して相続税評価額を下げるのもおすすめです。
不動産の相続税評価額は、市場価格の7~8割程度となっていることが多いからです。

他にも、下記の方法で不動産を活用すればさらに相続税を節税できる可能性があります。

  • 賃貸用のアパートやマンションを建築する
  • 不動産管理会社を設立する

アパートローンを利用して賃貸用のアパートやマンションを建築すれば、相続発生時のローン残債を債務控除できるため遺産総額を減らせます。
また、人に貸している建物や土地は、不動産を自由に使用できない分、相続税評価額をさらに計算可能です。

加えて、不動産経営が軌道に乗り家賃収入が1,000万円以上かつ、利益が500万円を超えたら不動産会社を設立してさらに節税を図るのも良いでしょう。

【不動産の相続税対策6選】必ず知っておくべきポイントとリスク
不動産管理会社の設立で節税対策|設立のメリットやタイミングとは?

4-3 相続税の控除や特例を利用する

相続税には控除や特例が用意されており、漏れなく適用すればそれだけ相続税を節税可能です。
相続税の控除や特例は、主に下記の通りです。

控除・特例 概要
小規模宅地等の特例 亡くなった人の土地を受け継いだときに、土地の相続税評価額が最大8割軽減される
配偶者控除 亡くなった人の配偶者が相続した遺産が1億6,000万円もしくは法定相続分まで非課税になる
未成年者控除 相続人に未成年者がいた場合、「(18歳-相続時の年齢)×10万円」の税額控除を受けられる
障害者控除 相続人に障害者がいた場合、「(85歳-相続開始日の障害者の年齢)×10万円(20万円)」の税額控除を受けられる
生命保険金の控除 生命保険金や死亡退職金に対して「法定相続人の数×500万円」の控除が受けられる

上記以外にも控除や特例はあるので、漏れなく適用したい場合は相続に詳しい税理士に相談してみるのが良いでしょう。

4-4 生命保険に加入する

生命保険金は「法定相続人の数×500万円」の控除額が用意されています。
そのため、現金や預貯金で財産を遺すよりも生命保険に加入していた方が相続税を節税できる可能性があります。

また、生命保険金は受取人固有の財産として扱われるため、遺産分割協議が完了しなくても受け取れるのがメリットです。
下記のように、生命保険金は様々な用途に活用できます。

  • 葬儀費用
  • 遺された家族の生活費
  • 相続税の納税資金
  • 他の相続人に支払う遺留分侵害額相当分、代償金

遺された家族の生活を少しでも楽にしたい、特定の相続人に多く財産を遺すことを考えているのであれば、生命保険の加入も検討しておきましょう。

相続税対策に生命保険を検討してる方【必見】活用方法と注意点を解説

4-5 墓地や仏壇などを生前のうちに現金で購入する

相続税の課税対象財産を少しでも減らし、相続税の負担を軽くしたいのであれば、生前のうちに墓地や仏壇などを現金で一括購入しておきましょう。
本記事の3章で解説したように、墓地や仏壇は祭祀財産に該当し、相続税の課税対象にはなりません。

そのため、亡くなる前に墓地や仏壇を購入しておけば、その分だけ遺産を減らせます。
ただし、墓地や仏壇の購入で相続税の節税を考えるときには、下記の点に注意しておきましょう。

  • 相続発生後に相続人が遺産から墓地や仏壇を購入しても、相続税の節税にはならない
  • 相続発生時に残っていた墓地や仏壇のローン残債に関しては、債務控除の対象にならない
  • 高額すぎる墓地や仏壇は祭祀財産と認められない恐れがある

上記のように、相続税の負担を軽減するには自分が亡くなるまでに墓地や仏壇の支払いを完了させておかなければなりません。
そのため可能であれば、墓地や仏壇は現金で一括購入してしまうのがおすすめです。

お墓には相続税がかからない!お墓購入で相続税対策するときの注意点

4-6 養子縁組を行う

養子縁組を行えば、相続税の基礎控除額が増えるため、その分だけ相続税を節税可能です。
また養子縁組を行えば、養子は実子と同様の相続権を持つので孫や子供の配偶者など本来であれば相続人ではない人物にも遺産を遺せます。

ただし、相続税対策として養子縁組を行う際には、下記の点に注意しなければなりません。

  • 孫を養子にした場合、孫の相続税は2割加算となる恐れがある
  • 養子と他の相続人の間で相続トラブルが発生する恐れがある
  • 相続税対策を目的とした養子縁組は税務署に否認される恐れがある

相続対策として養子縁組を行う際には、注意しなければならないことも多いです。
本当に養子縁組によって相続税を節税できるのかのシミュレーションも踏まえて、相続に詳しい税理士に装弾するのが良いでしょう。

また、孫や子供の配偶者などに財産を遺したい場合、わざわざ養子縁組しなくても遺言書の作成や生前贈与などで希望する人物に財産を遺せます。
相続対策には複数の方法があるので、家族や資産の状況にあった方法を選ぶのが良いでしょう。
どの方法を選べば良いかわからない場合は、相続に詳しい司法書士や弁護士に相談してみるのがおすすめです。

養子縁組で相続対策する人が知っておくべき知識と節税効果を徹底解説


まとめ

相続税がかかる人の割合は毎年10%弱であり、死亡した人10~11人のうち1人に対して相続税がかかる計算です。
相続税の申告が必要であっても、税務署側から連絡をしてくれることはないので、家族や親族が亡くなったときには相続税の申告が必要かどうか自分たちで判断しなければなりません。

相続税の申告が必要かどうかの判断や相続税の計算をする際には、相続財産を漏れなく調査、評価しなければなりません。
自分たちで相続財産の評価を行うのが難しい場合は、相続に詳しい司法書士や行政書士に依頼するのが良いでしょう。

また、家族や親族にかかる相続税の負担を軽減したい場合は、早めに相続税対策をしておくのが大切です。
 相続税対策には複数の方法があるため、相続に詳しい税理士に相談しながら自分に合った方法で進めましょう。

グリーン司法書士法人では、相続対策や相続手続きに関する相談をお受けしています。
初回相談は無料ですし、相続に詳しい税理士の紹介も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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5,000万円の遺産にかかる相続税はいくら?申告時の注意点とは? https://green-osaka.com/online/inheritance-tax/inheritance-tax-on-50-million-yen https://green-osaka.com/online/inheritance-tax/inheritance-tax-on-50-million-yen#respond Thu, 21 Mar 2024 00:00:45 +0000 https://green-osaka.com/online/?p=16748 この記事を読む およそ時間: 12 一定額を超える遺産を受け取ると、相続税がかかります。 相続税には「3,000万円+法定相続人の数×600万円」の基礎控除が用意されているため、相続人の人数によって相続税額が変わってきます。 遺産総額が5,000万円だった […]]]> この記事を読む およそ時間: 12

一定額を超える遺産を受け取ると、相続税がかかります。
相続税には「3,000万円+法定相続人の数×600万円」の基礎控除が用意されているため、相続人の人数によって相続税額が変わってきます。

遺産総額が5,000万円だった場合、相続税は0~250万円です。
相続税には様々な控除や特例が用意されているため、漏れなく活用して税負担を軽くすることも意識しましょう。

本記事では、遺産総額5,000万円にかかる相続税はいくらなのか、相続時の注意点や利用できる控除、特例を解説します。
相続税については、下記の記事でも詳しく解説しているのでご参考ください。

相続税の計算方法を詳しく解説【自分で相続税を計算しよう!】

1章 5,000万円の遺産にかかる相続税はいくらくらい?

相続税には「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の基礎控除が用意されており、相続人の人数によって相続税額が大きく変わってきます。

本章では、下記のケースごとに相続税がいくらかかるのかを見ていきましょう。

  • 配偶者がすべての遺産を相続した場合
  • 配偶者と子供が相続した場合
  • 子供のみが相続した場合

それぞれ詳しく解説していきます。

1-1 配偶者がすべての遺産を相続した場合

配偶者が5,000万円の遺産をすべて相続した場合、相続税はかかりません。
相続税には基礎控除とは別に配偶者控除が用意されており、1億6,000万円もしくは法定相続分のいずれか多い金額まで相続税がかからなくなるからです。

配偶者が全て相続したときの相続税はいくら?利用できる控除や特例

1-2 配偶者と子供が相続した場合

相続人が配偶者と子の場合の遺産総額別相続税額

配偶者と子供が5,000万円の遺産を受け継いだ場合、子供の人数によって相続税額が変わります。

  • 子供の人数が1人:40万円
  • 子供の人数が2人:10万円
  • 子供の人数が3人:かからない
  • 子供の人数が4人:かからない

なお、上記の税額は配偶者と子供がそれぞれ法定相続分で相続した場合の金額です。
子供が法定相続分より多く財産を相続した場合、配偶者控除の適用額が減り相続税額が上がる可能性があります。

1-3 子供のみが相続した場合

相続人が子だけの場合の遺産総額別相続税額

故人の配偶者がすでに死亡しているなどの理由で、子供のみが相続人となった場合、配偶者控除を利用できないため、相続税額が上がります。
子供のみが相続人となり5,000万円の遺産を受け継いだときの相続税額は、下記の通りです。

  • 子供の人数が1人:160万円
  • 子供の人数が2人:80万円
  • 子供の人数が3人:20万円
  • 子供の人数が4人:かからない

最初に父親が亡くなり数年後に母親も死亡したといった場合など、子供は数年の間に2回も相続税を払わなければならないケースもあるでしょう。
子供が支払う相続税負担を少しでも軽減したいのであれば、父親もしくは母親の片方が亡くなった時点で二次相続対策をしておくことをおすすめします。

二次相続対策については、本記事の5章で詳しく解説しているのでご参考ください。

相続税の基礎控除を詳細に解説!【事例付きで簡単理解】

2章 相続税の課税対象になる財産・ならない財産

相続税の課税対象となる財産は預貯金や現金はもちろん、不動産や株式なども含まれます。
そのため、相続税の申告をする前には相続財産調査を行い、故人の資産状況を漏れなく把握することが非常に対策です。

相続税の申告漏れを防ぐためにも、あらかじめ相続税の課税対象になる財産とならない財産も知っておくと良いでしょう。
本章では、相続税の課税対象になる財産とならない財産を解説します。

2-1 相続税の課税対象になる財産

相続税の課税対象となる財産は、主に下記の通りです。

  • 現金・預貯金
  • 不動産(宅地や農地、自宅、建物、借地権、借家権など)
  • 自動車や骨董品、絵画、宝石類などの動産
  • 有価証券
  • 賃貸人、賃借人などの契約上の地位
  • 損害賠償請求権、損害賠償義務などの権利義務
  • 借金や滞納家賃、滞納税金などの負債
  • 死亡保険金
  • 死亡退職金
  • 死亡の3~7年前までに相続人へ贈与された財産
  • 弔慰金

なお、現金や預貯金は額面通りに評価して相続税を計算しますが、不動産や有価証券は相続税の計算をする前に相続税評価額を算出しなければなりません。
自分で相続税評価額を計算するのが難しければ、相続に詳しい税理士に相談するのがおすすめです。

また、下記の財産は「みなし相続財産」と呼ばれ、遺産分割の対象にはならないものの相続税の課税対象にはなるのでご注意ください。

  • 死亡保険金
  • 死亡退職金
  • 死亡の3~7年前までに相続人へ贈与された財産
  • 弔慰金

死亡保険金や死亡退職金は受取人固有の財産として扱われるものの、相続発生(故人の死亡)が原因で発生するお金のため、相続税がかかります。

このように、相続税の課税対象となる財産は非常に多岐にわたるため、財産の種類が多い場合や故人が財産目録などを遺していなかった場合は相続財産調査を司法書士や行政書士に依頼することも検討しましょう。

相続財産とは?【簡単】正しく理解するために知っておくべき基礎知識

2-2 相続税の課税対象にならない財産

相続税がかからない財産は、主に下記の通りです。

  • 故人の一身専属権や義務(養育費の請求権や支払い義務、使用貸借権、身元保証人の地位、生活保護の受給権、年金受給権など)
  • 祭祀財産
  • 香典

生活保護受給権や年金受給権はそもそも遺族が受け継ぐことはできない権利のため、相続税がかかることもありません。
また、お墓や仏壇などの祭祀財産は祖先を祀るためのものであるため、相続税の課税対象から外れます。

香典は故人に対して支払われるのではなく、喪主に対する贈与として扱われるため、相続税がかかることはありません。
なお、喪主に対しての贈与と聞くと「贈与税がかかるのではないか」と心配される人もいますが、香典が常識の範囲内の金額であれば贈与税は非課税となります。

祭祀財産とは?相続上の取り扱いと承継方法。相続税の節税対策になる?
香典は喪主のもの!余ったら相続人で分配しなければだめ?

3章 相続税計算の流れ

相続税は遺産ごとや相続人ごとに計算するのではなく、遺産総額に対して計算します。
相続税を計算する流れは、下記の通りです。

  1. 財産を評価する
  2. 遺産の総額から基礎控除額を引く
  3. 基礎控除額を引いたあとの遺産を法定相続分で分ける
  4. 法定相続分で分けた遺産から相続税の総額を計算する
  5. 相続税の総額を実際の相続割合で分けなおす
  6. 控除・加算で最終的な納付税額を求める

それぞれ具体例と共に詳しく解説していきます。

STEP① 財産を評価する

まずは、亡くなった人が遺した遺産を漏れなく洗い出し、それぞれ評価しましょう。
現金や預貯金などの遺産は額面通りの金額で相続税を計算しますが、不動産や株式などの遺産は相続税評価額を算出する必要があります。

遺産の種類が多い場合や相続財産調査に時間がかかってしまいそうな場合は、相続に詳しい司法書士や行政書士に相続財産調査を依頼するのもおすすめです。

相続財産とは?【簡単】正しく理解するために知っておくべき基礎知識

STEP② 遺産の総額から基礎控除額を引く

相続財産調査や評価の結果、遺産総額がわかったら基礎控除額を引いて「課税対象額」の計算をしましょう。
相続税には「3,000万円+法定相続人の数×600万円」の基礎控除が用意されています。

例えば、下記のケースの基礎控除および課税対象額を計算してみましょう。

【相続財産】

  • 預貯金:1,000万円
  • 不動産:4,000万円

【相続人】

  • 配偶者
  • 子供1

上記のケースでは相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×2人=4,200万円」です。
相続税の課税対象額は「5,000万円-4,200万円=800万円」となります。

STEP③ 基礎控除額を引いたあとの遺産を法定相続分で分ける

課税対象額を計算したら、遺産を法定相続分で分けたとして相続税を計算します。
法定相続分とは、法律によって決められた遺産の分割割合であり、相続人ごとに下記のように決められています。

法定相続人 法定相続分 備考
配偶者のみ 配偶者100%    
配偶者+子 配偶者 1/2 子が複数人いる場合は均等に分配
1/2
配偶者+両親などの直系尊属 配偶者 2/3 ・親が複数人いる場合は均等に分配
・故人に最も近い世代のみが相続人となる
両親などの直系卑属 1/3
配偶者+兄弟・姉妹 配偶者 3/4 兄弟・姉妹が複数人いる場合は均等に分配
兄弟・姉妹 1/4
子のみ 子100% 子が複数人いる場合は均等に分配
両親などの直系尊属のみ 両親100% 親が複数人いる場合は均等に分配
兄弟・姉妹のみ 兄弟・姉妹100% 兄弟・姉妹が複数人いる場合は均等に分配

