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遺言信託とは?メリット・デメリットから費用を安く抑える方法まで解説

遺言信託とは?メリット・デメリットから費用を安く抑える方法まで解説
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司法書士山田 愼一

 監修者:山田 愼一

この記事を読む およそ時間: 6

遺言信託とは、信託銀行などの金融機関に「遺言書の作成や保管、死後の相続手続き」をお願いできるサービスです。

銀行の担当者から説明をされて何となくわかったけど、

  • 具体的には何をしてくれるの?
  • メリットやデメリットは?
  • どのくらいの費用がかかるの?

と、まだまだ聞きたいことがいっぱいあることでしょう。

本記事では、このような疑問を解消するため、遺言信託についての「具体的なサービス内容」から「メリット・デメリット」、「かかる費用相場」まで、相続の専門家がわかりやすく解説します。

金融機関が提供する遺言信託のサービス内容や、メリット・デメリットを正しく理解していないと、思っていたより高額な費用がかかったり、対応してくれる範囲が意外に狭かったりして、のちに後悔することにもなりかねません。

また、予算や財産額、遺言したい内容によっては、司法書士や弁護士に同様のサービスを直接依頼した方が安価でかつ広範囲に遺言内容を実現できるケースもあります。

本記事が、遺言信託の理解とご判断の一助になれば幸いです。


1章 遺言信託とは

遺言信託とは

遺言信託とは、銀行などの金融機関が遺言書作成や保管、遺言内容の実現(相続手続き)についてサポートしてくれるサービスです。

実際に遺言書を作成するときには、次のような悩みが発生します。

  • どういった内容にすればよいのか自分で決められない
  • どのようにして遺言書を作成すればよいのかわからない
  • 遺言書を自分で保管するのが不安
  • 遺言書を見直したいけど誰に相談したらいいかわからない
  • 相続人たちが本当に遺言内容を実現してくれるか不安

上記のような悩みを解消するため、金融機関が次のようなサポートしてくれるのが「遺言信託サービス」です。

  • 遺言の内容について相談に乗ってくれる
  • 遺言書作成の手続きをサポートをしてくれる
  • 遺言書を銀行で保管してくれる
  • 遺言書の見直し相談に乗ってくれる
  • 死亡後、遺言内容を実現してくれる

1-1 金融機関の遺言信託と法的な意味での遺言信託は異なる

補足の説明になりますが「遺言信託」には2つの意味があります。

本記事で解説するのは「金融機関による商品名としての遺言信託」ですが、別に「法的な意味での遺言信託」があります。

金融機関による商品名としての遺言信託は、①遺言作成のサポート、②遺言書の保管、③遺言書の見直し④遺言執行(相続手続き)の4つのことを行ってくれる複合サービスです。

法的な意味での「遺言信託」は、遺言書によって家族信託を行うことを指しています。遺言に「財産を家族の〇〇に委託し、〇〇のために、どのように管理運用してもらうかを指定すること」を決めておくことが法的な意味での遺言信託になります。

一般的には「遺言信託」というと、金融機関の商品名としての「遺言書作成や遺言書保管、相続手続きのサービス」を意味することが多いので、この記事でもその前提で解説していきます。

すこし難しい表現になってしまいましたが「本記事で解説する遺言信託」と「法的な意味の遺言信託」は、まったく異なるものだ、という理解をして頂ければ十分です。

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2章 遺言信託で行ってくれる5つのこと

金融機関に遺言信託を依頼すると主に5つのことを行ってくれます。

  1. 遺言書の内容について相談できる
  2. 遺言書の作成をサポートしてくれる
  3. 遺言書を保管してくれる
  4. 遺言内容の見直しをアドバイスしてくれる
  5. 遺言内容を実現してくれる

遺言信託で行ってくれる5つのこと

2-1 遺言書の内容について相談できる

金融機関の担当者が、家族関係や財産状況をふまえ遺言内容について相談に乗ってくれます。状況に応じて遺言書の内容の提案をしてくれたり、相続税がかかる場合の課税シミュレーションをしてくれるので、法律のことがよくわからない方でも適切な遺言内容を決めることができます。

2-2 遺言書の作成をサポートしてくれる

遺言信託では、遺言書の作成を公証人役場で行います。公証人役場で作成する遺言書を公正証書遺言といいますが、公証人と証人2名(銀行の担当者)の立会のもと作成するので、真正が担保され確実に有効な遺言書を作成することができます。

公正証書遺言を作成するには、事前に公証人と打ち合わせしたり、必要書類を提出する必要があるので、これらの手助けを金融機関の担当者がしてくれます。

2-3 遺言書を保管してくれる

遺言信託を利用すると、金融機関が大切な遺言書の正本を預かってくれるので安心です。

遺言書の「原本」は公証人役場で永年保管してくれますが、「正本」は自分で保管しなければなりません。正本とは写しのことですが、正本が失われると相続人が発見してくれず、遺言書の存在に気づいてもらえない可能性があります。また、自分で保管していると家族にこっそり遺言内容を見られてしまう可能性もあります。

遺言信託であれば、金融機関が遺言書を保管し、相続が発生したら相続人に遺言書の存在を伝えて内容を実現してくれるので、遺言書が無視されることや遺言内容が生前にバレてしまう可能性が大きく低下します。

2-4 遺言内容の見直しをアドバイスしてくれる

遺言書を作成しても、気が変わったり財産内容や家族の状況に変化があったりして「遺言内容を見直したい」と考える機会があるものです。そんなときには遺言信託している金融機関に相談すると、遺言内容の見直しを提案してくれます。

原則、追加料金はかかりますが、新たに作成するより低額の費用で済みます。また、見直しについて無料でやってくれる金融機関もあります。

2-5 遺言内容を実現してくれる

遺言信託しておけば、亡くなった後、金融機関が遺言内容を実現(相続手続き)してくれるので安心です。

遺言書を作成したからには、遺言内容を実現しなければなりません。しかし、遺言の効力は「死亡」により発生するので、遺言内容の実現してくれる人を選んでおく必要があります。

この遺言内容を実現してくれる人を「遺言執行者」といいますが、遺言信託を利用すると金融機関が遺言執行者となるので、確実に遺言内容を実現してもらえて安心です。

具体的には、相続人への通知、遺産目録の作成、預貯金や不動産の名義変更、遺産の分配などを行ってくれます。


3章 遺言信託するメリット

それでは遺言信託を利用するメリットを掘り下げて解説したいと思います。

3-1 適切な遺言書を作成できる

誰にどのような財産を受け継がせるべきか悩む場合でも、金融機関の担当者に相談しながら、遺言書内容を決定することができます。

また、遺言書を作成するときは、法律上の相続割合や遺留分にも配慮しなければなりませんが、法律的なアドバイスも行ってくれます。

このように適切なアドバイスを受けて、相談しながら遺言内容を決めれるので、遺言書を作成しやすくなります。

遺留分
遺留分とは兄弟姉妹以外の相続人に認められる最低限の遺産を取得できる権利です。
遺留分について詳しくはこちらをご覧ください。

遺留分の計算方法をパターン別に具体例で簡単解説【法改正対応】

3-2 相続トラブルを防止しやすい

金融機関に遺言信託しておけば、相続が発生したとき金融機関から相続人に連絡し、遺言内容の説明を行い、遺言内容を実現(相続手続き)してくれます。

説明を受けた相続人たちも「親がわざわざ銀行に頼んで遺言書を書いたのであれば、その通りにしてかまわない」と納得するケースも多く、相続トラブルが起こりにくくなります。

3-3 遺言内容を実現してくれる

金融機関の遺言信託を利用すれば金融機関が確実に遺言内容を実現してくれるので安心です。また、財産調査や名義変更の面倒な手続きもサポートしてくれるので、相続人の手間が大きく省かれます。