本記事で紹介した例の場合、相続人は配偶者と子供1人なので、法定相続分は下記の通りです。

  • 配偶者:400万円(2分の1)
  • 子供:400万円(2分の1)
遺産相続の優先順位と相続割合を簡単解説【見てわかるイラスト付】

STEP④ 法定相続分で分けた遺産から相続税の総額を計算する

STEP③で計算した法定相続分で分けた遺産に対して、相続税率を掛けて相続税額を計算します。
相続税は累進課税制度を採用しており、税率は下記の通りです。

相続税の税額計算一覧

本記事で紹介した例の場合は、相続税額は下記のように計算できます。

  • 配偶者:400万円×10%=40万円
  • 子供:400万円×10%=40万円
  • 相続税額:40万円+40万円=80万円

STEP⑤ 相続税の総額を実際の相続割合で分けなおす

続いて、先ほど計算した相続税額を実際の相続割合で分配します。
例えば、配偶者が遺産をすべて相続した場合、それぞれの相続人にかかる相続税額は下記の通りです。

  • 配偶者:80万円×100%=80万円
  • 子供:80万円×0%=0万円

STEP⑥ 控除・加算で最終的な納付税額を求める

最後に、相続税の控除の適用や加算を行い、最終的な納税額を決定しましょう。
例えば、相続税には配偶者控除が用意されており、最低でも1億6,000万円まで相続税がかかりません。

本記事で紹介したケースでは、配偶者控除を適用し、最終的な税額は下記のようになります。

  • 配偶者:配偶者控除を適用し相続税額が0円になる(相続税の申告自体は必要)
  • 子供:もともと相続税が0円である

なお、本記事で紹介した具体例では出てきませんでしたが、配偶者および1親等以内の血族以外が財産を受け継ぐと相続税が2割加算になります。
そのため、兄弟姉妹が相続人になったケースや孫が遺言の内容に従い財産を受け継いだケースは、相続税が2割加算となるのでご注意ください。

兄弟姉妹の相続税は2割加算に注意!計算方法や相続時の注意点を紹介

4章 相続税節税に使える主な控除や特例

本記事の3章で解説したように、相続税には様々な控除が特例が用意されており、漏れなく活用すればその分、相続税を節税可能です。
相続税対策で使用されることが多い控除や特例は、主に下記の通りです。

  1. 小規模宅地等の特例
  2. 配偶者控除
  3. 未成年者控除
  4. 障害者控除
  5. 生命保険金の控除

それぞれ詳しく見ていきましょう。

4-1 小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例とは、相続した土地の相続税評価額を最大8割減額できる制度です。
軽減割合が大きいので、非常に相続税の節税効果が高い特例といえるでしょう。

小規模宅地等の特例の限度面積や減額割合は、土地の種類ごとに下記のように設定されています。

用途 区分 限度面積 減額割合
自宅 特定居住用宅地等 330㎡ 80%
収益物件 貸付事業用宅地等 200㎡ 50%
事業用地 特定事業用宅地等
(特定同族会社事業用宅地等)
400㎡ 80%

それぞれの用途ごとに土地や相続人の適用要件が定められているので、土地を相続した人は適用要件を満たしているか確認してみましょう。

小規模宅地等の特例とは?適用要件や土地の種類・手続きの流れまとめ

4-2 配偶者控除

相続税の配偶者控除とは、名前の通り、亡くなった人の配偶者が相続した遺産を下記の金額まで非課税にする制度です。

  • 1億6,000万円
  • 法定相続分

※いずれか多い方の金額が適用されます

上記のように、配偶者が遺産を相続した場合、最低でも1億6,000万円までは相続税がかかりません。
そのため、配偶者を亡くした場合、ほとんどの人は相続税がかからないと思っていて問題はないでしょう。

ただし、配偶者控除を適用した結果、相続税がかからなくなったとしても相続税の申告は必要なのでご注意ください。
また、相続税の配偶者控除を適用するには期限内申告が求められるので、遺産分割協議が長引いてしまうと控除を適用できない恐れがあります。

相続税の配偶者控除は節税効果が非常に大きいですが、控除を最大限利用しようと考えて配偶者に財産を多く相続させる場合は注意が必要です。
配偶者に財産を多く相続させると、配偶者が亡くなり次の相続が発生したときの税負担が重くなる恐れがあります。

配偶者に財産を多く相続させる場合は、今回の相続と配偶者が亡くなったときの相続税額のシミュレーション、配偶者が亡くなるまでに相続税対策をしておくことが大切です。
シミュレーションおよび相続税対策には専門的な知識が必要なので、二次相続対策に詳しい税理士に相談しながら進めることをおすすめします。

相続税の配偶者控除とは?適用要件や利用時の注意点まとめ

4-3 未成年者控除

未成年者控除は、相続人に未成年者が含まれるときに適用できる制度であり、相続税額から「(18歳-相続時の年齢)×10万円」を控除可能です。
相続税の未成年者控除の概要は、下記の通りです。

概要 相続人に未成年者が含まれるときに適用できる控除
適用要件
  • 相続開始日に未成年者である
  • 相続もしくは遺贈で財産を取得した
  • 法定相続人である
  • 相続開始時に日本国内に住所がある
控除額 (18歳-相続時の年齢)×10万円

なお、相続税の未成年者控除の控除枠が余った場合には、未成年者の相続人本人だけでなく扶養義務者も控除枠を使用できます。
そのため、相続人になった未成年者の年齢や遺産の金額によっては、他の相続人の税負担も軽減できるでしょう。

未成年者の扶養義務者は、両親や祖父母、兄弟姉妹などが該当します。
ただし、未成年者控除の余った控除枠を使用できるのは、扶養義務者かつ相続人にあたる人物なのでご注意ください。

相続税の未成年者控除とは?要件や計算方法・注意点をわかりやすく解説

4-4 障害者控除

相続税の障害者控除とは

相続税の障害者控除とは、相続人の中に障害者がいる場合に受けられる控除であり、適用するには下記の要件をすべて満たさなければなりません。

  • 法定相続人であること
  • 相続または遺贈で財産を承継したこと
  • 相続開始日に日本に居住していること
  • 相続開始日に障害者であること

上記のように、相続税の障害者控除を適用するには障害者が財産をほんの少しでも受け継ぐ必要があります。
判断能力のない障害者に財産を相続させないように対策していた場合、控除を利用できないのでご注意ください。

相続税の控除額は下記の金額で計算でき、相続税額より控除額の金額が上回る場合は障害者の扶養義務者の相続税額から残額を控除できます。

【一般障害者の場合】

障害者控除額=(85歳-相続開始日の障害者の年齢)×10万円

【特別障害者の場合】

障害者控除額=(85歳-相続開始日の障害者の年齢)×20万円

※(85歳-相続開始日の障害者の年齢)に端数があるときは切り上げ。

相続税の障害者控除の適用要件は?控除額の計算方法や手続方法を解説

4-5 生命保険金の控除

本記事の2章で解説したように、生命保険金や死亡退職金はみなし相続財産に含まれ、相続税の課税対象財産に含まれます。
しかし、生命保険金と死亡退職金にはそれぞれ「法定相続人の数×500万円」の非課税額が用意されており、税負担を軽減可能です。

そのため、遺産をすべて預貯金で遺すより貯蓄性の高い生命保険に加入していた方が相続税の負担を軽減できる可能性もあります。

生命保険が相続対策になる4つの理由と相続対策のポイント

5章 5,000万円の遺産を受け継いだときの注意点

父親もしくは母親の片方が亡くなり相続が発生したときは、残りの親が亡くなったときに備えて二次相続対策をしておきましょう。
他にも、生前贈与で相続税対策をしていた場合、贈与者が死亡する3~7年以内に行われた贈与は相続税の課税対象となる場合があるのでご注意ください。

遺産を受け継いだときの注意点は、主に下記の3点です。

  1. 二次相続対策をしておく
  2. 相続発生前3~7年以内に行われた生前贈与には相続税がかかる場合がある
  3. 遺産に不動産が含まれる場合は相続登記をする

それぞれ詳しく見ていきましょう。

5-1 二次相続対策をしておく

父親もしくは母親の片方が亡くなったときには、二次相続対策を行なっておくのがおすすめです。
二次相続とは、下図のように遺された配偶者も亡くなり両親(夫婦)が共に亡くなったときの相続です。

二次相続イメージ

二次相続は下記の理由により、一次相続よりも相続税の負担が重くなる可能性があります。

  • 小規模宅地等の特例を適用できない
  • 相続税の配偶者控除を適用できない
  • 法定相続人の人数が減り基礎控除額や生命保険金、死亡退職金の非課税枠が減る

二次相続発生時に子供が支払う相続税額を少しでも減らすために、下記の対策をしておくと良いでしょう。

  • 生前贈与を行う
  • 一次相続の財産取得割合を調整する
  • 同居している子供がいれば実家を相続させる
  • 納税資金を確保しておく
  • 相続財産の資産組み換えを行う
  • 賃貸用不動産を子供に相続させる
  • 生命保険金の非課税枠を活用する
  • 数次相続控除を利用する

上記のように、二次相続対策は種類が多く、相続人や資産状況によってベストな選択肢が変わってきます。
自分に合う二次相続対策を選ぶのは専門的な知識や経験が必要なので、二次相続に詳しい税理士や司法書士、弁護士に相談しながら行うのが確実です。

二次相続とは?二次相続に有効な8つの節税対策を詳しく解説します!

5-2 相続発生前3~7年以内に行われた生前贈与には相続税がかかる場合がある

相続税対策として贈与税の基礎控除の範囲で繰り返し贈与を行う暦年贈与を行っている人もいるでしょう。
しかし、贈与者が亡くなる3~7年に行われた贈与は、相続税の計算対象に含めなければならない場合があるのでご注意ください。
このように、贈与者が死亡したときに過去の贈与を相続税の課税対象とすることを「生前贈与加算」と呼びます。

贈与者が死亡する3~7年以内に行われた贈与のうち、生前贈与加算に該当するのは下記のケースです。

  • 受贈者が相続や遺贈で財産を取得した人
  • 受贈者がみなし相続財産(生命保険金など)を受け取った人

例えば、遺産を相続した子供が相続発生3~7年以内に受け取った贈与に関しては、相続税の計算対象に含めなければなりません。
他にも、生命保険金を受け取った孫や子供の配偶者なども、贈与のタイミングによっては贈与財産を相続税の計算対象に含める必要があります。

なお、生前贈与加算の対象期間は2023年の税制改正により3年から7年に延長されました。
2024年1月1日以降の相続に関しては、生前贈与加算の期間が7年になるのでご注意ください。

生前贈与をした年に贈与者が死亡したときの贈与税・相続税の取り扱い

5-3 遺産に不動産が含まれる場合は相続登記をする

相続財産の中に不動産が含まれる場合は、亡くなった人から相続人への名義変更手続きをしなければなりません。
不動産の名義変更手続きは、法務局にて登記申請を行います。

相続登記をする際には、登記申請書の作成や必要書類の収集をしなければならず大変手間がかかります。
平日日中は仕事や家事、育児で忙しく必要書類の収集が難しい人や故人と疎遠であり、所有していた不動産についての情報を集めるところから始めなければならないケースでは、相続登記を司法書士に依頼するのが良いでしょう。

相続に詳しい司法書士であれば、相続人調査や相続財産調査から相続登記まで一括で対応可能です。
相続登記の方法および必要書類は、下記の通りです。

手続きする人
  • 不動産を相続する人
  • 代理人
手続き先 不動産の所在地を管轄する法務局
費用 不動産固定資産評価額の0.4%(登録免許税)
(目安:1,000万円の場合4万円、2,000万円の場合8万円)
必要書類
  • 登記申請書(法務局HPからダウンロードできます)
  • 故人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 故人の住民票除票または戸籍附票
  • 相続人の戸籍謄本
  • 遺産分割協議書
  • 印鑑証明書
  • 遺言書

など

【完全版】相続登記が自分でできる!司法書士直伝の簡単申請マニュアル
2024年から相続登記が義務化されます

これまで相続登記は義務化されておらず、相続人の意思によって行うとされていました。
しかし、2024年4月からは相続登記が義務化され、相続発生から3年以内に相続登記をしない場合には10万円以下の過料が科される恐れがあります。

なお、相続登記の義務化は過去に発生した相続においても適用されます。
そのため、まだ相続登記がおすみでない土地をお持ちの人は早めに手続きをすませましょう。

相続登記は自分でも行えますが、司法書士に依頼すれば数万円程度で代行可能です。
グリーン司法書士法人でも相続登記に関する相談をお受けしていますので、お気軽にお問い合わせください。

相続登記の義務化は2024年4月!法改正で変更される4つのポイント

まとめ

相続税には基礎控除が用意されているため、相続人の人数によって相続税額が大きく変わってきます。
なお、故人の配偶者は配偶者控除を適用できるため、5,000万円の遺産をすべて相続しても、相続税がかかることはないのでご安心ください。

ただし、相続税の配偶者控除を適用するには相続税額が0円であっても期限内申告が必要ですし、相続税の申告をするためには遺産分割協議を完了させる必要があります。
相続税の申告期限は相続開始から10ヶ月以内であり、それまでに相続人調査や相続財産調査、遺産分割協議を行わなければなりません。

また、相続税申告を終えた後も、各財産の名義変更手続きや不動産の登記申請が必要です。

相続人同士が遠方に住んでいて手続きを進めるのが難しい場合や何から始めて良いかわからない場合は、相続に詳しい司法書士や行政書士に手続きを任せてしまうのも良いでしょう。

グリーン司法書士法人では、相続手続きに関する相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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1億円の遺産にかかる相続税はいくら?節税に使える控除・特例とは? https://green-osaka.com/online/inheritance-tax/inheritance-tax-on-a-100-million https://green-osaka.com/online/inheritance-tax/inheritance-tax-on-a-100-million#respond Tue, 19 Mar 2024 00:00:38 +0000 https://green-osaka.com/online/?p=16031 この記事を読む およそ時間: 9 亡くなった人の遺産が一定額を超えると相続税がかかります。 相続税は遺産の金額だけでなく相続人の人数によっても変わるため、遺産に対して相続税がいくらになるかは一概には言えません。 遺産総額が1億円だった場合、相続税は0〜3 […]]]> この記事を読む およそ時間: 9

亡くなった人の遺産が一定額を超えると相続税がかかります。
相続税は遺産の金額だけでなく相続人の人数によっても変わるため、遺産に対して相続税がいくらになるかは一概には言えません。

遺産総額が1億円だった場合、相続税は0〜300万円です。

これだけ幅があるのは、相続税には様々な控除や特例が用意されているからです。
これらの控除や特例を漏れなく活用すれば相続税を大幅に節税できる可能性があるので、本記事で遺産1億円にかかる相続税はいくらか、節税に使える控除や特例を紹介します。

1章 1億円の遺産にかかる相続税はいくらくらい?