例えば、自分で遺言書を書いて保管していただけでは、遺言書が無視されたり、発見されない可能性もあり、遺言内容が実現されないことも多々あります。

また、遺言書が発見されたとしても、子どもが不動産の名義変更などを面倒に思い、放置してしまうケースも少なくありません。

その他ケースでは、遺言によって基金や宗教法人に寄付したい場合、子ども達が忙しくてやってくれない可能性があるときでも、金融機関であれば確実に対応してくれます。

3-4 財産内容の変化に応じて積極的な提案をしてくれる

金融機関に多額の資産を預けている方の場合、金融機関からの提案により資産活用や節税対策を行うことができます。

具体的には、生命保険を活用した生前贈与収益不動産などの投資商品の紹介をしてくれます。

また、財産内容だけでなく、家族内容の変化があっても「書き換えを検討してはいかがですか?」など、積極的な提案をしてくれるので、変化に応じた適切な遺言書作成が可能となります。


4章 遺言信託するデメリット

遺言信託には以下のようなデメリットもあるので注意が必要です。

4-1 費用が高い

金融機関による遺言信託の手数料は非常に高額です。

少なくとも作成時に数十万円、保管料として年間数千円、相続発生時に数十万から数百万円の手数料がかかります。

手数料の金額は金融機関ごとに異なるので一概には言えませんが、費用相場として、代表的な手数料の金額は次のとおりです。

手数料の金額は金融機関ごとに異なるので一概には言えませんが、費用相場として、代表的な手数料の金額は次のとおりです。

特に遺言執行(相続手続き)の手数料は遺産総額によって増減しますので、高額なケースでは数百万円から数千万円になることもあります

多くの銀行では、「基本料金が高いけれど遺言執行報酬が安いプラン」と「基本料金が安いけれど遺言執行報酬が高いプラン」の2種類を用意していますが、費用合計としては「最低でも150万円程度」はかかることが多いでしょう。

金融機関の遺言信託と同内容のサービスを司法書士や弁護士に依頼すれば、手数料が1割から2.5割程度安くなる傾向です。

4-2 希望どおりの遺言内容にできないことがある

金融機関の遺言信託で遺言書を作成するときは、希望どおりの内容にきないことがあります。

たとえば次のような偏った内容や紛争が生じるの可能性がある内容にすることです。

  • 長男にすべての不動産を相続させて、他の子供には少しの現金しか相続させない場合(他の子供の遺留分を侵害するケース)
  • 配偶者や子供など法定相続人でない第三者へ相続させる場合(相続について争いになる可能性があるケース)

このように遺留分や相続争いになったとき、金融機関として法的に対応できなくなるので、そのような遺言内容にしたいと伝えると、断られることが多いようです。

もしかすると「揉めそうな相続には関与したくない」というのが、本音かも知れません。

反面、司法書士や弁護士など法律の専門家に遺言作成を依頼した場合、紛争リスクのアドバイスを理解したうえであれば、希望どおりの内容の遺言書を作成してくれます。

4-3 不動産の名義変更や相続税申告などの実務はできない

遺言信託では、金融機関が遺言執行者となり、様々な相続手続きを行ってくれます。

しかしながら、金融機関の担当者も「不動産の名義変更が必要場合の登記申請」や「相続税がかかる場合の税務申告」についての専門家ではありません。

ですので、遺言執行者の立場から、不動産の名義変更は司法書士へ、相続税の申告は税理士へ外注することになります。もちろん外注費用は別に発生します

このことも金融機関の遺言信託費用が高くなる一つの理由と言えます。

4-4 身分行為の執行はできない

先ほどと同じ原理ですが、金融機関は法律の専門家ではないので、「婚外子を認知したり」や「相続人を廃除したり」「未成年後見人を指定したり」といった身分行為に関する遺言を執行することはできません。

これらをお願いしたい場合には、親族や弁護士に遺言執行を依頼しなければなりません。


5章 遺言信託の利用がおすすめな人

金融機関による遺言信託の利用がおすすめな人は、総資産が数億を超えるような人です。
本記事で解説したように、金融機関が行っている遺言信託は手数料が高く、遺言書の作成から相続発生後の手続きまで数百万円近くかかる場合があります。