相続税には「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の基礎控除が用意されています。
したがって、相続税の金額は相続人の人数によって大きく変わってきます。

本記事では、下記のケースごとに相続税がいくらかかるのかを見ていきましょう。

  • 配偶者がすべての遺産を相続した場合
  • 配偶者と子供が相続した場合
  • 子供のみが相続した場合

それぞれ詳しく解説していきます。

1-1 配偶者がすべての遺産を相続した場合

配偶者が1億円の遺産をすべて相続した場合、相続税はかかりません。
相続税には配偶者控除が用意されており、1億6,000万円もしくは法定相続分のいずれか多い金額まで相続税がかからなくなるからです。

配偶者が全て相続したときの相続税はいくら?利用できる控除や特例

1-2 配偶者と子供が相続した場合

相続人が配偶者と子の場合の遺産総額別相続税額

配偶者と子供が1億の遺産を受け継いだ場合は、子供の人数によって下記のように相続税額が変わります。

  • 子供の人数が1人:385万円
  • 子供の人数が2人:315万円
  • 子供の人数が3人:262万円
  • 子供の人数が4人:225万円

なお、上記の税額は配偶者と子供がそれぞれ法定相続分で相続した場合の金額です。
そのため、子供が法定相続分より財産を多く相続した場合は、上記の金額より税額が上がる可能性があります。

1-3 子供のみが相続した場合

相続人が子だけの場合の遺産総額別相続税額

故人の配偶者がすでに亡くなっており、子供のみが相続人になった場合、相続税の配偶者控除を適用できないため税負担が上がってしまいます。
子供のみで1億円の遺産を受け継いだときの相続税額は、それぞれ下記の通りです。

  • 子供の人数が1人:1,220万円
  • 子供の人数が2人:770万円
  • 子供の人数が3人:630万円
  • 子供の人数が4人:490万円

子供のみが相続人になったときの税負担を少しでも軽減するには、親から子へ生前贈与をして遺産を減らしておくなどの対策が必要です。
詳しくは本記事の4章で詳しく解説します。

相続税の基礎控除を詳細に解説!【事例付きで簡単理解】

2章 相続税計算の流れ

相続税は預貯金や不動産など個別の財産ごとにかかるのではなく、遺産総額に対してかかります。
また遺産の中に不動産や株式が含まれる場合は、相続税評価額を計算した上で遺産総額を計算しなければなりません。

相続税を計算する流れは、下記の通りです。

  1. 相続財産を評価する
  2. 遺産総額から基礎控除額を引く
  3. 基礎控除額を引いたあとの遺産を法定相続分で分ける
  4. 法定相続分で分けた遺産から相続税の総額を計算する
  5. 計算した相続税額を実際の相続割合で分けなおす
  6. 控除・加算で最終的な納付税額を求める

具体例をもとに、相続税を計算してみましょう。

相続財産
  • 預貯金4,000万円
  • 不動産6,000万円
相続人
  • 配偶者
  • 子供2人
遺産分割
  • 配偶者が不動産を6,000万円相続した
  • 子供がそれぞれ預貯金を2,000万円ずつ相続した

上記のケースでは、下記の流れで相続税を計算可能です。

①相続税の基礎控除を計算する

3,000円万円+600万円×3人=4,800万円

②相続税の課税対象額を計算する

1億円−4,800万円=5,200万円

③法定相続分で遺産分割した場合の相続税を計算する

配偶者:2,600万円×15%-50万円=340万円

子供:1,300万円×15%-50万円=145万円

相続税の合計額:340万円+145万円+145万円=630万円

④それぞれの相続割合に応じて相続税額を分配する

配偶者:630万円×0.6=378万円

子供:630万円×0.2=126万円

⑤控除・加算を行い相続税額を決定する

配偶者:配偶者控除が適用されるので税額が0円になる

子供:適用できる控除がないため、それぞれ126万円ずつ納税する

相続税の計算方法を詳しく解説【自分で相続税を計算しよう!】

3章 相続税節税に使える主な控除や特例

相続税には税負担を軽減するための控除や特例が用意されています。
主な控除や特例は、下記の通りです。

  1. 小規模宅地等の特例
  2. 配偶者控除
  3. 未成年者控除
  4. 障害者控除
  5. 生命保険金の控除

それぞれ詳しく解説していきます。

3-1 小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例とは、亡くなった人から受け継いだ土地の相続税評価額を最大8割減額できる制度です。
小規模宅地等の特例の限度面積や減額割合は、土地の種類ごとに下記のように設定されています。

用途 区分 限度面積 減額割合
自宅 特定居住用宅地等 330㎡ 80%
収益物件 貸付事業用宅地等 220㎡ 50%
事業用地 特定事業用宅地等
(特定同族会社事業用宅地等)
400㎡ 80%

小規模宅地等の特例では、土地の種類ごとに要件が設定されています。
亡くなった人の土地を相続した場合は、小規模宅地等の特例を適用できるか確認してみるのが良いでしょう。

小規模宅地等の特例とは?適用要件や土地の種類・手続きの流れまとめ

3-2 配偶者控除

相続税の配偶者控除とは、配偶者が相続した遺産を下記の金額まで非課税にする制度です。

  • 1億6,000万円
  • 法定相続分

※いずれか多い方の金額が適用されます

上記のように、配偶者が遺産を相続した場合、最低でも1億6,000万円までは相続税がかかりません。
ただし配偶者控除を適用した結果、相続税がかからなくなったとしても相続税の申告は必要です。

また配偶者控除があるからといって、相続発生時に配偶者に財産を多く相続させるのは気をつけた方が良いでしょう。
配偶者に財産を多く相続させると、配偶者が亡くなり次の相続が発生したときの税負担が重くなる可能性があるからです。

このように、父親もしくは母親が亡くなり、その後に遺された配偶者も亡くなることを二次相続と呼びます。
二次相続対策は相続人や資産状況によって変わってくるので、専門家に相談しながら行いましょう。

相続税の配偶者控除とは?適用要件や利用時の注意点まとめ

3-3 未成年者控除

未成年者控除は、相続人に未成年者が含まれるときに適用でき、「(18歳-相続時の年齢)×10万円」を控除できます。
相続税の未成年者控除の概要は、下記の通りです。

概要 相続人に未成年者が含まれるときに適用できる控除
適用要件
  • 相続開始日に未成年者である
  • 相続もしくは遺贈で財産を取得した
  • 法定相続人である
  • 相続開始時に日本国内に住所がある
控除額 (18歳-相続時の年齢)×10万円

なお、相続税の未成年者控除の控除枠が余った場合には、未成年者の相続人本人だけでなく扶養義務者も控除枠を使用できます。

未成年者の扶養義務者は、両親や祖父母、兄弟姉妹などが該当します。
ただし、未成年者控除の余った控除枠を使用できるのは、扶養義務者かつ相続人にあたる人物なのでご注意ください。

相続税の未成年者控除とは?要件や計算方法・注意点をわかりやすく解説

3-4 障害者控除

相続税の障害者控除とは

相続税の障害者控除とは、相続人の中に障害者がいる場合に受けられる控除です。
相続税の障害者控除を適用するには、下記の要件を満たさなければなりません。

  • 法定相続人であること
  • 相続または遺贈で財産を承継したこと
  • 相続開始日に日本に居住していること
  • 相続開始日に障害者であること

相続税の控除額は下記の金額で計算でき、相続税額より控除額の金額が上回る場合は障害者の扶養義務者の相続税額から残額を控除できます。

一般障害者の場合

障害者控除額=(85歳-相続開始日の障害者の年齢)×10万円

特別障害者の場合

障害者控除額=(85歳-相続開始日の障害者の年齢)×20万円

※(85歳-相続開始日の障害者の年齢)に端数があるときは切り上げ。

相続税の障害者控除の適用要件は?控除額の計算方法や手続方法を解説

3-5 生命保険金の控除

生命保険金は厳密にいえば故人の遺産ではありませんが、相続税の課税対象財産に含まれます。
しかし、生命保険金や死亡退職金には「法定相続人の数×500万円」の基礎控除が用意されています。

そのため、故人が同額の遺産を遺すのであれば預貯金ですべて遺すのではなく、一部を生命保険に加入して遺すことを検討すると良いでしょう。

生命保険が相続対策になる4つの理由と相続対策のポイント

4章 1億円の遺産を受け継いだときの注意点

亡くなった人が1億円の遺産を遺した場合は、二次相続対策や相続人の認知症対策を行なっておくことが大切です。
具体的には、下記の3点に注意しましょう。

  1. 二次相続対策をしておく
  2. 認知症対策をしておく
  3. 遺産に不動産が含まれる場合は相続登記をする

それぞれ詳しく解説していきます。

4-1 二次相続対策をしておく

父親もしくは母親の片方が亡くなったときには、二次相続対策を行なっておきましょう。
二次相続とは、遺された配偶者も亡くなり両親(夫婦)が共に亡くなったときの相続です。

二次相続では配偶者控除を適用できない、小規模宅地等の適用要件が厳しくなるなどの理由で相続税の税負担が重くなります。
二次相続の際の相続税負担を軽減するために、下記の二次相続対策を行うのが良いでしょう。

  • 生前贈与を行う
  • 一次相続の財産取得割合を調整する
  • 同居している子供がいれば実家を相続させる
  • 納税資金を確保しておく
  • 相続財産の資産組み換えを行う
  • 賃貸用不動産を子供に相続させる
  • 生命保険金の非課税枠を活用する
  • 数次相続控除を利用する

上記のように、二次相続対策は複数ありますし、相続人や資産状況によって取るべき選択肢が変わります。
そのため、自分に合う二次相続を知り確実に実行したいのであれば、二次相続に詳しい司法書士や弁護士に相談するのが良いでしょう。

二次相続とは?二次相続に有効な8つの節税対策を詳しく解説します!

4-2 認知症対策をしておく

父親もしくは母親のどちらかが亡くなった一次相続の場合、遺された配偶者の認知症対策をしておくことも大切です。
故人の年齢にもよりますが、一次相続発生時には遺された配偶者もある程度高齢であり、認知症リスクがあると予想できるからです。

認知症になって判断能力を失ってしまうと、下記の財産管理ができなくなってしまいます。

  • 銀行口座が凍結されてしまう
  • 自宅の売却や不動産の活用ができなくなる
  • 相続対策ができなくなる
  • 詐欺に巻き込まれるリスクがある

認知症により財産凍結を防ぐために、下記のいずれかの方法で認知症対策をしておきましょう。

  1. 家族信託を活用する
  2. 遺言書を作成してもらう
  3. 生前贈与を活用する
  4. 任意後見制度を活用する
認知症となった親の財産管理方法【まとめ】症状の進み具合別に解説!

4-3 遺産に不動産が含まれる場合は相続登記をする

亡くなった人の遺産に不動産が含まれる場合は、相続税の申告だけでなく、不動産の名義変更手続きもしなければなりません。
不動産の名義変更手続きは、法務局にて相続登記の申請を行います。

相続登記の手続きの概要および必要書類は、下記の通りです。

手続きする人
  • 不動産を相続する人
  • 代理人
提出先 不動産の所在地を管轄する法務局
費用 不動産固定資産評価額の0.4%(登録免許税)
(目安:1000万円の場合4万円、2000万円の場合8万円)
必要書類
  • 登記申請書(法務局HPからダウンロードできます)
  • 故人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 故人の住民票除票または戸籍附票
  • 相続人の戸籍謄本
  • 遺産分割協議書
  • 印鑑証明書
  • 遺言書

など

2024年から相続登記が義務化されます

これまで相続登記は義務化されておらず、相続人の意思によって行うとされていました。
しかし、2024年4月からは相続登記が義務化され、相続発生から3年以内に相続登記をしない場合には10万円以下の過料が科される恐れがあります。
なお、相続登記の義務化は過去に発生した相続においても適用されます。
そのため、まだ相続登記がおすみでない土地をお持ちの人は早めに手続きをすませましょう。
相続登記は自分でも行えますが、司法書士に依頼すれば数万円程度で代行可能です。
グリーン司法書士法人でも相続登記に関する相談をお受けしていますので、お気軽にお問い合わせください。

相続登記の義務化は2024年4月!法改正で変更される4つのポイント

まとめ

相続税には基礎控除が用意されており、相続人の人数によって納める相続税額が変わってきます。
また、配偶者が遺産を受け継ぐ場合、配偶者控除が適用され最低でも1億6,000万円までは相続税がかかりません。

そのため、相続人に配偶者が含まれるかどうか、配偶者が遺産をいくら受け継ぐかによっても相続税の金額が変わります。
相続税の計算は複雑なので、自分で計算するのが難しい場合は相続に詳しい税理士に依頼するのが良いでしょう。

また、遺産の中に不動産が含まれる場合は名義変更手続きが必要です。
相続した不動産の名義変更手続きは、法務局にて相続登記の申請を行います。

グリーン司法書士法人では、相続登記に関する相談をお受けしています。
初回相談は無料ですし、相続に強い税理士の紹介も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください

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実勢価格の調べ方とは?他の評価額との関係や調べるときの注意点 https://green-osaka.com/online/inheritance-knowledge/find-out-the-prevailing-price https://green-osaka.com/online/inheritance-knowledge/find-out-the-prevailing-price#respond Sun, 17 Mar 2024 00:00:16 +0000 https://green-osaka.com/online/?p=16002 この記事を読む およそ時間: 6 実勢価格とは、実際に土地の売買が行われたときの市場価格であり、土地の売買が行われると価格などの情報が国土交通省に登録されます。 そのため、国土交通省の土地総合情報システムにて実勢価格を調べれば、自分の土地がいくらで売却で […]]]> この記事を読む およそ時間: 6

実勢価格とは、実際に土地の売買が行われたときの市場価格であり、土地の売買が行われると価格などの情報が国土交通省に登録されます。

そのため、国土交通省の土地総合情報システムにて実勢価格を調べれば、自分の土地がいくらで売却できそうかを判断しやすくなります。
他にも、公示価格や相続税評価額、固定資産税評価額から実勢価格を算出することも可能です。

しかし、実勢価格はあくまでもそのときの取引価格であり、自分の土地と条件が似通っていても実際に売却できる保証はない点にご注意ください。

本記事では、実勢価格の調べ方や他の評価額との関係を解説します。
相続した土地を売却する流れは、下記の記事でも解説しているのでご参考ください。

相続した不動産を売却するときに確認しておく3のこととかかる税金

1章 実勢価格の調べ方

実勢価格を調べるには、土地総合情報システムの取引価格情報を確認する、他の土地の評価額をもとに計算するなどの方法があります。
具体的には、下記の7つの方法で実勢価格を調査可能です。

  1. 土地総合情報システムの取引価格情報をもとに調べる
  2. 公示価格をもとに計算する
  3. 路線価をもとに計算する
  4. 相続税評価額をもとに計算する
  5. 基準地価をもとに計算する
  6. 固定資産税評価額をもとに計算する
  7. 不動産会社に査定依頼をする

それぞれ詳しくみていきましょう。

1-1 土地総合情報システムの取引価格情報をもとに調べる

実勢価格を調べる際には、国土交通省の 「土地総合情報システム」を活用するのがおすすめです。
土地総合情報システムで実勢価格を調べる方法は、下記の通りです。

  1. 土地総合情報システムのトップページにアクセスし「不動産取引価格情報検索」をクリックする
  2. 日本地図が表示されるので実勢価格を調べたい都道府県を選択する
  3. 取引時期や市区町村など細かな条件を設定し検索する
  4. 実勢価格や土地の広さなどの情報が掲載されるため、調べたい土地と似ている条件のものを探す

土地総合情報システムでは、実勢価格だけでなく下記の情報も記載されています。

  • 土地の広さ
  • 形状
  • 前面道路

市区町村だけでなく上記の情報をもとに調べたい土地に似ているデータを探せば、実際の取引価格に近い評価額を確認可能です。

1-2 公示価格をもとに計算する

公示価格からも、実勢価格を計算可能です。
公示価格とは、土地売買の指標となる価格であり、毎年1月1日現在の価格を国土交通省が発表しています。
実勢価格は、公示価格の1.1〜1.2倍程度となる場合が多いです。

公示価格は下記の流れで調べられます。

  1. 土地総合情報システムにアクセスする
  2. 「標準地や基準地の価格をご覧になりたい方へ」をクリックし「地価公示、都道府県地価調査」を開く
  3. 表示された日本地図の中から調べたい土地の所在地を選択する
  4. 調査年や土地の用途区分などを指定する

なお、公示価格は全国2万3,000ヶ所の標準地のみの価格が決定されるため、調べたい土地によっては公示価格が設定されていない可能性もあります。

1-3 路線価をもとに計算する

実勢価格を調べる方法のひとつは、路線価をもとに計算する方法です。
路線価とは土地の評価額のひとつであり、相続税や贈与税の計算に使用されます。

路線価は1㎡あたりの土地の価格をあらわしており、調べる方法は下記の通りです。

  1. 国税庁ホームページ「路線価図・評価倍率表」にアクセスする
  2. 地図やリストから路線価を調べたい都道府県を選択する
  3. 路線価図を選択する
  4. 表示された市区町村リストから路線価を調べたい市区町村を選択する
  5. 路線価図を確認し調べたい場所の路線価を確認する

地域によっても差がありますが、一般的には「路線価÷0.8×1.1(1.2)」の計算式で路線価から実勢価格を計算できます。

1-4 相続税評価額をもとに計算する

公示価格は全国2万3,000ヶ所の標準地のみで設定されているため、調べたい土地の場所によっては公示価格を確認できない可能性があります。
公示価格が設定されていないエリアの実勢価格を調べるときには、相続税評価額をもとに実勢価格を計算しましょう。

相続税評価額とは相続税や贈与税の計算に用いられる土地の評価額であり、路線価方式もしくは倍率方式で計算可能です。
路線価方式は本記事の1-3で解説した方法で確認でき、倍率方式による相続税評価額は下記の方法で調査できます。

  1. 国税庁ホームページ「路線価図・評価倍率表」にアクセスする
  2. 市区町村を選択する画面で「この市区町村の評価倍率表を見る」を選択する
  3. 調べたい土地の倍率を確認する
  4. 調べたい土地の固定資産税評価額に所定の倍率を掛けて相続税評価額を計算する

相続税評価額は公示価格の8割程度のため「相続税評価額÷0.8×1.1(1.2)」で、相続税評価額から実勢価格を計算可能です。

1-5 基準地価をもとに計算する

基準地価とは、都道府県が年に1回発表する土地の価格です。
基準地価の1.1倍から1.2倍が実勢価格になると言われているため、基準地価をもとに実勢価格を計算できます。

基準地価は各都道府県のホームページもしくは、国土交通省地価公示・都道府県地価調査にて確認できます。
国土交通省地価公示・都道府県地価調査を利用した調査方法は、下記の通りです。

  1. 国土交通省地価公示・都道府県地価調査にアクセスする
  2. 日本地図が表示されるので、基準地価を調べたい都道府県、市区町村を選ぶ
  3. 検索対象や調査年、用途区分、地価などを指定する

1-6 固定資産税評価額をもとに計算する

固定資産税評価額をもとにして、実勢価格を計算することも可能です。
固定資産税評価額とは固定資産税や都市計画税の基準となる評価額であり、各自治体が設定しています。

固定資産税評価額は公示価格の約7割と言われており、実勢価格は「固定資産税評価額÷0.7×1.1(1.2)」で計算可能です。

固定資産税評価額は土地の所有者宛に毎年自治体から届く「固定資産税課税明細書」に記載されています。
したがって、手元に固定資産税課税明細書がある場合は手軽に実勢価格を計算できます。

1-7 不動産会社に査定依頼をする

実勢価格は自分で調べる、計算するだけでなく不動産会社に査定依頼をして算出してもらうことも可能です。
土地の売買は需要と供給によって成り立つため、過去の取引価格の調査や他の評価額から実勢価格を計算しても実際の取引価格とズレが発生する可能性があります。

一方で、不動産会社による査定であれば実際に売却したい土地の特徴を踏まえた実勢価格を算出可能です。
なお、不動産会社の査定結果は各社で金額が変わってくるため、複数社に査定をしてもらうことをおすすめします。

2章 実勢価格と他の評価額の違い・関係

実勢価格以外にも土地の評価額は複数あり、それぞれ下記のような関係で表せます。

固定資産税路線価と相続税路線価の関係式

上記のように、実勢価格は公示価格の1.1〜1.2倍となることが多く、相続税評価額や固定資産税評価額と公示価格の関係性は下記の通りです。

  • 相続税評価額:公示価格の約8割
  • 固定資産税評価額:公示価格の約7割

ただし、上記はあくまでも概算であり地域によっては公示価格と相続税評価額、固定資産税評価額の差が少ない地域もあります。

土地評価額は6種類ある!評価額の調べ方と計算方法まとめ

2-1 実勢価格と公示価格に差が生まれる理由

先ほど解説したように、実勢価格は公示価格の1.1〜1.2倍となる地域が多いです。
とはいえ、過去の土地取引価格である実勢価格と土地売買の指標となる公示価格に差が生じるのはおかしいと感じる人もいるかもしれません。

実勢価格と公示価格に差が生まれる理由は、主に下記の通りです。

  • 公示価格はその年の1月1日時点の価格であり、最新の市場動向は反映されていない可能性がある
  • 公示価格は急変動しないように決定されている
  • 実勢価格は売主や買主の事情も反映されている

公示価格は相続税路線価や固定資産税路線価を決める基準にもなっているため、大きく変動しないように調整されています。
したがって地域によっては、実勢価格との差が生まれてしまいます。

また、過去の取引価格である実際価格は、売主と貸主の事情や力関係も反映されています。
例えば、買主が転勤や子供の入学などのタイミングで土地を急いで手に入れたかった場合、多少相場より高い価格の土地でも購入する可能性もあるでしょう。

このような個々の事情も実勢価格に反映されているため、実勢価格と公示価格には差が生まれる場合があります。

3章 実勢価格を調べるときの注意点

実勢価格は実際に行われた土地の取引価格ではあるものの、自分が売却したい土地が実勢価格に近い価格で売却できるとは限りません。
実勢価格を調べるときには、下記の点に注意しましょう。

  1. 実勢価格と同額で売れるとは限らない
  2. 土地の売り出し価格は自由に設定できる
  3. 相続した土地を売却するときには相続登記が必要である

それぞれ詳しく解説していきます。

3-1 実勢価格と同額で売れるとは限らない

実勢価格は過去の取引価格であり、似た条件の土地が実勢価格と同じ金額で売れる保証はありません。
土地の売却金額は土地の広さや形状、周辺環境などによっても変動します。

加えて、土地取引は需要と供給によって成り立つため、売主と買主の事情によっても売却代金は変わる可能性は十分に考えられます。

3-2 土地の売り出し価格は自由に設定できる

土地の売買は需要と供給によって成立するため、実勢価格と乖離した金額で売りに出しても全く問題はありません。
例えば、相続した土地を売却して納税資金を確保したい場合は、相場より安い金額で売りに出して売買を急ぐのも選択肢のひとつです。
一方で、今後の資金計画を考え相場よりも高い金額で土地を売り出すことも可能です。

ただし当然のことですが、相場より高い金額で売り出し価格を設定すると、いつまでも土地が売却できず管理コストだけがかかってしまう恐れもあります。

3-3 相続した土地を売却するときには相続登記が必要

相続した土地を売却する際には、事前に亡くなった人から相続人へ名義変更手続きをすませておく必要があります。
相続した土地の名義変更手続きは、相続した土地を管轄する法務局にて登記申請を行います。

相続登記の手続き方法および必要書類は、下記の通りです。

手続きする人
  • 不動産を相続する人
  • 代理人
手続き先 不動産の所在地を管轄する法務局
費用     不動産固定資産評価額の0.4%(登録免許税)
(目安:1,000万円の場合4万円、2,000万円の場合8万円)
必要書類
  • 登記申請書(法務局HPからダウンロードできます)
  • 故人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 故人の住民票除票または戸籍附票
  • 相続人の戸籍謄本
  • 遺産分割協議書
  • 印鑑証明書
  • 遺言書

など

2024年から相続登記が義務化されます

これまで相続登記は義務化されておらず、相続人の意思によって行うとされていました。
しかし、2024年4月からは相続登記が義務化され、相続発生から3年以内に相続登記をしない場合には10万円以下の過料が科される恐れがあります。

なお、相続登記の義務化は過去に発生した相続においても適用されます。
そのため、まだ相続登記がおすみでない土地をお持ちの人は早めに手続きをすませましょう。

相続登記は自分でも行えますが、司法書士に依頼すれば数万円程度で代行可能です。
グリーン司法書士法人でも相続登記に関する相談をお受けしていますので、お気軽にお問い合わせください。

相続登記の義務化は2024年4月!法改正で変更される4つのポイント

まとめ

実勢価格を調べるには、国土交通省の土地総合情報システムの活用や他の評価額から実勢価格を計算するのがおすすめです。
不動産の売却や活用を予定しているのであれば、不動産会社に査定依頼を出すのも良いでしょう。

ただし、亡くなった人の土地を売却、活用する場合は事前に相続登記をすませておく必要があります。
相続登記は自分でも行えますが、司法書士であれば数万円程度で依頼可能です。

グリーン司法書士法人では、相続登記に関する相談をお受けしています。
グループ会社に不動産会社があるため相続した土地の名義変更から売却、活用まで一括でサポート可能です。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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不動産取得税を払わなくてよい6つのケース|軽減措置も紹介 https://green-osaka.com/online/inheritance-knowledge/case-of-no-need-to-pay-real-estate-acquisition-tax https://green-osaka.com/online/inheritance-knowledge/case-of-no-need-to-pay-real-estate-acquisition-tax#respond Fri, 15 Mar 2024 00:00:27 +0000 https://green-osaka.com/online/?p=15999 この記事を読む およそ時間: 6 不動産を取得した際には、不動産取得税がかかります。 ただし、相続により不動産を取得したケースや私道など多くの人が利用する道路を取得したケースでは、不動産取得税がかかりません。 不動産取得税は自治体が計算してくれるので税金 […]]]> この記事を読む およそ時間: 6

不動産を取得した際には、不動産取得税がかかります。
ただし、相続により不動産を取得したケースや私道など多くの人が利用する道路を取得したケースでは、不動産取得税がかかりません。

不動産取得税は自治体が計算してくれるので税金の申告は必要ありませんが、取得から約3~6ヶ月後に納税通知書がくるので納税資金を用意しておきましょう。

本記事では、不動産取得税を払わなくてよいケースや軽減措置について解説します。
不動産を相続したときの流れは、下記の記事でも詳しく解説しているのでご参考ください。

親の土地を相続する全手順を徹底解説!損しない為の5つのポイント!

1章 不動産取得税とは

不動産取得税とは、土地や建物などの不動産を取得した際にかかる税金です。
不動産取得税の概要や税率は、下記の通りです。

名称 不動産取得税
概要 土地や建物を取得したときにかかる税金
税額 固定資産税評価額×4%
(1,000万円なら40万円)
(軽減税率が適用されると3%になる)
納税期限 自治体や税事務所から届く納税通知書に記載されている
(不動産の名義変更後から3ヶ月から半年が目安)

2章 不動産取得税を払わなくてよい6つのケース

不動産取得税はすべてのケースでかかるわけではなく、相続によって不動産を取得した場合などはかかりません。
不動産取得税を払わなくてよいケースは、下記の6つです。

  1. 相続によって不動産を取得したケース
  2. 公共の用に供する道路を取得したケース
  3. 土地区画整理事業などで換地を取得したケース
  4. 法人の合併もしくは法人の分割により不動産を取得したケース
  5. 宗教法人や学校法人が事業用の不動産を取得したケース
  6. 軽減措置の利用などにより不動産取得税が0円になるケース

それぞれ詳しく解説していきます。

2-1 相続によって不動産を取得したケース

相続により亡くなった人から相続人が不動産を受け継いだ場合は、不動産取得税がかかりません。
ただし、遺言書などで相続人以外の人物が故人から不動産を受け継いだ場合は、不動産取得税がかかるのでご注意ください。

相続したら不動産取得税はかかる?取得税以外にかかる税金も紹介

2-2 公共の用に供する道路を取得したケース

不特定多数の人が利用する私道などは公衆用道路と呼ばれ、取得時に不動産取得税がかかりません。
なお、公衆用道路は不動産取得税がかからないだけでなく、固定資産税もかかりません。

固定資産税がかからない土地を相続する流れとは?注意点も解説

2-3 土地区画整理事業などで換地を取得したケース

区画整理によって別の土地を取得することを換地と呼びますが、換地により土地を取得した場合も不動産取得税はかかりません。

2-4 法人の合併もしくは法人の分割により不動産を取得したケース

会社合併や分割により不動産を取得した場合は、不動産取得税がかからないケースが多いです。
会社合併や分割による取得は、実質的に不動産の名義変更に近いとされるからです。

ただし、不動産取得税がかからないようにするには要件を満たす必要があります。

2-5 宗教法人や学校法人が事業用の不動産を取得したケース

宗教法人や学校法人が事業に利用する不動産を取得した場合、不動産取得税はかかりません。
宗教法人や学校法人以外にも、社会福祉法人が事業用に取得した不動産にも、不動産取得税はかかりません。

2-6 軽減措置の利用などにより不動産取得税が0円になるケース

住宅を購入、取得した場合、不動産取得税の軽減措置を受けられます。
軽減措置により不動産取得税の税額が0円になる場合も、不動産取得税を払う必要はありません。
不動産取得税の軽減措置については、本記事の2章で詳しく解説していきます。

他には、不動産取得税には免税点があり、取得した不動産の固定資産税評価額が免税点以下の場合も不動産取得税がかかりません。
不動産の種類ごとの免税点は、下記の通りです。

不動産の種類 免税点
土地 10万円
建物(新築・増築・改築) 23万円
建物(上記以外) 12万円

3章 不動産取得税の主な軽減措置

本記事の1章で解説したように、不動産取得税には軽減措置が用意されています。
軽減措置が適用されれば、不動産取得税の負担を軽減可能です。
軽減措置には、主に下記の種類があります。

  1. 中古住宅の課税標準の軽減
  2. 宅地の課税標準の特例
  3. 宅地の税額控除

それぞれ詳しく見ていきましょう。

3-1 中古住宅の課税標準の軽減

中古住宅を購入した場合、条件を満たすと軽減措置が適用されます。
中古住宅の課税標準の軽減を適用するための条件は、下記の通りです。

  • 住宅の床面積が50㎡以上240㎡以下
  • 1982年1月1日以後の新築であることもしくは耐震基準を満たしていると証明されたもの
  • 個人が自己の居住用に取得した

上記の条件を満たす場合、取得した住宅の新築日によって下記の控除額が適用されます。

新築された日 控除額
平成9年(1997年)4月1日以降 1,200万円
平成元年(1989年)4月1日から平成9年(1997年)3月31日 1,000万円
昭和60年(1985年)7月1日から平成元年(1989年)3月31日 450万円
昭和56年(1981年)7月1日から昭和60年(1985年)6月30日 420万円
昭和51年(1976年)1月1日から昭和56年(1981年)6月30日 350万円
昭和48年(1973年)1月1日から昭和50年(1975年)12月31日 230万円
昭和39年(1964年)1月1日から昭和47年(1972年)12月31日 150万円
昭和29年(1954年)7月1日から昭和38年(1963年)12月31日 100万円