  • このような費用を負担しても信頼できる銀行にすべて相続手続きを任せたい
  • すでに信託銀行を利用していて自分が亡くなった後も財産管理を任せる予定でいる

上記の場合には、金融機関との信頼性を構築するためにも、金融機関での遺言信託を利用しても良いでしょう。
一方で、資産がそれほど多くない人は相続に詳しい司法書士や弁護士に相談すれば費用を抑えられます。


6章 遺言信託を司法書士や弁護士に依頼する方法もある

金融機関の遺言信託の費用は非常に高額で、どちらかというと信託銀行等に多くの財産を預けている富裕層向けのサービスと言えます。

ですので、一般的なご家庭の場合や、出来るかぎり費用を抑えたい場合には、司法書士や弁護士に依頼することも検討しましょう。

6-1 司法書士や弁護士へ直接依頼するのがベスト

司法書士や弁護士へ直接依頼しても、金融機関の遺言信託と同様のサービスを受けられます。

また、司法書士や弁護士なら、遺言信託のサービスを全て依頼することもできますし、部分的に依頼して、費用を大幅に抑えることもできるので非常に利便性が高いと言えます。

(①遺言書の作成サポート、②遺言書の保管、③遺言書の見直し、④遺言内容の実現)

また、司法書士や弁護士に依頼する方が、大手金融機関の定めている費用の2割~3割程度、安く抑えられるケースが多いでしょう。

6-2 司法書士や弁護士に依頼するメリット

司法書士や弁護士に依頼するメリットは、費用面だけではありません。司法書士や弁護士は法律に詳しいので、遺留分が心配な場合や事業承継が絡むケースでも有効なアドバイスができます。

また、司法書士であれば、遺産に不動産がある場合の不動産の名義変更手続きもスムーズに行えます。

弁護士であれば、子の認知や相続人の廃除など、身分に関することも行ってくれます。

特に重要なことは、相続対策は遺言だけでなく、生前贈与や任意後見、家族信託など、他の事項についても、複合的に考慮しながら進めていく必要があるということです。このため、相続に詳しい司法書士や弁護士にアドバイスやサポートしてもらいながら進めることができれば、まさしく一石二鳥にも三鳥にもなります。

ただし遺言書の保管から相続手続き業務が完了するまで、長期のスパンとなるので、個人事務所ではなく「法人(司法書士法人や弁護士法人)」に依頼するようお勧めします。個人の専門家に依頼すると、相続開始までにその個人に何かが起こって遺言内容が実現されなくなるおそれがあるからです。法人なら1人の専門家に何かあっても法人自身は変わらず営業を続けるので安心です。

遺言信託を使って相続対策したいとお考えの方は、ぜひとも遺産相続に詳しい司法書士や弁護士に相談してみましょう。


まとめ

遺言信託とは、金融機関が遺言書作成や保管、相続手続きを行ってくれるサービスの名称になります。

また、遺言信託は富裕層向けのサービスなので、一般の方が利用しても大きなメリットを受けられない可能性があります。同様のサービスを司法書士や弁護士に依頼することも可能なので、費用を安く抑えたい方は司法書士や弁護士に依頼することも検討しましょう。

グリーン司法書士法人では遺産相続や遺言書作成、家族信託、名義変更等の相続業務に力を入れていますので、お気軽にご相談いただけますと幸いです。

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よくあるご質問

遺言信託にはいくらかかる?

遺言信託を契約するときには、20~100万円程度かかります。
▶遺言信託にかかる費用相場について詳しくはコチラ

遺言信託のデメリットとは?

遺言信託のデメリットは、下記の4つです。
・費用が高い
・希望どおりの遺言内容にできないことがある
・不動産の名義変更や相続税申告などの実務はできない
・身分行為の執行はできない
▶遺言信託のデメリットについて詳しくはコチラ

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