軽減措置適用の結果、課税標準額が免税点以下になれば不動産取得税はかかりません。

3-2 宅地の課税標準の特例

宅地の課税標準の特例とは、住宅用の土地の課税標準額が「固定資産税評価額×2分の1」に軽減される制度です。
宅地の課税標準の特例を用いた結果、課税標準額が免税点以下になれば、不動産取得税はかかりません。

3-3 宅地の税額控除

宅地の税額控除とは、本来の不動産取得税から下記のいずれか多い金額を税額控除できる制度です。

  •  45,000円
  •  (土地1㎡当たりの固定資産税評価額×2分の1) × (住宅の床面積×2(200㎡まで))×3%

後者に関しては計算が複雑なので具体例とともに見ていきましょう。

【条件】

  • 床面積80㎡・固定資産税評価額800万円の中古マンション(1990年築)を購入
  • 共有持分となる土地は60㎡(固定資産税評価額は1,200万円)

3-3-1 建物部分・土地部分の不動産取得税を計算する

建物部分の不動産取得税は800万円×4%=32万円です。
この金額に中古住宅の課税標準の軽減を適用してみると、「(800万円-1,000万円)×3%=-6万円」となり、不動産取得税がかからないことになります。

続いて、土地部分の不動産取得税を計算してみましょう。
軽減措置適用前の土地の不動産取得税は「1,200万円×4%=48万円」です。
この金額に宅地の課税標準の特例と宅地の税額控除を適用してみましょう。

3-3-2 宅地の税額控除を適用する

はじめに宅地の税額控除を計算します。
税額控除は「45,000円」か「(20×2分の1)×(80㎡×2)×3%=48万円」となり、多い方の48万円が適用されます。

3-3-3 宅地の課税標準の特例を適用する

先ほどの結果に宅地の課税標準の特例を適用すると「1,200万円×2分の1×3%-48万円=-30万円」となり土地に関しても不動産取得税はかかりません。

なお不動産取得税の軽減措置の計算は非常に複雑ですが、実際には自治体が計算し納税通知書を送付してくれるので自分で正確に計算する必要はありません。
軽減措置が適用されることと取得した土地や建物の不動産取得税が大体いくらくらいになりそうかを把握しておくだけで十分でしょう。

4章 不動産を取得したときの注意点

購入、贈与などにより不動産を取得した場合は、名義変更から約3ヶ月から半年後に不動産取得税の納税通知書が届きます。
また相続によって不動産を取得した場合、不動産取得税はかからないものの名義変更手続きをしなければなりません。

不動産を取得したときの注意点を詳しく解説していきます。

4-1 不動産取得税は名義変更して約3~6ヶ月後にくる

贈与や購入により不動産を取得すると、名義変更から約3~6ヶ月後に不動産取得税の納税通知書が届きます。
不動産の取得と不動産取得税の納税時期にはタイムラグがあるため、不動産取得税の納税通知書が届いたときに慌てないためにも納税資金を事前に用意しておきましょう。

なお、不動産取得税の納期限は納税通知書に記載されており、東京都の場合は下記のように決められています。

納税通知書の発送 毎月7日前後
不動産取得税の納期限 発送月の月末

4-2 相続した土地は名義変更手続きが必要である

相続によって取得した土地は、不動産取得税はかからないものの亡くなった人から相続人へ名義変更手続きが必要です。
なお、名義変更の際には「固定資産税評価額×0.4%」の登録免許税を納める必要がありますし、遺産総額が相続税の基礎控除を上回る場合は相続税の申告が必要になります。

亡くなった人から相続人への名義変更手続きは、法務局にて相続登記の申請を行います。
相続登記の申請時には、登記申請書の作成や故人の戸籍謄本類の収集などが必要です。

2024年から相続登記が義務化されます

これまで相続登記は義務化されておらず、相続人の意思によって行うとされていました。
しかし、2024年4月からは相続登記が義務化され、相続発生から3年以内に相続登記をしない場合には10万円以下の過料が科される恐れがあります。

なお、相続登記の義務化は過去に発生した相続においても適用されます。
そのため、まだ相続登記がおすみでない土地をお持ちの人は早めに手続きをすませましょう。

相続登記は自分でも行えますが、司法書士に依頼すれば数万円程度で代行可能です。
グリーン司法書士法人でも相続登記に関する相談をお受けしていますので、お気軽にお問い合わせください。

相続登記の義務化は2024年4月!法改正で変更される4つのポイント

まとめ

土地や住宅等の不動産を取得したときには、不動産取得税がかかります。
ただし、相続によって不動産を取得した場合は不動産取得税がかかりません。

相続以外にも不動産取得税がかからないケースもあるので、事前に確認しておくと良いでしょう。
また、不動産取得税の納税通知書は、名義変更手続き後から約6ヶ月後に来るので、納税資金をあらかじめ用意しておくことも大切です。

そして相続で不動産取得した場合、不動産取得税はかかりませんが、亡くなった人から相続人へ名義変更手続きをしなければなりません。
不動産の名義変更手続きは自分で行うこともできますが、相続に詳しい司法書士に依頼も可能です。

グリーン司法書士法人では、相続登記を始めとする相続に関する相談をお受けしています。
初回相談は無料ですし、オンライン相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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貸金庫に入れてはいけないものとは?遺言書を入れてはいけない理由 https://green-osaka.com/online/inheritance-knowledge/things-not-to-put-in-safe-deposit-box https://green-osaka.com/online/inheritance-knowledge/things-not-to-put-in-safe-deposit-box#respond Wed, 13 Mar 2024 00:00:34 +0000 https://green-osaka.com/online/?p=15996 この記事を読む およそ時間: 5 貸金庫を利用すれば、大切な書類や貴金属、思い出の品などを銀行の貸金庫にて安全に保管できます。 しかし、貸金庫に遺言書や保険証券など自分が亡くなったときに家族が確認する書類を保管するのはおすすめできません。 貸金庫の利用者 […]]]> この記事を読む およそ時間: 5

貸金庫を利用すれば、大切な書類や貴金属、思い出の品などを銀行の貸金庫にて安全に保管できます。
しかし、貸金庫に遺言書や保険証券など自分が亡くなったときに家族が確認する書類を保管するのはおすすめできません。

貸金庫の利用者が亡くなると、金融機関が貸金庫を凍結してしまうからです。
貸金庫にて遺言書を保管しておくと、遺族が貸金庫を開けられず遺言書の内容を確認できない恐れもあります。

貸金庫は相続手続きの際に必要になる書類の保管は避け、大切なアルバムや日記などを預けておくのが良いでしょう。

本記事では、貸金庫に入れてはいけないものを解説していきます。

1章 貸金庫に入れてはいけないもの

貸金庫は安全面に優れているため、大切にしたいものを入れるのに適しています。
しかし、銀行が貸金庫を利用している人の死亡を確認すると、貸金庫を凍結するため遺言書や保険証券などを入れるのには不向きです。

貸金庫に入れるべきでないもの、入れてはいけないものは下記の通りです。

  1. 遺言書
  2. 保険証券
  3. 現金
  4. 違法物品や危険物
  5. 生き物や食品
  6. 他人の個人情報を含む物
  7. 大きすぎる品物

それぞれ詳しくみていきましょう。

1-1 遺言書

遺言書の紛失や改ざんを防ぐため、貸金庫で大切に保管しようと考える人もいるかもしれませんが、遺言書を貸金庫に入れるのはおすすめできません。
貸金庫の利用者が亡くなったことを銀行が知ると、貸金庫を凍結するからです。
凍結を解除するには相続人全員の合意が必要であり、相続トラブルが発生するといつまでも貸金庫を開けられない可能性もあります。

したがって、遺言書を貸金庫で保管してしまうと、遺族が貸金庫を開けられず遺言書の内容も確認できなくなってしまう恐れがあります。

遺言書の紛失や改ざんリスクが心配であり自分で保管するのが難しい場合は、公正証書遺言の作成や法務局による自筆証書遺言の保管制度を利用するのがおすすめです。

法務局による自筆証書遺言の保管制度とは?申請方法について
遺言書の種類は3種類!自筆証書遺言と公正証書遺言の特徴について

1-2 保険証券

遺言書と同様に、保険証券に関しても貸金庫に入れないようにしましょう。
保険証券を貸金庫に入れてしまうと、相続が発生したときに遺族が保険証券の内容を確認できず生命保険金の請求も行えなくなるからです。

1-3 現金

貸金庫に入れてはいけないもののひとつが現金です。
現金を入れること自体は銀行が禁止していないケースが多いものの実際には、貸金庫は預貯金と異なり利息もつかず入れるメリットが少ないです。

加えて、貸金庫に現金を入れておくと、所得隠しやマネーロンダリングなどを疑われるリスクもあります。

1-4 違法物品や危険物

違法物品や危険物などは、金融機関が貸金庫に入れることを禁止しています。
違法物品や危険物に関しては法的に問題があるものだけではなく、倫理的に問題があるものも貸金庫に入れられない可能性があります。

1-5 生き物や食品

貸金庫は冷凍、冷蔵機能がないため、腐敗の恐れがある生物や食品は保管できません。
メガバンクの貸金庫規定でも腐敗の恐れがある品物は、貸金庫に入れることを禁止しています。

1-6 他人の個人情報を含む物

自分が亡くなった後に相続人が貸金庫を開けることを考慮すると、他人の個人情報を含む品物も、貸金庫にて保管しない方が良いでしょう。

1-7 大きすぎる品物

貸金庫は大きさが決まっているため、貸金庫よりも大きすぎる品物は入れられません。
また、貸金庫に入れられる重量も金融機関ごとに決められています。

2章 貸金庫に入れられるもの

本記事の1章で解説したように、貸金庫には遺言書や保険証券を入れるのには適していません。
貸金庫に入れられるものは金融機関が規定にてまとめているので、そちらを確認してみるのが良いでしょう。

メガバンクでは、主に下記の品物を貸金庫に入れることができます。

  • 契約証書や権利書
  • 貴金属や宝石
  • 手形や小切手、公社債券
  • 預金通帳、証書
  • コレクション
  • 思い出の品や日記

ただし、上記に当てはまる書類でも、相続後に遺族が確認する必要がある遺言書や保険証券などは貸金庫に入れない方がよい可能性があります。
本記事で解説してきたように、貸金庫は利用者が亡くなると金融機関によって凍結されてしまうからです。

3章 貸金庫の費用相場

貸金庫を利用する際には、年間数万円程度の費用がかかります。
2023年時点のメガバンクの貸金庫の費用は、それぞれ下記の通りです。

金融機関 貸金庫の年間手数料
みずほ銀行 支店や貸金庫の大きさによって異なる
(例:高さ65mm×幅245mm×奥行540mm、半自動型の場合は21,780円)
三菱東京UFJ銀行 16,170〜29,700円
三井住友銀行 11,000〜23,100円

三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行は貸金庫のサイズが複数用意されており、サイズごとに費用が異なります。

4章 貸金庫では認知症・相続対策として不十分な理由

本記事で解説したように、貸金庫の利用者が死亡したことを金融機関が確認すると、貸金庫を凍結してしまいます。
凍結を解除するには、相続人全員で所定の手続きをしなければなりません。

また、貸金庫の利用者が認知症により判断能力を失った場合や入院などで身動きが取れなくなった場合は、貸金庫を開けられなくなる恐れもあります。
そのため、貸金庫に財産や重要書類を保管しておくことは、認知症対策や相続対策としては不十分であると言わざるをえません。

認知症対策や相続対策をしたいのであれば、家族信託や生前贈与などを行うのが良いでしょう。
次の章では、認知症対策や相続対策について詳しく解説します。

5章 認知症になる前にすべき4つの相続対策

認知症になり判断能力を失うと財産管理や法的手続きを行えなくなってしまいます。
したがって、認知症になる前に相続対策や自分に何かあったときの財産管理方法を準備しておきましょう。

認知症になる前にすべき相続対策は、主に下記の4つです。

  1. 家族信託
  2. 遺言書の作成
  3. 生前贈与
  4. 任意後見制度

それぞれ詳しく解説していきます。

5-1 家族信託

家族信託とは自分の家族に財産の管理や運用処分を任せる制度です

家族信託とは、自分の家族に財産の管理や運用、処分を任せる制度です。

他の相続対策や認知症対策として柔軟な財産管理を行えるのが特徴です。
家族信託であれば、下記の行為も行えます。

  • 自宅の売却
  • 収益不動産の売却やリフォーム
  • 株式や投資信託の売却
  • 自分が亡くなった後に財産を誰が受け継ぐかの指定
  • 信託財産によって発生した利益を受け取る人物の指定

一方で、家族信託は認知症になり判断能力を失った後には手続きをすることができません。
そのため、認知症になる前に契約や手続きを行う必要があります。

家族信託が認知症対策に一番おすすめな7つの理由と具体的な解決事例

5-2 遺言書の作成

認知症になる前に遺言書を残しておけば親が希望する相続を実現できます

元気なうちに遺言書を作成しておけば、自分が亡くなった後に財産を遺す人物を指定可能です。
また遺言書の作成は、相続人の中に認知症の人物がいるときにもおすすめできます。

認知症になった人物が相続人になると、判断能力がないため遺産分割協議に参加することができません。
一方で、遺言書を作成しておけば認知症になった相続人がいても問題なく遺産分割を行えます。

遺言執行者とは|誰がなれる?選任方法や仕事内容を徹底解説【完全版】
遺言書作成時には遺言執行者を選任しよう

認知症対策や相続対策で遺言書を作成する際には、遺言執行者を選任しましょう。
遺言執行者とは、遺言の内容を実現するための相続手続きを単独で行う義務・権限を持つ人物です。

遺言執行者を選任しておけば、認知症の相続人や遺言書の内容に納得していない相続人がいても相続手続きを行いやすくなります。
遺言執行者は相続人がなることもできますが、相続トラブルを回避し相続手続きをスムーズにするには、司法書士や弁護士に遺言執行者を依頼するのがおすすめです。

遺言執行者とは|誰がなれる?選任方法や仕事内容を徹底解説【完全版】

5-3 生前贈与

認知症になる前に生前贈与をしておけば子供等に財産を受け継げます

認知症になる前に生前贈与をしておけば、子供等に財産を受け継げます。
生前贈与を行えば認知症発症後も、子供や孫が自由に財産を管理や運用、処分できる一方で、年間110万円を超える贈与には贈与税がかかる場合があります。

生前贈与を行う際には相続とどちらが適しているか、シミュレーションを行うのが良いでしょう。
自分で判断するのが難しい場合は相続や生前贈与に詳しい税理士に相談してみるのもおすすめです。

生前贈与とは?メリット・デメリットや贈与税の計算方法について

5-4 任意後見制度

認知症になる前に任意後見制度の契約を結んでおけば、自分が認知症などで判断能力を失ったときに後見人に財産の管理をしてもらえます。
任意後見制度を利用すれば信頼できる後見人に財産を任せられる一方で、制度を利用した後は任意後見人や任意後見監督人に報酬を払い続ける必要があります。

任意後見制度を利用する際には、家族信託や生前贈与など他の方法と比較検討してみるのが良いでしょう。
認知症対策に詳しい司法書士や弁護士に相談すれば、財産や家族の状況に合う対策方法を提案してもらえます。

【簡単解説】任意後見人とは?役割や仕事内容から手続きの流れ

まとめ

貸金庫は大切なものを保管するのに適していますが、遺言書や保険証券など相続発生後に遺族が確認する書類は貸金庫に入れるのを避けましょう。
相続発生後は貸金庫が凍結され、相続人全員で手続きをしないと開けられない恐れがあるからです。

また相続発生時だけでなく認知症発症時にも、自分の意思で貸金庫を開けられなくなる可能性があるのでご注意ください。
貸金庫を活用するだけでは認知症対策や相続対策として不十分ですので、必要に応じて別の対策をしていくのが良いでしょう。

自分に合う認知症対策や相続対策がわからない場合は、認知症対策に詳しい司法書士や弁護士に相談することをおすすめします。

グリーン司法書士法人では、認知症対策や相続対策に関する相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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葬儀費用は誰が払う?費用相場と費用を抑える方法について https://green-osaka.com/online/inheritance-knowledge/who-pays-funeral-expenses https://green-osaka.com/online/inheritance-knowledge/who-pays-funeral-expenses#respond Mon, 11 Mar 2024 00:00:58 +0000 https://green-osaka.com/online/?p=15993 この記事を読む およそ時間: 7 葬儀費用の支払いは喪主が支払うのが慣例ですが、法律などで決められているわけではないので誰が支払っても問題はありません。 故人の配偶者が喪主になったものの年金暮らしで収入が少ない場合は、長男が葬儀費用を負担するケースもあり […]]]> この記事を読む およそ時間: 7

葬儀費用の支払いは喪主が支払うのが慣例ですが、法律などで決められているわけではないので誰が支払っても問題はありません。
故人の配偶者が喪主になったものの年金暮らしで収入が少ない場合は、長男が葬儀費用を負担するケースもあります。

また、葬儀費用は1人で支払う必要はなく、相続人で分担して支払う形でも問題ありません。
葬儀費用は数十万円から100万円近くかかることも多いので、支払い方法や負担割合についてあらかじめ話し合っておくとトラブルを回避しやすいです。

本記事では、葬儀費用は誰が払うのか、費用相場や費用を抑える方法を解説します。
なお、家族や親族が亡くなると葬儀や法要以外にも様々な手続きが必要です。
家族や親族が亡くなったときの手続きの流れは、下記の記事でも解説しているのでご参考ください。

【保存版】相続手続きでやるべきことまとめ!必要書類や期限も紹介

1章 葬儀費用は誰が払う?

葬儀費用を負担する人物は、法律などで決められているわけではなく誰が払っても問題ありません。
ただし、一般的には喪主が葬儀費用を負担するケースが多いです。

葬儀費用を支払う人物や支払い方法は、主に下記の通りです。

  1. 葬儀費用は喪主が払うのが慣例である
  2. 施主が支払うケースもある
  3. 相続人で分担しても問題ない
  4. 遺産から支払うこともできる

それぞれ詳しくみていきましょう。

1-1 葬儀費用は喪主が払うのが慣例である

葬儀費用は喪主が支払うのが慣例となっています。
ただし、あくまでも慣例であり法律などで決められているわけではありません。

なお、喪主になる人物は下記のような優先順位で決まることが多いです。

  1. 配偶者
  2. 長男
  3. 次男以降の子(男)
  4. 長女
  5. 次女以降の子(女)
  6. 故人の両親
  7. 故人の兄弟
香典は喪主のものとして扱われる

香典は故人の供養として支払うものですが、相続財産ではなく喪主への贈与として扱われます。
そのため、香典を遺産分割の対象に含める必要はありませんし、相続税の計算対象に含める必要もありません。

同時に、香典返しを葬儀費用として相続税の債務控除に含めることもできないのでご注意ください。

香典は喪主のもの!余ったら相続人で分配しなければだめ?

1-2 施主が支払うケースもある

喪主とは別に施主を立てた場合は、葬儀費用を施主が負担する場合もあります。
施主とは、葬儀において喪主とほとんど同じ役割を果たす人物です。

葬儀を行うにあたり喪主が1人ですべての役割をこなすことが難しい場合は、施主を用意することが多いです。
例えば、故人の配偶者が喪主になったものの年金暮らしで葬儀費用を負担するのが難しい場合は、長男が施主になり葬儀費用を支払うケースもあるでしょう。

1-3 相続人で分担しても問題ない

葬儀費用は誰が支払っても問題ないので、喪主1人で支払うのではなく相続人で分担することも可能です。

  • 相続人が葬儀費用を等分する
  • 相続人の年齢や収入に応じて分担割合を決定する

相続人ごとに分担割合を設定するのであれば、後々のトラブルを防ぐために相続人全員が納得できる割合を設定しましょう。

1-4 遺産から支払うこともできる

相続人全員が合意すれば、葬儀費用を遺産から支払うことも可能です。
ただし、葬儀費用を遺産から払うときには、故人名義の銀行口座が凍結される可能性に注意しなければなりません。

金融機関が口座名義人の死亡を確認すると、銀行口座を凍結し預貯金の入出金や口座引き落としが一切できなくなってしまいます。
口座凍結を解除するには、相続人全員で故人の預貯金の解約手続きをしなければなりません。

他には、預貯金の仮払い制度を利用すれば「相続開始日の預金残高×3分の1×法定相続分」までを上限に故人の預貯金を引き出し可能です。
なお、金融機関ごとの上限額は150万円と決められているので150万円を超える引き出しをする際には複数の金融機関で手続きをする必要があります。

銀行口座の凍結とは?口座名義人の死亡後に解除する方法と必要書類

2章 葬儀費用を負担する人を決める方法

葬儀費用は数十万円以上かかることも多いため、負担する人をあらかじめ決めておくと、家族や親族間のトラブルを減らせます。
葬儀費用を負担する人物の決め方は、主に下記の通りです。

  1. 遺言書の内容を確認する
  2. 遺言代用信託の内容を確認する
  3. 故人が生命保険に加入していたか確認する
  4. 故人が葬儀社と生前契約していたか確認する️

それぞれ詳しく見ていきましょう。

2-1 遺言書の内容を確認する

故人が元気なうちに遺言書を作成してもらい、葬儀費用を負担する人物を記載しておいてもらえば、葬儀費用の支払いで揉めにくくなります。
ただし、遺言書は効力が発生する内容が法律で決められており、葬儀費用の支払いに関しては効力を持たないとされています。

そのため、遺言書にて葬儀費用について書かれていたとしても、法的には相続人が従う義務はありません。

法的に効力を持たない内容について相続人同士で意見が割れることが予想される場合は、相続に詳しい司法書士や弁護士に遺言書の作成や内容の相談をすることも検討しましょう。

遺言書作成時には遺言執行者を選任しよう

遺言書を作成する際には、あわせて遺言執行者も選任しておきましょう。
遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために手続きを行う人です。

遺言執行者を選任しておけば、単独で遺産の名義変更手続きを行えますし、相続人に遺言書の内容を伝えてくれます。
遺言執行者は相続人がなることもできますが、遺言書の作成を依頼した司法書士や弁護士を選任すれば、作成時の意図や遺志も伝えてもらえます。

遺言執行者とは|誰がなれる?選任方法や仕事内容を徹底解説【完全版】

2-2 遺言代用信託の内容を確認する

遺言代用信託とは、契約者が自分の財産を信託銀行などに預け、本人が死亡した後に信託銀行などが故人の配偶者や子供に払い出す制度です。
遺言代用信託によって預けていた財産は相続人全員で遺産分割方法を決定することなく、あらかじめ指定した人物に受け継げます。

そのため、遺言代用信託で配偶者や長男に財産を遺すように指定してもらえば、葬儀費用の支払いに充てることもできるでしょう。

【保存版】遺言代用信託とは?メリット・デメリットや注意点について

2-3 故人が生命保険に加入していたか確認する

家族や親族が亡くなった際には、故人が生命保険に加入していたかも確認しておきましょう。
生命保険金は受取人固有の財産として扱われるため、遺産分割の必要がなく葬儀費用にもしやすいからです。

また、生命保険金は故人の死亡を確認できた段階で保険会社から支払ってもらえるため、比較的早くまとまった現金を受け取り可能です。
そのため、葬儀費用としてまとまった現金を用意しておくのにも、生命保険は有効といえるでしょう。

生命保険が相続対策になる4つの理由と相続対策のポイント

2-4 故人が葬儀社と生前契約していたか確認する

家族や親族が亡くなった場合は、故人が葬儀社と生前契約をしていなかったか確認しておきましょう。
終活をする人も増えており、自分が亡くなる前に葬儀社の決定やプラン選び、費用の払い込みをすませている人も中にはいるからです。

故人が葬儀社と生前契約をして費用の支払いもすんでいる場合は、相続人や喪主が費用を負担する必要はなく、あらかじめ故人が決めていた形の葬儀を執り行うだけですみます。
また近年では葬儀保険に加入している人もいるので、そちらについても確認しておくと葬儀費用に関する不安を解消できる可能性があります。

終活とは?お墓の準備や老後資金対策などやっておきたいこと【まとめ】

3章 葬儀費用の支払いでトラブルに発展するケース

葬儀費用は数十万から100万円を超えることも多いため、支払い方法によってはトラブルになる可能性もあります。
葬儀費用の支払いで起きやすいトラブルは、主に下記の通りです。

  1. 喪主が勝手に立替払いをして相続人に請求する
  2. 支払いに同意した親族が後から立替分の支払いを拒否する
  3. 葬儀費用を支払う人が決まらず揉めてしまう
  4. 葬儀費用の支払いから相続トラブルに発展してしまう

それぞれ詳しく見ていきましょう。

3-1 喪主が勝手に立替払いをして相続人に請求する

葬儀費用の支払いでトラブルになりやすいのは、喪主が費用を立替払いして後から相続人に請求するケースです。
喪主以外の相続人からしたら「自ら喪主になって葬儀について決めたのに後から費用を支払えと言われるのは納得できない」と感じてしまうでしょう。

加えて、葬儀費用は数十万円から100万円を超えることも珍しくないため、立替分の金額が大きくなり喪主と相続人のトラブルが泥沼化しやすいです。
なお、喪主が勝手に葬儀費用を立て替えて支払った場合、葬儀費用は喪主が支払うといった判例が過去に出ています。
そのため、相続人が立替を拒否した場合、喪主が費用を回収することは難しいでしょう。

3-2 支払いに同意した親族が後から立替分の支払いを拒否する

兄弟同士で葬儀費用を折半するなどと決めていたものの後になって相続人の1人が葬儀費用の支払いを拒否するケースも珍しくありません。
特に、葬儀費用の分担を口頭で決めていた場合や決めてから時間が経って状況が変わっている場合は、費用の支払いを拒否する相続人も増えるでしょう。

先ほど解説したように、喪主が葬儀費用の支払いを拒否する相続人に無理やり立替分を支払ってもらうことは難しいですし、親族間の関係も悪化することが予測されます。
そのため、葬儀費用の支払いを分担するのであれば文書にしておく、状況が変わったタイミングで再度、費用の分担や葬儀の規模について相談することが大切です。

3-3 葬儀費用を支払う人が決まらず揉めてしまう

故人の葬儀費用の支払いについて、相続人全員で話し合いをしたものの納得のいく結論が出ず揉めてしまうケースもあります。
葬儀費用は決して少なくない金額のため、下記のように意見が割れてしまう場合もあるでしょう。

  • 葬儀費用は喪主が支払うべきである
  • 1番世話になった子供が支払うべきである
  • 遺産から支払うのがよい

葬儀費用の支払いについて揉めてしまうと、喪主を決定できず葬儀の手配や開催が遅れてしまう可能性もあります。

3-4 葬儀費用の支払いから相続トラブルに発展してしまう

遺産から葬儀費用を支払ったことをきっかけに、相続トラブルにまで発展してしまうケースも珍しくありません。
遺産から葬儀費用を支払うことには合意したものの、後から喪主以外の相続人が「葬儀の規模が大きすぎた」「もっと安く葬儀を行いたかった」などと主張するケースです。

喪主以外の相続人からしたら、葬儀の形式や規模を決めた喪主に費用の一部を負担してほしいと考えてしまうこともあるでしょう。
一方で喪主からしたら「合意したのに後から文句を言わないでほしい」と感じるはずです。

葬儀費用をきっかけに相続トラブルまで発展してしまうと、問題を解決したとしても親族間にわだかまりが生まれてしまい、これまでの関係に戻れない可能性が高いです。
このような事態を防ぐためにも、相続トラブルが泥沼化しないうちに相続に詳しい司法書士や弁護士に相談するなども検討しておきましょう。

遺産相続問題のよくある事例11選|知っておくべき相続トラブル対策

4章 葬儀費用の相場

葬儀費用を負担する人物や負担割合を決定する際には、葬儀費用の相場を把握しておくことが大切です。
相場を把握しておかないと「こんなに高いなんて知らなかった」「こんなに高いなら支払えない」と後からトラブルに発展する恐れがあるからです。

葬儀費用の相場は、葬儀の規模によって下記のように変わります。

火葬・葬儀の種類 費用相場
火葬式(直葬) 10~20万円
家族葬 70~100万円
一般葬 150~200万円

それぞれ詳しく見ていきましょう。

4-1 直葬(火葬式)の相場

通夜や告別式などを行わず火葬のみを行うのであれば、費用は10~20万円程度かかることが多いです。
火葬式(直葬)の場合、費用は①火葬場に支払う費用②葬儀社へ支払う費用に対してかかります。

このうち、火葬場に支払う費用は利用した火葬場が公営か民営かで大きく変わってきます。
葬儀社へ支払う費用についても、契約したプラン内容やオプションの有無によって費用が変わってきます。

そのため、通夜や告別式は不要と考えたが、故人のためを思ってオプションを付けたら結果として高くなってしまったとなる恐れもあります。
費用を抑えるために直葬を検討しているのであれば、プランの設定やオプションの追加は費用を確認してから行いましょう。

4-2 家族葬の相場

限られた人数だけで行われる「家族葬」にかかる費用相場は70~100万円程度です。
家族葬の場合、参列者も親族や親しい知人が多く喪主の心理的な負担も少なくすみます。

一方で家族葬は参列者が少なくなる傾向にあるため、香典が少なくなる点に注意しておきましょう。

4-3 一般葬の相場

家族や親族だけでなく、故人の友人知人や職場関係の人にも参列してもらう「一般葬」にかかる費用相場は150~200万円程度です。
一般葬では通夜と告別式の2日に渡って行うため、寺院費用や会食費用も2日分かかります。

一般葬を行う際には、費用に関して下記の点に注意が必要です。

  • 想定以上の人数が参加すると予定より費用がかさんでしまう
  • 葬儀の規模が大きくなったことにより喪主の負担が増える

一般葬を行うのであればどれくらいの規模で行うのか、参列者の人数の予測を立てるなどの工夫が必要です。

葬式費用の相場は約195万円!内訳と費用を安く抑える方法を解説!

5章 葬儀費用を抑える方法

家族や親族で火葬費用を工面するのが難しい場合、火葬費用や葬儀費用を少しでも抑えるように工夫することが大切です。
具体的には、下記の4つの方法を検討しましょう。

  1. 公営の火葬場を利用する
  2. 葬儀の規模を小さくする
  3. 必要ないサービスやオプションは断る
  4. 複数の葬儀社で相見積もりを出してもらう

それぞれ詳しく解説していきます。

5-1 公営の火葬場を利用する

火葬場には公営と民営があり、葬儀費用を抑えるのであれば公営を選ぶのが良いでしょう。
ただし、公営の火葬場はすべての人が利用できるのではなく、故人や喪主の居住地などによって利用料金や利用可否が変わってきます。

公営の火葬場を利用したいときには、火葬場や提携先の葬儀社に利用条件や費用を問い合わせておくと安心です。

5-2 葬儀の規模を小さくする

葬儀費用を抑えるのであれば家族葬などを行い、葬儀の規模を小さくするようにしましょう。
参列者が増え葬儀の規模が大きくなれば、それだけ費用がかかってしまうからです。

またシンプルな内容の葬儀にすることで、喪主の負担も軽減できます。

5-3 必要ないサービスやオプションは断る

葬儀社がすすめてくるサービスやオプションのうち、必要ないと感じるものは断ってしまいましょう。

葬儀や火葬には、複数のランクやオプションが用意されていることが多いですが、必要がないものを断ればその分だけ火葬費用や葬儀費用を節約可能です。

葬儀社の中にはオプション込みで見積書を作成している場合もあるので、見積書の内容を確認して費用の内訳について質問してみるのも大切です。
質問した結果、故人や自分たちに不要なサービスであると判断した場合は抜いてもらえば費用を抑えられます。

5-4 複数の葬儀社で相見積もりを出してもらう

葬儀の手配をする際には、複数の葬儀社で相見積もりを出してもらいましょう。
相見積もりを出してもらえば、最も費用の安い葬儀社を選ぶこともできますし、同価格帯でもより自分たちの希望に合う葬儀社を選べる可能性があるからです。

まとめ

葬儀費用を負担する人物は法律によって、決められているわけではありません。
一般的には喪主が支払うことが慣例となっていますが、施主が支払っても相続人で分担して支払っても問題ありません。

葬儀費用を負担する人物が決まらないと喪主を設定できず、葬儀を行うことができなくなってしまいます。
そのため、可能であれば、元気なうちから葬儀費用の支払い方法や葬儀の規模について、家族や親族間で話し合っておくのが良いでしょう。

葬儀費用は遺産から支払うこともできますが、相続人同士でトラブルになってしまう可能性もゼロではありません。
葬儀費用の支払い方法や遺産分割方法でトラブルが起きるのを避けたいのであれば、相続に詳しい司法書士や弁護士に相談しながら進めることも検討しましょう。

グリーン司法書士法人では相続に関する相談をお受けしています。
初回相談は無料、オンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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土地の所有者を調べるときには法務局で登記簿謄本を取得する、もしくはインターネットで登記情報提供サービスを確認するのがおすすめです。
なお、登記簿謄本の取得やインターネットで登記情報提供サービスを確認するのは、土地の所有者や家族以外の第三者でも可能です。

登記簿謄本の取得や登記情報提供サービスを確認する際には、事前に調べたい土地の地番を確認しておきましょう。
また、土地の所有者確認後に土地の名義変更手続きをしたい場合は、土地の所有者確認を司法書士に依頼するのがおすすめです。
司法書士であれば、土地の所有者を調べるのはもちろんその後の名義変更手続きまで一括で対応できます。

本記事では、土地の所有者を調べる方法を解説します。

1章 土地の所有者を調べる方法とは

土地の所有者を調べる際には、登記簿謄本の取得や登記情報提供サービスの利用がおすすめです。
また、土地の所有者を調べるだけでなく土地の名義変更手続きまで行う予定であれば、司法書士に土地の所有者を調べてもらうのが良いでしょう。

土地の所有者を調べる方法は、主に下記の3つの方法があります。

  1. 法務局で登記簿謄本(登記事項証明書)を取得する
  2. インターネットで登記情報提供サービスを利用する
  3. 司法書士に依頼する

それぞれの方法について詳しく解説していきます。

1-1 法務局で登記簿謄本(登記事項証明書)を取得する

土地や建物など不動産の所有者は誰か調べる際には、法務局で登記簿謄本を取得するのが確実です。
登記簿謄本や登記事項証明書の取得は、土地の所有者や家族以外の第三者でも行えます。
例えば、相続した土地の所有者を確認したい場合や土地に関する書類を取得したい場合は、登記簿謄本を取得するのが良いでしょう。

登記簿謄本には所有者をはじめとする不動産に関する様々な情報が記載されています。
基本的には、登記簿謄本に記載されている「名義人」が土地の所有者となりますが、中には名義人に記載されている人物以外が土地を所有している場合もあるのでご注意ください。

例えば、名義人がすでに亡くなっているものの名義変更が行われていないケースや土地の贈与が行われたにもかかわらず名義変更されていないケースでは、名義人と現在の所有者が異なる可能性もあります。

登記簿謄本を取得する方法は、下記の通りです。

取得できる人 誰でも可能
取得先 全国各地の法務局
(オンラインや郵送でも請求可能です)
費用 1通につき600円(窓口請求の場合)
必要なもの 特になし
(土地の地番や建物の家屋番号がわかるとスムーズです)

1-2 インターネットで登記情報提供サービスを利用する

登記簿謄本を取得する必要はなく、単純に土地の所有者のみを確認したいのであれば、インターネットで登記情報提供サービスを利用するのが手軽でおすすめです。
登記情報提供サービスとは、インターネット上で登記されている情報を確認できるサービスです。

登記情報提供サービスには当日限り利用できる「一時利用」と継続的に利用する人向けの「個人利用」が用意されています。
一次利用は申し込みした日に登記内容を閲覧できますが、個人利用は申し込みから利用できるまでに1週間程度かかるのでご注意ください。

一次利用もしくは個人利用を申し込む流れは、下記の通りです。

  1. 必要事項を入力して利用者登録を行う
  2. 対象となる土地の地番を入力する
  3. 登記情報の請求および決済をする

なお、登記情報提供サービスを利用して登記内容を確認する際には、下記の費用がかかります。

  • 登記内容をすべて確認する:332円
  • 不動産の所有者情報のみを確認する:142円

上記の他に、初回登録時には300円の登録手数料がかかります。

1-3 司法書士に依頼する

先ほど解説したように、登記簿謄本の取得や登記情報サービスによる確認は、土地の所有者だけでなく誰でも行えます。
そのため、司法書士に土地の所有者確認を依頼することも可能です。

とはいえ、土地の所有者情報の確認のみをしたいのであれば、わざわざ報酬を払ってまで司法書士に依頼する必要性は薄いでしょう。
しかし、土地の所有者を確認した後に名義変更が必要な場合は、司法書士に所有者の確認を依頼するのもおすすめです。

司法書士であれば、土地の所有者を調べるだけでなく、その後の名義変更手続きまで一括で対応可能です。

2章 土地の地番を調べる方法

インターネットで登記情報提供サービスを利用する際には、所有者を調べたい土地の地番が必要です。
また、法務局にて登記簿謄本を取得する際にも地番を知っていれば土地を特定しやすくなります。

土地の地番を調べる方法は、主に下記の通りです。

  1. ブルーマップを活用する
  2. 法務局に問い合わせる
  3. 公図を確認する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

2-1 ブルーマップを活用する

地番を調べる方法のひとつに、株式会社ゼンリンが出版しているブルーマップを活用する方法があります。
ブルーマップとは、住宅地図に地番に関する情報を重ねたものであり、青色で印刷されているためブルーマップと呼ばれます。

ブルーマップは自分で購入するだけでなく、各法務局では管轄する土地のブルーマップを閲覧可能です。
ブルーマップで地番を自分で確認するのが難しい場合は、法務局にて職員が手伝ってもらえます。
なお、法務局に設置されているブルーマップは閲覧のみであり、コピーすることはできません。

2-2 法務局に問い合わせる

法務局に行ってブルーマップを閲覧するのが難しい場合は、法務局に電話で問い合わせると地番を教えてもらえる場合があります。
ただし、すべての法務局で地番に関する問い合わせを行っているわけではないですし、電話で土地に関する情報や場所を正確に伝えなければならない点に注意が必要です。

法務局に行くことができるのであれば、電話ではなく直接訪問して地番を特定するのが確実です。

2-3 公図を確認する

公図とは法務局に備え付けられている図面であり、土地の地番や形状、大きさを確認できます。
ただし、公図から地番を特定するには、一般的な地図と公図を比較した上で公図上で調べたい土地の場所を特定しなければなりません。

公図を読み解くのに慣れていない人が地番を特定するのは難しいので、他の方法が可能であればそちらで地番を特定するのが良いでしょう。

3章 土地の名義人と所有者が異なるときの対処法

本記事の1章で解説したように、土地の名義人=所有者が原則ですが、土地の状況によっては登録されている名義人と所有者が異なる場合があります。
土地の名義人と所有者が異なる場合は状況を整理して、現在の所有者にいたるまでの名義変更を遡って行わなければなりません。

例えば、亡くなった父が所有していた土地の所有者を調べたら、名義人が祖父だった場合を考えてみましょう。
このようなケースでは、そもそも祖父から父へと土地の名義変更が行われていないと推測でき、①祖父から父②父から自分と2回分の登記申請をしなければなりません。

先祖代々にわたり登記申請が行われていなかった場合は、登記申請に必要な書類の数も多くなりますし、古い戸籍謄本の収集が必要な場合もあり、自分で行うのは現実的ではありません。
そのため調べた結果、土地の名義人と所有者が異なった場合は、状況を把握し必要な手続きを行うために司法書士に相談するのが良いでしょう。

まとめ

土地の所有者を調べるには、法務局で登記簿謄本を取得する、もしくはインターネットで登記情報提供サービスを利用するのがおすすめです。
土地の所有者を調べた後に名義変更手続きを行いたいのであれば、司法書士に所有者を調べる段階から依頼してしまっても良いでしょう。

なお、土地の所有者を調べた結果、登録されている名義人と実際の所有者が異なる場合は、状況やこれまでの経緯を詳しく調査する必要があるため、司法書士に相談するのがおすすめです。

グリーン司法書士法人では、相続登記に関する相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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相続税申告や遺産の名義変更手続きには、遺産分割協議書の提出が必要な場合があります。
相続手続きを行う際には、どのような手続きが必要なのか、遺産分割協議書をどこに提出するのか理解しておきましょう。

また、故人の預貯金の解約手続きや不動産の名義変更手続きは、不動産の所在地や銀行口座ごとに行う必要があるため、故人の遺産の種類や数によっては遺産分割協議書の提出が増える可能性もあります。

本記事では、遺産分割協議書の提出先や提出不要なケースを解説します。
遺産分割協議書については、下記の記事でも詳しく解説しているので、ご参考ください。

【雛形付】遺産分割協議書とは?自分で作成可能?作成の流れまとめ

1章 遺産分割協議書の提出先は主に5つ

遺産分割協議書は、相続税申告や遺産の名義変更手続きをするときに提出が必要です。
遺産分割協議書の提出先は、主に下記の5つです。

提出先 提出が必要なケース
法務局 不動産の名義変更を行うケース
税務署 相続税申告を行うケース
銀行などの金融機関 預貯金などの解約を行うケース
証券会社 株式や投資信託などの名義変更を行うケース
運輸支局 自動車の名義変更を行うケース

それぞれの提出先について詳しく見ていきましょう。

1-1 法務局

亡くなった人から土地や建物などの不動産を受け継いだ場合、名義変更手続きが必要です。
不動産の名義変更手続きは法務局にて登記申請を行います。

相続登記を行う際には、遺産分割協議書や故人が生まれてから死亡するまでの連続した戸籍謄本類など様々な書類が必要です。
相続登記の概要および必要書類は、下記の通りです。

手続きする人
  • 不動産を相続する人
  • 代理人(司法書士)
手続き先 不動産の所在地を管轄する法務局
費用 不動産固定資産評価額の0.4%(登録免許税)
(目安:1,000万円の場合4万円、2,000万円の場合8万円)
必要書類
  • 登記申請書(法務局HPからダウンロードできます)
  • 故人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 故人の住民票除票または戸籍附票
  • 相続人の戸籍謄本
  • 遺産分割協議書
  • 印鑑証明書
  • 遺言書
    など

なお、上記のように相続登記は不動産の所在地を管轄する法務局にて行わなければなりません。
故人が複数の不動産を所有していて提出先の法務局が複数ある場合は、それぞれの法務局に遺産分割協議書の提出が必要となります。

相続登記で必要な書類を把握!【相続パターン別のわかりやすい一覧表】
2024年から相続登記が義務化されます

これまで相続登記は義務化されておらず、相続人の意思によって行うとされていました。
しかし、2024年4月からは相続登記が義務化され、相続発生から3年以内に相続登記をしない場合には10万円以下の過料が科される恐れがあります。

なお、相続登記の義務化は過去に発生した相続においても適用されます。
そのため、まだ相続登記がおすみでない土地をお持ちの人は早めに手続きをすませましょう。

相続登記は自分でも行えますが、司法書士に依頼すれば数万円程度で代行可能です。
グリーン司法書士法人でも相続登記に関する相談をお受けしていますので、お気軽にお問い合わせください。

相続登記の義務化は2024年4月!法改正で変更される4つのポイント

1-2 税務署

遺産が一定額を超える場合、相続税の申告が必要であり、申告時には遺産分割協議書の提出が必要です。
なお、相続税の申告期限は「相続開始から10ヶ月以内」であり、遺産分割協議書が作成できていないことを理由に申告期限を延長してもらうことはできません。

相続税の申告手続きの概要および必要書類は、下記の通りです。

手続きする人
  • 相続人
  • 受遺者
  • 代理人(税理士)
手続き先 故人の住所地の所轄税務署
必要なもの
  • 本人確認書類
  • 亡くなった人の生まれてから死亡するまでの連続した戸籍謄本類
  • 遺言書もしくは遺産分割協議書
    など
相続税の計算方法を詳しく解説【自分で相続税を計算しよう!】

1-3 銀行などの金融機関

相続発生時には、故人が利用していた金融機関にて預貯金の解約手続きなどが必要です。
金融機関が口座名義人の死亡を確認すると、銀行口座を凍結してしまい相続手続きを行うまでは入出金や口座引き落としが一切できなくなってしまいます。

銀行などの金融機関で預貯金の解約手続きをする際にも、遺産分割協議書の提出が必要です。
ただし、金融機関の中には所定の書類に相続人全員が署名、実印を押印すれば遺産分割協議書を提出しないでも手続き可能としているところもあります。

なお、金融機関での相続手続きも故人が口座開設していたすべての銀行で手続きをしなければなりません。
故人が複数の銀行を利用していた場合、手続きの手間や遺産分割協議書を提出する機会も増えるためご注意ください。

預貯金の解約手続きに関しては、行政書士や司法書士に手続きを依頼することも可能です。
平日日中は仕事をしているなど、手続きを自分で行うのが難しい場合は依頼をご検討ください。

預金の相続手続きの流れ・必要書類【故人の預金口座の調べ方とは?】<
銀行口座の凍結とは?口座名義人の死亡後に解除する方法と必要書類

1-4 証券会社

亡くなった人が上場株式や投資信託を所有していた場合は、証券会社にて金融商品の名義変更手続きをしなければなりません。
そして、証券会社にて名義変更手続きを行う際にも遺産分割協議書の提出が必要です。

なお、亡くなった人が非上場株式を所有していた場合は、証券会社ではなく発行先の会社にて名義変更手続きを行う必要があります。

金融機関と同様に証券会社で相続手続きを行う際も、各会社所定の用紙に相続人全員が署名および押印をすれば手続きが可能な場合もあります。
まずは亡くなった人が口座開設していた証券会社を特定し、必要書類について確認してみるのが良いでしょう。

上場株式や投資信託などの名義変更手続きに関しては、行政書士および司法書士にも依頼可能です。

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1-5 運輸支局

亡くなった人が所有していた自動車を受け継いだ場合、名義変更手続きが必要であり、その際に遺産分割協議書を提出します。
自動車の名義変更手続きは、自動車の査定額や種類によって、下記のように手続き先が異なります。

自動車の種類 手続き先 遺産分割協議書の提出要否
査定額が100万円を超える普通自動車 相続人の住所地を管轄する運輸支局 必要
査定額が100万円以下の普通自動車 相続人の住所地を管轄する運輸支局 遺産分割協議成立申立書で手続き可能
(遺産分割協議書の提出も可能)
軽自動車 相続人の住所地を管轄する軽自動車検査協会 不要

査定額が100万円以下の普通自動車の場合は、遺産分割協議書ではなく遺産分割協議成立申立書での手続きも認められています。
遺産分割協議成立申立書は遺産分割協議書と異なり相続人全員の署名や押印が不要で、自動車を受け継ぐ相続人のみが署名と押印をします。

また、軽自動車の名義変更手続きは運輸支局ではなく軽自動車検査協会で行い、手続き時には相続人と故人の関係性を証明できる書類を提出すれば遺産分割協議書は不要です。

【無料ひな型付き】車を相続するときの遺産分割協議書の作成方法

2章 遺産分割協議書は原本の提出が必要

遺産分割協議書を提出する際には、原則としてコピーの提出は認められません。
相続手続き時には、遺産分割協議書の原本を提出する必要があるため、相続手続きをスムーズに進めるためにも相続人の人数分の遺産分割協議書を作成するのがおすすめです。

なお、遺産分割協議書の提出は原本提出が原則ですが、いずれの提出先も遺産分割協議書を確認後に原本を返却してくれます。
そのため、一度提出した遺産分割協議書も繰り返し相続手続きに使用可能です。

3章 遺産分割協議書の作成・提出が不要なケース

遺産分割協議書はすべての相続で作成しなければならないわけではなく、下記のケースでは作成や提出は不要です。

  • 故人が遺言書を作成していたケース
  • 相続人が一人しかいないケース

亡くなった人が遺言書を用意していた場合は、遺言書に従って遺産分割を行うため、遺産分割協議書の作成は不要です。
相続人が自分しかいない場合も、誰が遺産を受け継ぐか明白なため、遺産分割協議書の作成は必要ありません。

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4章 遺産分割協議書を作成する流れ

遺産分割協議書を作成するためには、相続人全員で誰がどの遺産をどれくらいの割合で受け継ぐかを話し合い決定しなければなりません。
遺産分割協議書を作成した後に、相続人や相続財産に漏れがあると発覚した場合は遺産分割協議のやり直しが必要になってしまうのでご注意ください。

相続人や相続財産の漏れを防ぐために、遺産分割協議書を作成する際には下記の流れで行いましょう。

  1. 相続人を確定する
  2. 相続財産を調査する
  3. 相続人全員で遺産分割方法について話し合う
  4. 話し合った内容をもとに遺産分割協議書を作成する

故人に離婚歴がある場合や過去に何度も本籍地を移動している場合は、相続人調査が複雑になります。
他にも、故人が財産目録を作成していなかった場合や相続人と故人が疎遠であり、遺産の状況がわからない場合も遺産分割協議に時間や手間がかかってしまいます。

平日日中仕事をしていて相続人調査や相続財産調査を行うのが難しい場合や相続トラブルを避け公平な遺産分割を行いたい場合は、相続に詳しい司法書士や行政書士に相続手続きを依頼するのも良いでしょう。

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相続財産調査とは?詳しい調査方法や依頼先について簡単解説

まとめ

遺産分割協議書の提出先は、法務局や税務署、金融機関、証券会社、運輸支局であり、亡くなった人が所有していた遺産の種類や金額によっても提出先が変わってきます。
亡くなった人が様々な種類の遺産を所有していた場合や複数の金融機関と取引していた場合は、遺産分割協議書の提出回数も増えてしまいます。

スムーズに名義変更手続きを行うためには、相続人の人数分の遺産分割協議書を作成しておくのがおすすめです。
また相続人や相続財産に漏れが発生しないように、遺産分割協議を行う前には相続人調査や相続財産調査を行っておきましょう。

平日日中仕事をしていて相続人や相続財産の調査を行えない場合や何から手続きを始めるべきかわからない場合は、相続に詳しい司法書士や行政書士に依頼することもご検討ください。

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家族や親族が亡くなったときには、火葬や葬儀の手配が必要になります。
しかし、中にはお金がないため、火葬費用や葬儀費用を工面するのが難しいケースもあるでしょう。

火葬費用や葬儀費用を用意するのが難しい場合は、費用を親族で分担して払う、亡くなった人の生命保険金や遺産から払うなどの選択肢が考えられます。

火葬費用や葬儀費用の支払いに不安を感じている場合は、葬儀の内容を吟味し費用を抑える工夫も必要です。
例えば、必要ないオプションを外す、火葬や葬儀のランクを下げれば費用を節約できます。

本記事では、火葬費用や葬儀費用のお金がないときの対処法および火葬・葬儀費用の相場を解説していきます。

また、家族や親族が亡くなったときには葬儀の手配だけでなく様々な手続きをしなければなりません。
家族や親族が亡くなったときに行う手続きの流れは、下記の記事で詳しく解説しているのでご参考ください。

【保存版】相続手続きでやるべきことまとめ!必要書類や期限も紹介

1章 火葬費用・葬儀費用のお金がないときの7つの対処法

火葬費用や葬儀費用を支払うのが難しいときには、費用を親族で分担することや故人の遺産や生命保険金から払うことも検討しましょう。
具体的には、下記の方法をご検討ください。

  1. 費用を親族で分担する
  2. 自治体から受け取れる葬祭費・埋葬料で支払う
  3. 故人の生命保険金から支払う
  4. 故人の遺産から支払う
  5. 葬儀ローンを利用して支払う
  6. カードローンを利用して支払う
  7. 葬祭扶助制度を利用する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1-1 費用を親族で分担する

喪主や施主のみで火葬費用や葬儀費用を払うのが難しい場合は、費用を親族で分担することも検討しましょう。
葬儀費用を支払うのは慣例では喪主や施主が多いものも、法律などで決められてるわけではないからです。

そのため、家族や親族で葬儀費用の支払い方法について相談しておき、収入や年齢に応じた金額をそれぞれ支払うのでも問題ありません。

1-2 自治体から受け取れる葬祭費・埋葬料で支払う

亡くなった人が後期高齢者医療保険や国民健康保険に加入していた場合、自治体から葬祭費を受け取れます。
葬祭費の金額は自治体によって異なりますが、一般的には2~7万円程度のことが多いです。

また、亡くなった人が全国健康保険協会(協会けんぽ)や組合健保・共済組合などに加入していた場合は、一律5万円の埋葬料を受け取れます。

通夜や告別式を行わずシンプルな火葬式(直葬)のみであれば、葬祭費や埋葬料で火葬費用をある程度賄えるはずです。

なお、葬祭費や埋葬料は自動的に支払われるわけではなく、申請が必要です。
申請から葬祭費や埋葬料の受取に1~2ヶ月ほどかかる場合もあるため、早めに手続きしておくのが良いでしょう。

1-3 故人の生命保険金から支払う

亡くなった人が生命保険に加入していた場合、生命保険金から火葬費用や葬儀費用を支払うのでも問題ありません。
生命保険金を受け取るには、保険会社指定の請求書や住民票、戸籍謄本など様々な書類が必要です。

そのため、生命保険金を火葬費用や葬儀費用の支払いに充てたいのであれば、故人の死亡後すぐに生命保険金の請求をすることをおすすめします。

1-4 故人の遺産から支払う

故人が預貯金などの遺産を遺しているのであれば、遺産から火葬費用や葬儀費用を支払えます。

ただし、遺産から火葬費用や葬儀費用を支払う場合は、故人の銀行口座の凍結に注意しなければなりません。
銀行などの金融機関は口座名義人の死亡を確認すると、銀行口座の凍結をし預貯金の入出金や口座引き落としなどは一切行えなくなってしまいます。

自治体に提出した死亡届が金融機関に共有されることはないので、火葬費用や葬儀費用を故人の預貯金から払う場合は、銀行口座の凍結前にまとまった金額を引き出しておきましょう。

万が一、故人名義の銀行口座が凍結されてしまった場合は相続財産の仮払い制度を利用できます。
相続財産の仮払い制度とは、相続人全員の合意がなくても限度額までであれば預金を引き出すことができる制度です。

仮払い制度を利用すれば「相続開始時の口座残高×1/3×相続人の法定相続分」までの金額を引き出せます。
ただし、仮払い制度による各銀行の引き出し上限額は150万円なので、150万円を超えて引き出す場合は複数の銀行で手続きしなければなりません。

銀行口座の凍結とは?口座名義人の死亡後に解除する方法と必要書類

1-5 葬儀ローンを利用して支払う

葬儀費用は数十万円から100万円以上かかることも多いため、葬儀ローンによって分割払いすることも可能です。
まとまった現金を用意するのが難しい場合に利用を検討しましょう。

葬儀ローンの利用は葬儀社から行うのが一般的ですので、まずは確認してみることをおすすめします。
葬儀ローンには審査があることや審査には1日から数日程度かかる場合があることにもご注意ください。

1-6 カードローンを利用して支払う

カードローンによる借金はお金の使い道を問われないため、葬儀費用の支払いにも問題なく使用可能です。
カードローンの利用や借金に抵抗がある人もいるかもしれませんが、消費者金融の中には初回利用者の利息を取らない会社もあります。
そのため、借り入れ条件によっては先ほど紹介した葬儀ローンよりもお得な可能性があります。

故人の生命保険金が数日以内に振り込まれる場合など、まとまった現金を用意するアテがある場合はカードローンの利用を検討しても良いでしょう。

1-7 葬祭扶助制度を利用する

家族や親族が火葬費用や葬儀費用を捻出するのが難しい場合は、葬祭扶助制度の利用もおすすめです。
葬祭扶助制度とは、喪主や遺族が火葬費用や葬儀費用を支払えないときに国が負担してくれる制度です。

ただし、葬祭扶助制度はすべての人が利用できるわけではなく、遺族が経済的に困窮している場合や生活保護を受給中の場合のみ利用できます。
また、葬祭扶助制度を利用した場合、基本的に通夜や告別式は行われず火葬式(直葬)となります。

2章 火葬費用や葬儀費用の相場

通夜や告別式を行わず火葬のみを行う直葬であれば、費用は10~20万円ほどかかることが多いです。
そして火葬だけでなく通夜や告別式を行うのであれば、葬儀の規模や参加者の人数によって費用が大きく変わります。

火葬費用や葬儀費用の相場は、下記の通りです。

火葬・葬儀の種類 費用相場
火葬式(直葬) 10~20万円
家族葬 70~100万円
一般葬 150~200万円

それぞれ詳しく解説していきます。

2-1 火葬式(直葬)の費用相場

通夜や告別式などを行わず火葬のみを行うのであれば、費用は10~20万円程度かかります。

火葬式(直葬)の費用の内訳は、主に①火葬場に支払う費用②葬儀社へ支払う費用です。
このうち、火葬場に支払う費用は利用した火葬場が公営か民営かで大きく変わってきます。
葬儀社へ支払う費用についても、契約したプラン内容やオプションの有無によって費用が変わってきます。

そのため、通夜や告別式は不要と考えたが、故人のためを思ってオプションを付けたら結果として高くなってしまったとなる可能性もゼロではありません。
火葬式を行い葬儀にかかる費用を抑えたいのであれば、予算を設定しその中でやりくりする意識を持つことも大切です。

2-2 家族葬の費用相場

限られた人数だけで行われる「家族葬」にかかる費用相場は70~100万円程度です。
家族葬の場合、参列者も知り合いが多いため気を遣わずに葬儀を行えるため、喪主の負担が少ないメリットもあります。

ただし、家族葬では参列者が少ないため、香典が少なくなり費用のほとんどを家族や親族で支払うケースも珍しくありません。

2-3 一般葬の費用相場

家族や親族だけでなく、故人の友人知人や職場関係の人にも参列してもらう「一般葬」にかかる費用相場は150~200万円程度です。
一般葬では通夜と告別式の2日に渡って行うため、寺院費用や会食費用も2日分かかります。

想定以上の人数が参加すると、予定より費用がかさんでしまう可能性がある点や葬儀の規模が大きくなったことにより喪主の負担が増えてしまう恐れにも注意しておきましょう。

葬式費用の相場は約195万円!内訳と費用を安く抑える方法を解説!

3章 火葬費用・葬儀費用を抑える方法

家族や親族で火葬費用を工面するのが難しい場合、火葬費用や葬儀費用を少しでも抑えるように工夫することが大切です。
具体的には、下記の4つの方法を検討しましょう。

  1. 公営の火葬場を利用する
  2. 火葬式(直葬)を行う
  3. 必要ないサービスやオプションは断る
  4. 複数の葬儀社で相見積もりを出してもらう

それぞれ詳しく解説していきます。

3-1 公営の火葬場を利用する

火葬場には公営と民営があり、公営の方が費用が安くすむことがほとんどです。
ただし、公営の火葬場を利用する際には故人や遺族の住所地などで利用料金や利用の可否が変わってきます。

そのため公営の火葬場を利用する際には、火葬場もしくは提携している葬儀社に問い合わせて利用条件や費用について確認してみるのが良いでしょう。

3-2 火葬式(直葬)を行う

火葬費用や葬儀費用を少しでも抑えたい場合は、火葬式(直葬)を行いましょう。
葬儀の規模が大きくなり参列者が増えればそれだけ費用がかさむからです。

火葬式(直葬)であればプランの内容やオプションの有無にもよりますが、10~20万円程度ですむこともあります。

3-3 必要ないサービスやオプションは断る

葬儀や火葬にはいくつかのランクが用意されていることや各種サービスが用意されていることが多いです。
こういったサービスやオプションのうち、必要がないものを断ればその分だけ火葬費用や葬儀費用を節約可能です。

葬儀社や火葬場の中には、あらかじめオプションやサービスを含めた見積書を用意する場合もあるため、見積書の内容を確認し不明点は問い合わせてみるのが良いでしょう。
問い合わせた結果、故人や自分たちに不要なサービスであると判断した場合は抜いてもらえば費用を抑えられます。

3-4 複数の葬儀社で相見積もりを出してもらう

火葬や葬儀をする際には、複数の葬儀社で相見積もりを出してもらいましょう。
相見積もりを出してもらえば、最も費用の安い葬儀社を選ぶこともできますし、同価格帯でもより自分たちの希望に合う葬儀社を選べる可能性があるからです。

まとめ

火葬費用や葬儀費用を支払うのが難しい場合は、喪主や施主だけでなく親族全体で費用を分担することも検討しましょう。
他には亡くなった人の生命保険金や遺産から火葬費用、葬儀費用を支払うのでも問題ありません。

ただし、銀行が口座名義人の死亡を確認すると、故人の銀行口座を凍結してしまうのでご注意ください。
銀行口座が凍結された場合は、一定額までであれば仮払い制度を利用して故人の預貯金を引き出し可能です。
故人の預貯金を全額引き出したい場合は、必要書類を揃え預貯金の解約手続きを行うしかありません。

火葬費用や葬儀費用の支払いや遺された家族での生活に不安を感じている場合は、相続手続きを速やかに完了させ故人の遺産を活用していきましょう。
相続手続きを自分たちで行うのが難しい場合や何から行えばよいかわからない場合は、相続に詳しい司法書士や行政書士に相談することをおすすめします。

グリーン司法書士法人では、相続手続きに関する相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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